産業保健スタッフにおすすめの資格・検定
産業保健スタッフは、働く場所やその背景等により業務内容は多岐に渡ります。
就職や転職のため、また自身のスキルアップのために資格を取得するのもおすすめです。
本記事では、産業保健スタッフとして働くうえで、役にたつ資格を学ぶ目的・分野別にご紹介します。
目次
1.企業で働くうえで役立つ資格
2.メンタルヘルス関連
3.生活習慣病予防関連
4.その他
5.まとめ
1 企業で働くうえで役立つ資格
■第一種(第二種)衛生管理者
衛生管理者は、労働安全衛生法で定められた国家資格です。
労働安全衛生法により、50人以上の事業場に設置が義務付けられており、その事業場の従業員の健康を確保するための業務を管理・実施する役割を担います。
第一種衛生管理者はすべての業種の事業場で衛生管理者となることができ、第二種衛生管理者は有害業務に関連する業種以外の事業場でなることができます。
保健師の資格がある場合は、申請のみで第一種衛生管理者の免許を取得することができます。
参照:衛生管理者(公益財団法人安全衛生技術協会)
■労働衛生コンサルタント
労働衛生コンサルタントは、厚生労働大臣が認めた労働衛生のスペシャリストとして、労働者の安全衛生水準の向上のため、事業場の診断・指導を行う国家資格です。
医師免許保持者、10年以上の業務経験がある保健師は受検資格を得ることができます。
難易度、受験へのハードルは高いですが、産業保健のエキスパートを目指す方にはおすすめの資格です。
参照:労働安全コンサルタント/労働衛生コンサルタント(厚生労働省)
参照:労働衛生コンサルタント(公益財団法人安全衛生技術協会)
■社会保険労務士
社会保険労務士(社労士)とは、社会保険や労働関連の法律の専門家で、人事や労務管理についての指導を行う国家資格です。
産業保健スタッフは、人事や労務管理と連携することが重要です。
人事や労務担当者の役割や法律への理解が深まることにより、産業保健スタッフとしてスキルアップにつながることが期待できます。
『働く人』や『職場』『雇用』への理解を深めたい方に、おすすめの資格です。
参照:社会保険労務士制度(厚生労働省)
参照:社会保険労務士試験オフィシャルサイト(全国社会保険労務士連合会試験センター)
■健康経営アドバイザー/健康経営エキスパートアドバイザー
健康経営アドバイザーとは、経済産業省の委託を受け、東京商工会議所が養成する健康経営の実践への普及・推進者のことです。
健康経営は産業保健スタッフとしてぜひ持っておきたい視点です。
健康経営について理解を深めたい方、産業保健の初心者にもおすすめです。
参照:健康経営アドバイザー(東京商工会議所)
■日本健康マスター検定
日本健康マスター検定は、最新の健康情報に基づくヘルスリテラシーを学び、資格を習得できる検定制度です。日本医師会が監修協力/後援、文部科学省、日本歯科医師会、日本看護協会、日本薬剤師会など多くの健康関連諸団体、神奈川県ほか自治体が後援しています。
ヘルスリテラシー、セルフケアなどについて基本を学びたい方、健康全般について学びたい方、産業保健の初心者にもおすすめです。
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■両立支援コーディネーター
両立支援コーディネーターとは、労働者健康安全機構が養成する、働く人(患者)が治療と仕事の両立を図るために、働く人(患者)・家族、主治医、企業の間を取り持ち、必要な支援をコーディネートする人材のことです。
厚生労働省から『事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン』が出されており、両立支援に取り組む企業は増加しており、両立支援のニーズは高まっています。
産業保健スタッフとしてすでに関わっている方も多いかと思いますが、より理解を深めたい方におすすめです。
参照:両立支援コーディネーターの養成(独立行政法人労働者健康安全機構)
参考:事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン(厚生労働省)
2 メンタルヘルス関連
■産業カウンセラー/心の健康アドバイザー
産業カウンセラーとは、日本産業カウンセラー協会が養成する、多彩な環境で働く人たちが抱える問題を、自らの力で解決できるように支援できる専門家です。
産業カウンセラーが対象とするのは、働く人・職場環境です。精神障害による労働力の損失や精神障害による労災認定も増えていることから、メンタルヘルス対策に取り組む企業は増えています。
メンタルヘルスについてのスキルアップを目指す方におすすめです。
参照:JAICO(一般社団法人日本産業カウンセラー協会)
■心理相談員
心理相談員とは、中央労働災害防止協会による(心とからだの健康づくり)指導者登録制度のひとつです。従業員が身近に相談でき、働きやすい職場づくりを推進する人のことです。
職場のメンタルヘルス対策の基本的なことを3日間で学ぶことできるので、産業保健スタッフ初心者にもおすすめです。
参照:心理相談員専門研修(中央労働災害防止協会)
■メンタルヘルスマネジメント検定
メンタルヘルスマネジメント検定は、大阪商工会議所、施行商工会議所が主催する、働く人たちの心の不調の未然防止と活力ある職場づくりを目指して、職場内での役割に応じて必要なメンタルヘルスケアに関する知識や対処法を習得できる検定試験です。
