さんぽLAB

記事

従業員の関心が低い健康経営。産業保健スタッフが押さえるべき課題と対応策

企業が健康経営に取り組む中で、「従業員の関心が薄い」「施策の理解が進まない」といった課題が浮き彫りになっています。本記事では、健康経営に対する従業員の認識実態と、関心・理解を高めるために産業保健スタッフができる対応策について、専門家の声を交えながらわかりやすく解説します。


1. 半数以上の従業員が健康経営に「関心なし」

ある調査によると、「健康経営に関心がない」「あまり関心がない」と回答した従業員は全体の56.8%にのぼりました。また、自社の健康経営方針についても、「公表されているかわからない」が42.2%、「理解していない」が31.7%と、実に7割以上が内容を把握していないという結果に。

健康経営銘柄やホワイト500の取得企業でも「内容を理解していない」と答える従業員が一定数いることから、ただ取り組むだけではなく、方針の明文化や社内浸透が重要であることが明らかです。

特に若年層では健康経営への理解度が高い傾向にあり、ワークライフバランスや健康意識の世代差も考慮した施策が求められます。

2. 健康経営を「自分ごと」にしてもらう工夫を

健康経営の浸透には、従業員の「主体的な参画」が不可欠です。コンサルタントによれば、ホワイト500取得企業とその他の企業では、「従業員の理解度確認」「意見募集」「議論の場の設置」といった点で大きな差がありました。つまり、健康経営を一方的に伝えるのではなく、「従業員と一緒に作る姿勢」が鍵を握っているのです。

企業がどこまでの情報を従業員に理解してもらいたいのか(課題の背景やリスク、取り組みの効果など)を整理し、その上で説明・共有していくことが求められます。健康課題や経営課題に向き合う姿勢を社内外に示すことが、共感や参画意識の醸成につながります。

3. 関心の低い層には「気づき」からのアプローチを

健康への関心が低い従業員は、「自分は健康」と思い込んでいるケースも少なくありません。こうした層には、健診結果を一緒に見ながら「現状に気づいてもらう」ことが出発点になります。健康リスクを“自分ごと”として実感してもらい、初めて行動変容が起こるからです。

また、ストレスチェックや社内アンケートで従業員の声を集め、セミナーやeラーニングに反映する仕組みづくりも効果的です。「自分たちの意見が反映されている」と感じられれば、関心や参加意欲の向上にもつながります。

4. 認知されやすい施策と認識されにくい施策の違い

健康経営の取り組みとして認知されやすいのは、健康診断・メンタルヘルス対策・感染症対策といった従業員個人に直接関わるものです。一方で、食生活支援や運動イベント、ワークライフバランス支援といった施策は、企業規模や周知の仕方によって認知度が大きく異なります。

特に「出産・子育てと仕事の両立」「ワークライフバランスの推進」といったテーマは、今後注力すべき課題として多くの企業が関心を寄せています。産業保健スタッフとしても、こうしたニーズの変化に応じた情報発信や支援策の設計が求められます。

5.まとめ

健康経営の成果を高めるには、従業員の関心と理解をいかに引き出すかがカギとなります。産業保健スタッフは、従業員一人ひとりの「気づき」を促すサポートとともに、社内の声を拾い上げ、健康経営を“共創”する仕組みづくりを担う役割を果たすことが期待されています。

もっと詳しく知りたい方はこちら

出典

アドバンテッジJOURNAL
「健康経営の取り組み、正直どう思ってる?」従業員1,000人に聞いた調査結果を大発表!~従業員を巻き込んで推進するためのポイントは○○?~

ハッシュタグを押下して関連ページを検索↓

コメントする