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「ストレスフル」とは?意味と具体例、職場で折れない心を育てる方法も紹介

ストレスフルな職場でのメンタルタフネス向上のアプローチ
「ストレスフル」とは、ストレスを多く感じる状態を意味します。
たとえば人間関係が複雑だったり、仕事のプレッシャーが強い職場などが「ストレスフルな環境」に該当します。
この記事では、「ストレスフル」の意味や使い方、職場での具体例に加えて、そんな環境でも折れない心(メンタルタフネス)を育てる実践法まで紹介します。

【目次】

1.はじめに
2.「ストレスフル」とは?意味と使い方をやさしく解説
3.ストレスフルな職場とは?特徴と起こりやすい問題
4.ストレスフルな環境でも折れない心を育てるには?実践的アプローチ
 ・ストレスチェックの活用
 ・職場環境の改善
 ・カウンセリング・相談支援
 ・メンタルタフネスの向上
5.産業医・保健師によるメンタルタフネス向上のアプローチ
 ①.認知のクセを振り返る
 ②.考え方や行動について振り返ってみる
 ③.フィードバック
6.まとめ

1. はじめに

厚生労働省「令和4年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、現在の仕事や職業生活で強い不安やストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は82.2%となっており、大多数の労働者が仕事で強いストレスを抱えていることになります。
強い不安やストレスが続く、“ストレスフルな職場”では人間関係のトラブル、長時間労働や残業、仕事の責任やプレッシャーが高い、仕事の裁量性がないなど様々な要因によってストレスを生じやすい状況にあり、心身ともにメンタルヘルス不調のリスクを伴います。

4つのケア

メンタルヘルスの不調の予防・改善には4つのケア「セルフケア」「ラインケア」「産業保健スタッフによるケア」「事業所外資源によるケア」を継続的・効果的に実施していく必要があり、特に産業医や保健師などの産業保健スタッフによるケアは、ストレスフルな職場のメンタルヘルス向上を効果的に進める上で必要不可欠です。

2. 「ストレスフル」とは?意味と使い方をやさしく解説

「ストレスフル(stressful)」とは、ストレスが多い状態を表す言葉です。英語の「stress(ストレス)」に「〜が多い・満ちている」という意味の「-ful」がついた形容詞で、「ストレスを感じやすい」「ストレスがかかる」環境や状況を指します。

▼ 例文で理解する「ストレスフル」

ストレスフルな職場
 → 人間関係がギスギスしていたり、納期に追われているなど、心身に負担がかかる職場。
ストレスフルな毎日
 → 忙しすぎて休めない、余裕がない日々。
ストレスフルな出来事
 → クレーム対応、トラブル対応など精神的に消耗する経験。

▼ 使い方の注意点

「ストレスがある」「ストレスを感じる」と言いたいときに、「ストレスフルな○○」という形で使います。たとえば、

  • 「今日はストレスフルだった」
  • 「この仕事はとてもストレスフルです」

のように使うことで、日常会話やビジネスシーンでも適切に表現できます。

一方、「ストレスな環境」「ストレスのある職場」などと日本語的に言うこともありますが、英語的に正確なのは「ストレスフルな環境」です。

▼ 「ストレスフリー」との違いは?

よく似た言葉で「ストレスフリー(stress-free)」もあります。これは反対の意味で、「ストレスがない」「快適な」「リラックスできる」状態を指します。

このように、「ストレスフル」はストレスの多い状況や環境を表す言葉として、ビジネスでも日常でもよく使われます。この記事では、そんなストレスフルな状況でも「折れない心=メンタルタフネス」を育てる方法について、次の章から詳しく解説していきます。

3. ストレスフルな職場とは?特徴と起こりやすい問題

ストレスとは、外部からの刺激に対し、体の内部に起こる反応のことをいいます。
外部からの刺激は「ストレッサー」と呼ばれ、気温などの科学的なもの、病気や睡眠不足などの生理的なもの、家庭環境や職場における不安や緊張、恐怖などの心理的・社会的なものがあります。
適度なストレスは生きるうえでの刺激となりますが、コントロールできないような強いストレスがかかることは身体面や精神面に様々な影響を及ぼします。

4. ストレスフルな環境でも折れない心を育てるには?実践的アプローチ

わが国では、「職場における心の健康づくり」を定め労働者の健康維持増進を図るため、事業者にもメンタルヘルス対策を積極的に取り組みことが求められています。
特にストレスフルな職場においてはメンタルヘルス不調の原因となる可能性が高く、より積極的にメンタルヘルス対策を推進していく必要があります。

ストレスフルな職場でメンタルヘルスを向上するための4つのポイントをお伝えします。

ストレスフルな職場でのメンタルヘルスアプローチ

(1)ストレスチェックの活用

第14次労働災害防止計画(2023年度~2028年度)におけるメンタルヘルス対策では、「ストレスチェックの実施のみにとどまらず、ストレスチェック結果をもとに集団分析を行い、その集団分析を活用した職場環境の改善まで行うことで、メンタルヘルス不調の予防を強化する」と記載されています。
ストレスチェックにおける集団分析の結果を活用することは、職場や部署単位で課題を集計・分析することにより課題が見える化できるため、職場全体へのストレス対策として職場環境の改善を進めていく上で必要不可欠です。

