健康経営に関する社内の温度感は?産業保健スタッフの投票結果から
はじめに
「健康経営」はここ数年、注目されるキーワードのひとつです。
しかし、実際の職場において「どの程度浸透しているのか」「誰が主体的に取り組んでいるのか」は、事業所ごとに大きく差があります。
産業保健スタッフにとっては、社内の健康経営に対する温度感を把握することが、支援の優先順位や施策立案を考えるうえで重要です。
そこでさんぽLABでは、産業保健スタッフを対象に「健康経営に関する社内の温度感はどうですか?」という投票を実施しました。その結果をもとに、現場の状況と今後の展望を整理していきます。
投票結果(概要)
期間:2025年8月23日〜29日
投票数:34件
結果:
- 経営層も含めて前向きに取り組んでいる 15%
- 担当部署だけが頑張っている印象 47%
- 全体的に温度感が低い 18%
- 健康経営という言葉さえ浸透していない 21%

各項目別の傾向と取り組みのポイント
経営層も含めて前向きに取り組んでいる(15%)
一定数の職場では、経営層も含めて積極的に取り組んでいる様子がうかがえます。健康経営を経営戦略の一部ととらえ、全社的に推進している企業もあると考えられます。
対応のヒント
- すでに取り組んでいる施策の成果をさらに可視化する
- 社内外へ積極的に発信し、ブランディングにつなげる
- 継続可能な仕組みづくりを意識する

担当部署だけが頑張っている印象(47%)
最も多かったのは「担当部署だけが頑張っている印象」という回答でした。産業保健スタッフや人事部門は熱心に取り組んでいるものの、他部署や経営層にはまだ十分に浸透していない状況が浮かび上がりました。
対応のヒント
- 他部署の協力を得るため、健康経営施策を「業務効率」や「離職防止」と関連づけて説明
- 成果を小さくても社内で共有し、成功体験を積み上げる
- 「健康経営は人事・産業保健スタッフだけの取り組みではない」というメッセージを発信

全体的に温度感が低い(18%)
健康経営の重要性は理解されていても、優先度が低いと感じられているケースです。業務負担や人員不足などが背景にある可能性があります。
対応のヒント
- コストをかけずに始められる施策(短時間の運動習慣推進、社内でのストレッチタイムなど)から着手
- 健診結果やストレスチェックの活用など、すでにある仕組みを生かして「無理なく」健康経営を推進
- 小さな成功を積み上げ、徐々に社内の関心を高める

健康経営という言葉さえ浸透していない(21%)
約2割が「健康経営」という言葉自体が浸透していないと回答しました。企業規模や業種によっては、まだ概念自体が十分に知られていない可能性もあります。
対応のヒント
- 「健康経営=従業員の健康づくりと経営成果の両立」というシンプルな説明から始める
- 社内勉強会やポスターなどで用語を広める
- まずは「安全衛生」「健康づくり」といった身近なテーマから段階的に進める

投票結果から見える傾向と今後の展望
今回の結果からは、
- 担当部署だけが頑張っている(47%)が最多
- 経営層まで巻き込んだ全社的な推進はまだ少数派
- 一方で「健康経営」という言葉すら浸透していない職場も2割存在
という状況が明らかになりました。
産業保健スタッフとしては、
- 経営層や他部署をどう巻き込むか
- 施策をどうわかりやすく「見える化」するか
- 用語や考え方の浸透から始めるか
といった視点で、各職場に合ったアプローチを検討することが求められます。
まとめ
- 健康経営の温度感は職場によって大きな差がある
- 「担当部署だけが頑張っている」が約半数を占める
- 経営層の関与や言葉の浸透が今後の課題
- 産業保健スタッフは、浸透度に応じたアプローチを検討することが重要
健康経営の推進にお悩みの方は、ぜひ今回の投票結果を参考に、自社の状況にあわせた取り組みを検討してみてください。
「健康経営の取り組みをしたいが、何からはじめたらよいのか分からない…」とお悩みの方は、ぜひ以下の健康経営支援サービスをご覧ください。
