産業保健スタッフとして最も学びたいテーマとは?産業保健スタッフの投票結果から
はじめに
産業保健スタッフの役割は、従業員の個別支援から組織改善まで幅広く求められています。日々の業務に直結する知識やスキルを継続的にアップデートすることが、従業員の健康保持・増進や組織の活力向上につながります。
そこでさんぽLABでは、「【投票】産業保健スタッフとして最も学びたいテーマは?」という投票を実施しました。産業保健スタッフが関心を持つテーマを知ることは、自身の専門性向上やキャリア形成の方向性を考える上で重要なヒントになります。今回の投票結果からも、現場のリアルな関心やニーズの一端が見えてきました。
投票結果(概要)
期間:2025年9月20日〜26日
投票数:62票
結果:
・面談・保健指導スキル 34%
・メンタルヘルス 24%
・両立支援・復職支援 18%
・健康経営 13%
・健康診断 8%
・その他 3%

各項目別の傾向と取り組みのポイント
面談・保健指導スキル(34%)
最も多くの票を集めたのは「面談・保健指導スキル」でした。従業員と信頼関係を築き、従業員自身の気づきや意欲を行動変容につなげていくためには、面談の進め方や保健指導のスキルが必要です。
学習の例
・傾聴スキルやアセスメントスキルの向上
・オープンクエスチョンの活用方法
・答えやすい質問設計について

メンタルヘルス(24%)
次に多かったのは「メンタルヘルス」。職場のメンタルヘルス対策は一次予防から三次予防まで多岐にわたります。また「セルフケア」・「ラインケア」・「事業所内産業保健スタッフによるケア」・「事業場外資源によるケア」の4つのケアを継続的かつ計画的に行うことが必要です。
学習の例
・メンタルヘルスケアの教育研修・情報提供方法
・ストレスチェックの実施と活用方法
・管理監督者へのメンタルヘルス教育方法
・職場の体制構築方法
・健康情報の取り扱い方

両立支援・復職支援(18%)
両立支援・復職支援では、本人、職場、医療機関と連携することが重要です。職場・医療機関の意見が一致しないことも少なくなく、産業保健スタッフが調整役・ファシリテーターとしての役割を果たすことが求められます。
学習の例
・両立支援、復職支援の体制整備について
・本人・職場・医療機関・産業保健スタッフでの情報共有と調整方法
・健康情報の取り扱い方
・再休職を防ぐフォローアップ体制の整備について

健康経営(13%)
従業員の健康保持増進を経営視点で捉え、組織改善につなげる「健康経営」への関心も一定数ありました。現場での活動をいかに経営層へ伝え、職場環境改善につなげるかがカギです。
学習の例
・健康課題の把握について
・ストレスチェックの活用方法
・衛生委員会などの活用方法

健康診断(8%)
健診そのものではなく、健診後の事後措置に課題を感じている方は多いのではないでしょうか。また、健康課題を把握し施策につなげるため、データをうまく活用したいけどなかなかできていない方も多いかと思います。
学習の例
・安全配慮義務の遂行について
・事後措置実施の体制整備について
・健康課題の抽出方法
・健診データの活用方法

投票結果から見える傾向と今後の展望
今回の投票では、「面談・保健指導スキル」や「メンタルヘルス」など、現場対応に直結するテーマに高い関心が集まりました。背景には、従業員一人ひとりとの関わりの中で「より良い対応をしたい」「自分のスキルを磨きたい」という産業保健スタッフの思いがあると考えられます。
一方で、「メンタルヘルス」や「両立支援・復職支援」、「健康経営」のように、組織全体を巻き込む取り組みへの関心も高いことがわかります。
さらに「健康診断」に関心を寄せる方もおり、健診の実施だけでなく、得られたデータを活用した事後措置への対応が今後の重要な課題になってくると考えられます。
まとめ
産業保健スタッフの学びの関心は、“目の前の従業員を支援するスキル” と “組織課題に対応する知見” の両輪 に広がっているといえます。今後は、これらの関心をどう実務に結びつけるかが重要であり、スタッフ同士の経験共有や外部リソースの活用もカギとなるでしょう。