ストレスチェック後のフォローで課題とは?産業保健スタッフの投票結果から
はじめに
ストレスチェックは労働安全衛生法に基づく法定制度として実施されています。大切なのは「実施して終わり」にせず、結果を職場改善につなげることです。
特にフォロー対応は、産業保健スタッフにとって日々の悩みどころ。個人対応から職場環境改善まで幅広い課題が存在します。
そこでさんぽLABでは、産業保健スタッフを対象に「ストレスチェック後のフォローで1番困っていることは?」という投票を実施しました。その結果から、現場の課題と今後の取り組みの方向性を整理していきます。
投票結果(概要)
期間:2025年9月6日〜12日
投票数:39票
結果:
- 職場環境改善の進め方:38%
- 集団分析が活用できていない:26%
- 高ストレス者への対応:21%
- 人事や上層部への報告:5%
- 特に困っていない:5%
- その他:5%

各項目別の傾向と取り組みのポイント
職場環境改善の進め方(38%)
最も多かったのは「職場環境改善の進め方」。改善が必要とわかっても、どのように施策につなげるか悩む職場が多いことがわかります。
対応のヒント
- 小さな改善から始め、成果を「見える化」して共有する
- 経営層や管理職に「業務効率化」「離職防止」と結びつけて説明する
- 職場ごとの課題を整理し、実現可能性の高いアクションを優先

集団分析が活用できていない(26%)
2番目に多かったのは「集団分析の活用不足」。レポートを作成しても現場に落とし込めず、形骸化してしまうケースが目立ちます。
対応のヒント
- 分析結果をスライドやインフォグラフィックでわかりやすく可視化
- 管理職向けに短時間の説明会を実施
- 分析結果を「職場の課題解決ミーティング」の議題に取り入れる

高ストレス者への対応(21%)
個別フォローは重要である一方、プライバシーへの配慮や対応の限界に悩む声も少なくありません。
対応のヒント
- 面談フローや産業医につなぐプロセスを標準化する
- 本人への説明を丁寧に行い、不安を和らげる工夫をする
- 外部支援(EAPなど)と連携する選択肢を用意する

人事や上層部への報告(5%)
少数派ですが、報告の仕方や表現の難しさに悩む声もあります。
対応のヒント
- 個人情報を守りつつ「傾向」と「改善提案」をセットで提示する
- 経営層にとってのメリット(生産性、リスク低減)を強調する

投票結果から見える傾向と今後の展望
今回の投票では、「職場環境改善」と「集団分析の活用」に困っている職場が全体の6割を超えました。
つまり「個人対応」よりも「組織改善」に課題を抱えている現状が浮き彫りになったといえます。
産業保健スタッフとしては:
- 改善策を小さく始めて共有する
- 集団分析を現場に落とし込む工夫をする
- 管理職・経営層との連携を強める
といった視点が、今後ますます求められます。
まとめ
最も多かった課題は「職場環境改善の進め方」(38%)
「集団分析の活用不足」(26%)、「高ストレス者対応」(21%)も大きな課題
個人対応よりも「組織改善」の難しさが現場の悩みとして顕在化
ストレスチェックの真価は、結果をどう活かすかにあります。
今回の結果を参考に、自社での取り組みや優先すべきポイントを見直してみてはいかがでしょうか。