産業保健だけでなく、人事労務管理の観点も重視された内容で、職場におけるメンタルヘルスの基本的なことを学ぶことができます。マスターコース、ラインケアコース、セルフケアコースの3つのコースがあり、産業保健スタッフは、マスターコースがおすすめです。
参照:働く人たちの心と健康と活力ある職場づくりのために(メンタルヘルスマネジメント検定)
3 生活習慣病予防関連
■健康づくりマネージャー
健康づくりマネージャーとは、中央労働災害防止協会によるTHP(心とからだの健康づくり)指導者登録制度のひとつです。健康づくり推進スタッフ養成研修を受講することにより指導者登録ができます。
2022年から新設され、健康づくりが働く人の安全やパフォーマンス向上にも貢献することを理解し、健康づくり計画の企画も学ぶことができます。
集団教育プログラムの作成や個人へのアプローチ方法等実習を通して学ぶことができ、産業保健スタッフ初心者にもおすすめです。
参照:健康づくり推進スタッフ養成研修(中央労働災害防止協会)
■特定保健指導実践者養成研修~保健指導実施者初任者・経験者向け~
特定保健指導実践者養成研修は、資格・検定ではありませんが、『健診・保健指導の研修ガイドライン(平成30年4月版)』に基づく研修です。
特定保健指導従事者はもちろん、保健指導に従事する方のスキルアップや知識のブラッシュアップにおすすめの研修です。
参照:特定保健指導実践者養成研修~保健指導実施者初任者・経験者向け~(中央労働災害防止協会)
■食生活アドバイザー検定
食生活アドバイザー検定とは、一般社団法人FLAネットワーク協会が主催する、食生活を総合的に見直す幅広い見識を持ち、的確な指導やアドバイスをするための知識を学ぶことができる検定です。
保健指導等で『食』に触れる機会も多いため、食について幅広く知識をつけたい方におすすめです。
参照:食生活アドバイザー検定(一般社団法人FLAネットワーク協会食生活アドバイザー)
■健康運動指導士
健康運動指導士とは、公益財団法人健康・体力づくり事業団が認定する安全で健康的な運動を実施するための運動プログラムの作成および実践指導計画の調整等を担う人のことです。
運動指導についての知識を身に着けたい方、運動指導を実践したい方にもおすすめの資格です。
参照:健康運動指導士(公益財団法人健康・体力づくり事業団)
4 その他
■PCスキル
産業保健師は、PCを使った作業も多いため基本的なスキルは必須です。
マイクロソフトオフィススペシャリストは、PCの基本的なスキルを身に着けることができ、実務に活かすことができます。
参照:マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS; Microsoft Office Specialist)
■語学
外国人労働者が多い企業や、外資等、語学力が求められる企業もあります。
TOEICの点数等により、採用基準を設けている企業もあります。
参照:TOEIC(一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会)
■キャリア系
産業保健師は、『働く人』や『働く場所』を対象としています。
『キャリア』について、『働く』ということについて、知見を深めたい方にはキャリアコンサルタントもおすすめです。
参照:キャリアコンサルタント試験(JCDA)
5 まとめ
産業保健師は、自身のスキルアップやモチベーションUPのために学び続けることが重要です。
働いている環境や求められるもの、自分自身の興味があるものについて資格や検定を受講するのはいかがでしょうか。
その他、おすすめの資格等あればぜひコメントいただけますと幸いです。
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■作成:さんぽLAB 運営事務局 保健師
ミュートしたユーザーの投稿です。
投稿を表示看護職1人職場の企業で保健師しています。
一応、専門職との自覚があって仕事しているので、自身のスキルアップは必要だと思うし大事だと思っています。なので、様々なセミナーや多職種から学ぶことに対しては積極的なれるし、料金発生でも自発的に参加することもあります。
でも資格取得となると、時間もお金も必要となり、なかなか腰が重くなってしまいます。さらに、弊社は看護職のお給料は他の社員と異なる体系となっていて、私のお給料は今以上には増えないこともあり、他の資格を取得しても会社のお給料は上がらないので保健師だけで満足と思えてしまって、モヤモヤ悩ましい自分もいます。
以前、自分の時間とお金で産業カウンセラー取得しました。とても辛い1年弱で、会社が褒めてくれることも無かったのですが、様々な職種の方と交流でき、資格取得できた時は自信につながり、確かに保健師活動のモチベーションUPになってたな、楽しかったな、ということを思い出しました。
働いている環境からは求められてないですし、今の私は職業人生が残り短くなっていて疲労感・おっくう感も強いのですが、少し前向きに仕事に向き合えるように、世界が広がるように、何かに挑戦してみることを考えてみても良いかも、と感じました。
(それにしても、世の中たくさん資格があるものですね。。。)