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HSP・管理職・テレワークのメンタル不調にどう対応する?産業保健スタッフが知っておきたい4つの実践策

社員のメンタル不調は、見えにくく、そして多様化しています。HSP(外部刺激に敏感な人)、管理職のストレス、テレワークによる孤独感……こうした課題にどう向き合うかは、産業保健の現場で大きなテーマとなっています。

本記事では、産業保健スタッフが現場で直面しやすい以下の4つの視点から、実践的なメンタルヘルス支援のポイントを解説します。

  • HSPの社員が職場で抱えるストレスと支援の工夫
  • メンタル不調に陥りやすい管理職の特徴と対策
  • テレワーク環境下で気づきにくい不調へのサポート方法
  • 職場でできる「心の応急手当」としての小さな声かけの重要性

社員が安心して働ける職場環境を整えるために、今、企業と産業保健スタッフができることを具体的に紹介します。


<目次>

1.HSP社員が職場で抱えるストレスとは?企業が取るべき配慮と支援策を解説
2.管理職がメンタル不調に陥る理由と兆候とは?企業・産業保健スタッフができる対策も紹介
3.テレワークで見えにくいメンタル不調を防ぐには?産業保健スタッフが知っておきたい支援のポイント
4.職場でできる「心の応急手当」とは?小さなメンタル不調を見逃さない支援のすすめ


1.HSP社員が職場で抱えるストレスとは?企業が取るべき配慮と支援策を解説

「周囲の些細な変化にすぐ気づく」「一見穏やかでも、いつも疲れている」「評価やフィードバックに過敏に反応してしまう」――。このような従業員の姿に、心当たりはありませんか?

近年、「HSP(Highly Sensitive Person)」という言葉が広まりつつあります。これは、生まれつき感受性が高く、外部の刺激に強く反応しやすい人のことを指します。HSPは病名ではなく「気質」のひとつとされ、人口の15〜20%が該当すると言われています。つまり、どの職場にも少なからずHSPの特性を持つ従業員が存在している可能性が高いのです。

HSPの人は、音や光、人の感情の変化などに敏感であるため、職場においてもストレスを感じやすく、時にパフォーマンスの低下や不調につながることがあります。しかし一方で、HSPの人は共感性に優れ、丁寧で気配りのある仕事ができるなど、職場の中で大きな力を発揮できる存在でもあります。

では、HSPの特性を持つ社員が健康に、そして安心して働ける職場づくりとは、どのようなものなのでしょうか?

本記事では、以下の4つの視点から、HSPと職場環境について解説しています。

  • HSPとは何か? 特性と他の発達特性との違い
  • HSPの人が職場で感じやすいストレス要因とは
  • 企業ができるHSP社員へのストレス対策と配慮
  • HSP当事者が職場でできるセルフケアと対策

HSPの社員が安心して力を発揮するためには、企業側の環境整備だけでなく、本人の自己理解やセルフケアも欠かせません。さらに、産業医保健師など、産業保健スタッフがその橋渡し役を担うことが求められています。

特に、オープンオフィスでの騒音や照明といった環境要因、他人の感情の変化への過敏さ、マルチタスクや完璧主義といった業務上のストレス……HSPの人が直面する悩みは多岐にわたります。こうした特徴を理解したうえで、職場でできる具体的な対策や支援のポイントを知ることは、産業保健の現場において非常に有益です。

HSPの特性をもつ社員が長く健やかに働くためには、個別の困りごとに寄り添いながら、環境と業務を調整する柔軟さが求められます。

▼本記事では、そのための実践的なアプローチも紹介していますので、ぜひご一読ください。
HSP(外部刺激に敏感な人)のメンタルヘルス対策:職場でのストレスを減らす方法




2.管理職がメンタル不調に陥る理由と兆候とは?企業・産業保健スタッフができる対策も紹介

現場を支え、部下を育て、経営方針との橋渡しを担う管理職。彼らは組織の中核を担う存在である一方で、目に見えないプレッシャーや業務負荷に晒され、メンタル不調に陥るリスクが高い立場でもあります。

産業保健の現場では、一般従業員のメンタルケアに加えて、管理職の「見えにくい不調」への対応が求められるケースが増えてきました。
「最近、部長がやけにピリピリしている」
「課長が会議中にぼんやりしていることが多くなった」
「昔はよく雑談していたのに、最近は全く話さなくなった」
そんなちょっとした変化を見逃さず、早期にサポートにつなげることが、職場全体の健全性を保つためには欠かせません。

管理職がメンタル不調に陥る要因は、実にさまざまです。
業務と責任の重さ、それに見合わない報酬。プレイヤーとマネージャーの両立の苦悩。仕事と家庭の両立の難しさ。さらには、現場と経営層の板挟み……。

加えて、管理職に求められる「自己犠牲」や「強さ」は、かえってSOSの発信を遅らせる要因にもなっています。
つまり、表面上は問題が見えにくく、「気づいた時には、すでに深刻な状態になっていた」ということも少なくありません。

この記事では、管理職がうつやメンタル不調に至る背景や、その兆候、そして企業・産業保健スタッフが取り組むべき具体的な対策まで、実践的な視点で詳しく解説しています。

  • なぜ管理職は心を病みやすいのか
  • どのようなサインに注意すべきか
  • 組織としてどんな対策を講じるべきか
  • 衛生講話や保健指導で活用できるリーフレットやチェックリストも紹介

こうした現場支援に役立つ情報を網羅しています。

▼日々の産業保健活動のヒントとして、ぜひご活用ください。
管理職のメンタルが危ない!うつの兆候と企業が取るべき対策とは?




