健康診断後のフォローで1番課題に感じることは?【産業保健スタッフの投票結果から】
はじめに
健康診断の事後措置は、従業員が安全に働く上で重要な役割を担います。
今回は、【投票】健康診断後のフォローで1番課題に感じることは?で健康診断後のフォローにおいて現場の産業保健スタッフがどの部分に課題を感じているのかを伺いました。
投票結果(概要)
期間:2025年9月27日〜10月3日
投票数:51票
結果:
・本人が結果に関心を示さない 31%
・受診勧奨後のフォロー(再受診確認) 27%
・精密検査・受診勧奨へのつなぎ 25%
・健診結果を職場改善に活かす方法 14%
・特に課題を感じていない 2%

各項目の傾向と対応のヒント
本人が結果に関心を示さない(31%)
健康診断の結果に目を通さない、あるいは結果に関心を示さない従業員は多く見られます。産業保健スタッフは、健康診断の「目的」や「結果の見方」について丁寧に伝え、従業員が興味をもてるよう働きかけることが重要です。
対応のヒント
・面談やメールなど、個人に合わせた情報提供の工夫
・結果に合わせて学習できるeラーニングの提供
・健診結果の見方を説明するセミナーの開催
・健康経営施策と繋げ、事業所全体で健康意識を高める

受診勧奨後のフォロー(再受診確認)(27%)
次に多かったのは「受診勧奨後のフォロー」でした。 産業医や保健師からの受診勧奨後、必要に応じて受診確認等のフォローアップが求められます。しかし、「多忙」や「関心の低さ」から受診に繋がらないケースも多く、限られた業務工数の中で、どのように効率的かつ効果的にフォローしていくかが課題となっています。
対応のヒント
・システムを活用した受診確認の効率化
・フォローアップ体制の整備と役割明確化
(誰が何をどの範囲まで行うかを決め、担当者ごとの役割を明確にする)
・受診報告のハードルを下げるフォーマットの活用(ナッジ理論の活用など)

精密検査・受診勧奨へのつなぎ(25%)
医療機関への受診が必要な従業員に対して、受診につなげることは産業保健スタッフの重要な役割のひとつです。 しかし現場では、「なかなか受診につながらない」といった声も多く聞かれます。 主な原因として、「医療機関を受診する必要性」への理解が十分でないことや、「受診までのハードルの高さ」が挙げられます。
対応のヒント
・「なぜ受診が必要か」を端的に伝える
・行動ステップを具体的に示す(例:予約→受診→報告)
・ナッジを活用した興味を惹く表現に変える
・費用・所要時間・手順など、実務的ハードルを下げる

健診結果を職場改善に活かす方法(14%)
健康診断結果を分析し活用することは、従業員個人の支援だけでなく、組織全体の健康増進につながります。 また、健康経営を効果的に進めていく上では、健康診断の結果を活用して、PDCAを回していく仕組みが求められます。
対応のヒント
・データ分析をフォーマット化し、集計作業を効率化する
・健診システムを活用し、作業効率を高める
・健康診断の分析結果を安全衛生委員会や経営層へ報告し課題を共有する
・産業保健活動や健康経営施策の効果検証に活用する

今後の展望
今回の結果から、従業員の健診結果への関心の低さが最大の課題であることがわかりました。また、受診勧奨後のフォローや、受診につなげる際の課題も明らかになり、従業員が健康診断に興味を持ちやすくなる仕組みづくりや、効果的・効率的なフォロー体制の整備が求められます。 さらに、健康経営の注目度が高まる中、健康診断結果を分析し組織全体の健康増進へ活かすことも重要です。
