両立支援
1.両立支援とは
両立支援とは、病気の治療や育児・介護と仕事の両方を並行して取り組めるように支援することを言います。制度を整備することにより、労働者側としても安心して働ける環境に身をおくことができますし、企業側も支援を実施することで従業員に長く働いてもらえるようになります。
2.両立支援が注目される理由
両立支援の取り組みが重要視されるようになったのは、労働者を取り巻く状況が変わってきていることが挙げられます。
◇病気と仕事の両立の背景
健康診断の有所見率は年々上昇しており、1997年までは40%を下回るほどでありましたが、2008年には50%を超え、それ以降は上昇傾向を続けている状態にあります。(出典 厚生労働省「定期健康診断実施結果報告」)要因としては加齢に伴い、高血圧症、脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病の予備軍が増えていることが影響しています。労働者が病気の治療をしながら仕事をすることは特別なことではなくなってきているのが実態となっています。
◇育児と仕事の両立の背景
女性の出産後の継続就業は厳しい状況であります。厚生労働省の「仕事と家庭の両立をめぐる現状①」によれば、妊娠・出産前後に退職していた女性正社員のうち「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさでやめた」と回答された方の具体的理由として、
・勤務時間があいそうもなかった
・職場に両立を支援する雰囲気がなかった
・自分の体力がもたなそうだった
・育児休業を取れそうもなかった
といった回答が多く挙げられています。
(出典 厚生労働省「仕事と家庭の両立をめぐる現状①」)
また、男性の育児休業取得の状況について、育児休業を取得したい男性は3割を超えているものの男性の育児休業の取得状況は17%(2022年時点)という結果でした。大企業であれば育児休業中のフォローがしやすいものの、中小企業ですと人繰りに苦しかったりといった問題も発生しているのが実情です。
(出典 厚生労働省「仕事と家庭の両立をめぐる現状②」)
国としても少子化対策に力を入れており、企業に求められる役割も大きくなっていくことが考えられます。
◇介護と仕事の両立の背景
継続的に介護を行うためには、経済的な負担が大きくなります。また、介護が終了した後の生活を視野に入れて考えても、経済的基盤を維持することは重要になります。要介護・要支援認定者数は、2020年3月末時点で約669万人となっています。今後超高齢化社会に向かっていく中で、より認定者は増えていき介護に関わる労働者も増えていくことが考えられ、介護と仕事を両立させられるように体制を整えていく必要があります。
育児、介護に関する両立支援制度の整備と拡充を行う際には、育児・介護休業法で定められている内容を確認の上、就業規則などで明文化されているか確認をするようにしましょう。