3.テレワークで見えにくいメンタル不調を防ぐには?産業保健スタッフが知っておきたい支援のポイント

新型コロナウイルスの流行をきっかけに急速に普及したテレワーク。終息後も、柔軟な働き方を模索する企業の多くが、リモートワークやハイブリッド勤務を継続しています。

一方で、対面でのやりとりが減少し、オフィスにいたころとは異なる形で心身にストレスを抱える社員が増えているのも事実です。中には「一見元気そうに見えるけれど、実は誰にも相談できず不安を抱えている」という、いわゆる“サイレントうつ”のような状態に陥っているケースも散見されます。

産業保健スタッフとして、こうした変化にいち早く気づき、適切に対応するためには、テレワーク特有のストレス構造とメンタル不調のリスク要因を正しく理解しておくことが欠かせません。

たとえば——

  • 孤独感やコミュニケーション不足が原因で、メンタルのバランスを崩してしまう社員
  • 自宅での業務環境が整っておらず、集中できない・疲れやすいといった身体的不調を訴えるケース
  • 家族との生活空間で仕事をすることで、気持ちの切り替えが難しくなり、慢性的なストレスを抱える人
  • 一人暮らしで日光を浴びる機会や運動習慣が激減し、自律神経の乱れや不眠を招く人

これらはすべて、テレワークならではの課題として、企業が抱える“見えにくい健康リスク”の一部に過ぎません。

特にテレワーク中は、従来のように「顔色を見て体調を察する」「昼休みに何気ない会話で心の変化に気づく」といった、日常的なサインが非常に捉えにくくなっています。そのため、オンライン上でも社員の状態を把握しやすくするためのコミュニケーションの仕組みや、働く環境の整備、労務管理の在り方が改めて問われています。

また、部下をマネジメントする立場にある管理職自身も「オンラインでの評価や指導が難しい」「部下の様子がわからず不安」という声を多く上げており、企業全体での支援体制の再構築も急務です。

では、テレワークによるメンタル不調は、具体的にどのような場面で生じやすいのでしょうか? その要因は? 企業として、産業保健スタッフとして、どのような対策を講じるべきなのか?

こうした疑問に答えるべく、以下の記事では、テレワークが引き起こすストレスとメンタル不調のリスク要因、そして企業として取り組むべきストレス対策について、実践的な視点から詳しく解説しています。

▼メンタルヘルス不調を未然に防ぐための第一歩として、ぜひご一読ください。
テレワークとメンタルヘルス:リモートワークによるストレス対策




4.職場でできる「心の応急手当」とは?小さなメンタル不調を見逃さない支援のすすめ

日々の職場で、ふとした瞬間に感じる「傷つき」。
上司に指摘された一言、チームに馴染めない孤独感、大切な人との別れ――
こうした“目に見えないダメージ”は、周囲に気づかれにくく、本人も気づかぬうちに深く根を張っていきます。

その小さな傷が、やがて深刻なメンタル不調につながることも。
「もっと早く気づいていれば」「適切な対応ができていれば」――
そうした後悔を防ぐ鍵となるのが、「エモーショナル・ファーストエイド(EFA)」という考え方です。

エモーショナル・ファーストエイドとは、“心の応急手当”のこと。
アメリカの心理学者ガイ・ウィンチ氏が提唱したこの概念は、日常生活で感じる感情的な傷つきに、早期に対処するセルフケアの手法を指します。
たとえば、擦り傷をすぐに絆創膏で覆うように、心の小さな痛みも放置せず、自分自身でケアをしていくことが重要だとされています。

実はこのEFA、セルフケアにとどまらず、職場における産業保健活動でも大きな可能性を秘めています。
特に産業保健スタッフの立場からは、以下のような実践が期待されています。

  • 管理職や一般従業員へのメンタルヘルス研修への応用
  • 個別面談でのセルフケア指導
  • 心の不調を未然に防ぐ支援ツールとしての活用

「拒絶」「孤独」「喪失」「罪悪感」「とらわれ思考」「失敗」「自己否定感」など、職場にあふれるさまざまな感情体験に対して、EFAは具体的かつ実践的な手当ての視点を提供してくれます。

また、EFAを活用することで、従業員が「自分の心に起きていること」に気づきやすくなり、早期のセルフケア実践が可能に。これにより、長期の休職や深刻なメンタル不調の予防にもつながっていきます。

この記事では、エモーショナル・ファーストエイドの概要から、職場での具体的な活用方法、産業保健スタッフとしてできる支援の視点まで、網羅的に解説しています。

従業員のセルフケア力を高め、健やかな職場づくりに寄与するために――
まずは、あなた自身が「心の応急手当」の知識を手に入れてみませんか?

▼記事はこちらから
職場での心理的負担を軽減するエモーショナル・ファーストエイドとは

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