【ハラスメント撲滅月間】職場におけるハラスメントの種類まとめ
厚生労働省では、12月を「職場のハラスメント撲滅月間」と定めています。
近年、さまざまなハラスメントが社会問題となっており、職場においてもメンタルヘルス不調を引き起こす原因となっていることが問題視されています。
職場におけるハラスメントとその種類ついて、解説します。
【目次】
1.ハラスメントとは
2.ハラスメントの種類
3.まとめ
1.ハラスメントとは
ハラスメントとは、相手が不快に感じる言動や行動による嫌がらせのことを指します。自分自身が気づかない偏見(アンコンシャス・バイアス)から、そのつもりはなくとも相手を傷つけてしまう行為も含まれます。
法令で定められていることはもちろん、メンタルヘルス不調の予防や、働きやすい職場環境を目指すためには、ハラスメント対策を講じることが重要です。
2.ハラスメントの種類
パワーハラスメント
パワーハラスメントとは、職場において行われる、以下の3つの要素を全て満たす行為を指します。
(1)優越的な関係を背景とした言動
(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動
(3)労働者の就業環境が害されるもの
2019年6月に、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法;パワハラ防止法)」が改正され、パワーハラスメントに対する具体的な対策について規定され、2020年6月には、パワーハラスメント防止措置を行う義務が課せられるようになりました。
パワハラとは逆に、部下から上司に対してはたらくハラスメントを、逆パワハラといいます。
セクシュアル・ハラスメント
セクシュアル・ハラスメントとは、加害者や被害者には男性も女性も含まれます。また、異性間だけでなく同性間の行為もセクシュアルハラスメントに当たります。被害者の性的嗜好や性自認は関係なく、「性的な言動」が行われれば、それはセクシュアルハラスメントとみなされます。
「雇用の分野における男女の均等な機会及び接遇等に関する法律(男女雇用機会均等法)」では、事業主に対して職場におけるセクシュアルハラスメント防止のための雇用管理上必要な措置の実施を義務付けています。
妊娠・出産・育児・介護休業等に関するハラスメント
妊娠・出産・育児・介護休業等に関するハラスメントとは、妊娠や出産、育児休業、介護休業の取得などを理由に、上司や同僚から不当な言動を受け、労働者の就業環境が悪化することを指します。
妊娠や出産をした女性労働者、または育児休業や介護休業を申請した、あるいは取得した男女の労働者に対して発生します。ただし、業務分担や安全配慮等の観点から、客観的にみて業務上必要とされる行為はハラスメントには該当しません。
また、妊娠・出産・育児を行う女性労働者に対して行われるものをマタニティハラスメント(マタハラ)、育児を行う男性労働者に対して行われるものをパタニティハラスメント(パタハラ)、働きながら介護を行う労働者に対して行われるものをケアハラスメント(ケアハラ)と呼ぶこともあります。
男女雇用機会均等法と育児・介護休業法の改正に伴い、2017年より事業主に対して、妊娠・出産・育児休業などに関するハラスメント防止のための雇用管理上必要な措置の実施が義務づけられています。
▶パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児・介護休業等に関するハラスメントについて詳しく知りたい方はこちら
ジェンダーハラスメント
ジェンダーハラスメントとは、性別を理由とする差別や嫌がらせのことです。性別によって異なる扱いや評価をして、社会的立場や役割を決めつける、不当な負担や苦痛を与えるなどの行為が当てはまります。
LGBTQ+に対する差別もジェンダーハラスメントに含まれます。
モラルハラスメント
モラルハラスメントとは、優越関係のあるなしに関わらず発生するもので、一般的に家庭内や恋人間で使われるケースが多く見られました。しかし、近年では職場におけるモラハラの考えも広がってきています。
モラハラは言葉や身振り、態度などにより相手に肉体的・精神的苦痛を与えることです。
カスタマーハラスメント
カスタマーハラスメントとは、カスタマー(顧客)による理不尽なクレーム、不当な要求、従業員に対する嫌がらせなどの迷惑行為を指す言葉です。カスタマーハラスメントの相談件数は増加傾向にあり、被害防止への取り組みは急務と言えるでしょう。
セカンドハラスメント
セカンドハラスメントとは、ハラスメント被害者が相談した際に受ける二次被害です。一次被害であるパワハラやセクハラなどと比べると認知度が低いですが、発生すると従業員からの信頼が大きく損なわれます。加害者が無自覚で行っているケースも多く、無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)が対策を難しくしています。
3.まとめ
ハラスメントとは、従業員のメンタルヘルスや職場全体の生産性に申告な影響を及ぼす重大な問題です。法令で定められているハラスメントはもちろんのこと、職場には様々なハラスメントが存在します。事業場全体が正しい知識をもち、事業者は職場のハラスメント防止体制を整え、適切な対策をとることが重要です。