(2)職場環境の改善

職場環境の改善とは、労働時間や組織、人間関係、物理的レイアウトなど職場環境を改善することで従業員のメンタル不調を予防する事につながります。
職場環境の改善を行うことは、ストレスの軽減や生産性向上に効果的であるということが分かってきており、効果的にストレスへの対策に取り組むためには、個人へのストレス対策のみでなく職場環境の改善のように組織全体へのストレス対策を組み合わせて行うことが重要となってきます。

(3)カウンセリング・相談支援

メンタルヘルス対策を推進する上で、専門家へ相談可能な相談窓口や体制の整備は必要不可欠となります。
従業員がうつ病などのメンタルヘルス不調になることは、休職や自殺のリスクも高くなるため、深刻な状況になる前の早めの対処が必要です。
日ごろより「セルフケア」「ラインケア」など啓発活動に取り組むと共に、従業員が気軽に相談できるように、事業所内の産業保健スタッフや外部相談窓口の設置や周知など、必要な時に相談できる体制を整備すると良いでしょう。

(4)メンタルタフネスの向上

メンタルタフネスとは、大きなストレスや困難に直面した時に自分自身の感情や考えをコントロールし、対処できる能力のことをいいます。例えば、同じストレスを受けた際にメンタルタフネス度の低い人は重く受け止め気分が落ち込むのに対し、メンタルタフネスが高い人はストレスに適応し自分で解決策を導き出します。
メンタルタフネスを向上させていくことは、個人のみでなく、事業所などの組織におけるメンタルヘルス対策にも繋がります。

メンタルタフネス向上のためには、考え方である「認知」とストレスに対処する「対処行動」を意識していくことが重要です。
・認知
認知にはプラスの認知とマイナスの認知があります。
プラスの認知は「自分はできる」「大丈夫」など前向きで解決に向けた思考であり、マイナスの認知は「無理だからやめよう」「なんで出来ないんだ」など諦めや悲観的な思考です。
マイナスの認知をプラスの認知に変えていくことがメンタルタフネスを向上していくために重要となります。

・行動
認知と同様に対処行動にもプラスの対処行動とマイナスの対処行動があります。

プラスの対処行動は、良い面を探す、ポジティブに考え直す「前向きに考え直す行動」急いで取り掛かる、仕事を整理するなどの「問題解決行動」、上司や周囲と相談する「相談行動」、音楽を聴く、遊びに行くなどの「気分転換行動」があります。

マイナスの対処行動には放置する、逃げるなどの「あきらめ行動」、怒る、不満気な態度をとるなどの「感情的行動」があります。
マイナスの対処行動をプラスの対処行動に変化させていくことは、ストレスの原因となる出来事を「否定的に捉えあきらめる」のではなく、「前向きに考え問題を解決」できるようになりメンタルタフネス向上が期待されます。


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3. 産業医・保健師によるメンタルタフネス向上のアプローチ

産業医や保健師は、面談や衛生講話を通して従業員のメンタルタフネス向上を図ることができます。
特に、定期的に繰り返し面談を行い、考え方(認知)やその時の行動(対処行動)を振り返っていくことは従業員のメンタルタフネス向上に効果的です。
従業員のメンタルタフネス向上に向けた面談では次のことを意識して行うとよいでしょう。

① 認知のクセを振り返る

人は自分の置かれている状況を主観的に判断しますが、マイナスの認知に傾くことで悲観的になってしまいます。

従業員の置かれている状況を一緒に整理し問題解決ができるように手助けをします。

例)最近ストレスに感じたことを書き出す
(1)状況(ストレスを感じた時のエピソード)
(2)どのように感じたか
(3)気分/点数(どの程度その気分を感じるか)
(4)その状況に直面した際、どのような行動に至ったか

② 考え方や行動について振り返ってみる

マイナスの認知はないか、マイナスの行動はないか、プラスに出来ることはないか、従業員と一緒に考えプラスに傾く認知や行動に導くことが大切です。

プラスの認知を増やすコツ
・自分にポジティブなメッセージをあげる
・お手本となる人をみつけ、お手本となる人の対処行動を真似してみる
・過去の成功体験を思い出し、成功した理由を考えてみる

③ フィードバック

定期的な面談を実施する場合は、プラスのフィードバックをするとよいでしょう。
出来たことに焦点をあて、なぜそのような行動をとったのか、その時の感情を踏まえて具体的に話をしてみましょう。
これを繰り返し行うことで、マイナスの認知・行動よりプラスの認知・行動へ変化しやすくなります。

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4. まとめ

ストレスフルな職場でのメンタルタフネス向上には、産業医・保健師などの産業保健スタッフを交えたアプローチが必要不可欠です。
更にストレスチェックの集団分析結果を用いた職場環境の改善を一緒に取り入れ、相談窓口の整備を図ることで事業所におけるメンタルヘルス対策を効果的に実施していくことができるでしょう。

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作成者:さんぽLAB運営事務局 保健師
監修:難波克行先生

■参考
厚生労働省|ストレス
厚生労働省|令和4年労働安全衛生調査(実態調査)
厚生労働省|職場環境の改善

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