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【完全解説】安全配慮義務を踏まえた事後措置の実践とは?健康診断結果から適切な対応を考える

企業における安全配慮義務は、従業員の健康と安全を確保するために不可欠な責務です。特に健康診断の結果を受けた後の「事後措置」は、適切に行わなければ労災リスクの増大や法的責任につながる可能性があります。本記事では、事後措置の基本、配慮が必要なケースの判断方法、具体的な対応策について解説します


菅野良介先生(産業医科大学産業生態科学研究所 作業関連疾患予防学 非常勤助教)
※本記事は、2024年12月10日に開催したセミナー「困難事例から導く!安全配慮義務を踏まえた事後措置の実践」の一部を編集したものです。


<目次>

1. 事後措置とは?基本の流れを理解する
2. 診断結果ごとの対応方針
3. 配慮が必要なケースとは?安全配慮義務との関係
4. 健康管理と業務のバランス:産業保健の視点
5. 具体的な対応策と事例
6. 効率的な業務遂行のためのシステム活用
7. まとめ:事後措置を適切に行うために


1.事後措置とは?基本の流れを理解する

事後措置とは、企業が従業員の健康診断結果を踏まえ、必要な対応を行うプロセスを指します。基本的な流れは以下の通りです。

  1. 健康診断の実施
  2. 結果の受領・本人への通知
  3. 産業医の意見聴取
  4. 就業上の措置決定
  5. 必要に応じた保健指導の実施

適切な事後措置を講じることで、労働災害を未然に防ぎ、従業員の健康管理を強化できます。

事後措置の流れ

2.診断結果ごとの対応方針

健康診断の結果には、以下のような診断区分があります。

診断区分の例

異常が認められた場合は、産業医などの意見を聞き、必要な措置を講じる必要があります。
事業者は、産業医の意見を踏まえ、就業区分を判断します。例えば、以下のような判断が考えられます。

就業区分の例

就業区分の判断にあたっては、労働者の意見を聞き、十分な説明を行い、理解を得ることが求められます。また、健康状態が改善した場合は、再度判断を見直す必要があります。


3.配慮が必要なケースとは?安全配慮義務との関係

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■講師


菅野 良介 (産業医)

産業医科大学産業生態科学研究所 作業関連疾患予防学 非常勤助教

産業衛生学博士/社会医学系指導医/産業衛生指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/産業保健法務主任者

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