産業医面談がうまくいくために最も重要なことは?産業保健スタッフの投票結果から
はじめに
産業医面談は、従業員の健康管理や就業上の配慮を進めるうえで重要な役割を担っています。
しかし、「面談が形骸化してしまう」「従業員が本音を話してくれない」など、現場では課題も少なくありません。
そこで、さんぽLABでは産業保健スタッフを対象に「産業医面談がうまくいくために最も重要だと思うことは?」という投票を実施しました。
その結果から、面談を効果的に進めるためのヒントを探っていきます。
投票結果(概要)
期間:2025年8月30日〜9月5日
投票数:39票
結果:
- 事前の情報共有・準備 64%
- 本人への面談目的の説明 15%
- 面談後の対応の明確化 15%
- プライバシーへの配慮 0%
- その他 5%

各項目別の傾向と対応のポイント
事前の情報共有・準備(64%)
最も多かったのは「事前の情報共有・準備」でした。面談前に産業医が従業員の業務状況や健康情報を把握しておくことで、より具体的で的確なやり取りが可能になります。
対応のポイント
- 保健師や人事からの事前ブリーフィング
- 面談に必要な健診結果や勤務状況の整理
- 面談目的を産業医と事前に共有
本人への面談目的の説明(15%)
次に多かったのは「本人への面談目的の説明」です。
従業員が「なぜ自分が産業医面談を受けるのか」を理解できていないと、不安や抵抗感が強まり本音を引き出せないことがあります。
対応のポイント
- 面談前に保健師や人事が丁寧に説明
- 「就業上の配慮を検討するため」など具体的な目的を伝える
- 面談が従業員の不利益にならないことを明確化
面談後の対応の明確化(15%)
同率で「面談後の対応の明確化」も挙げられました。面談で出た意見や配慮事項が、その後どのように人事や上司に反映されるのかが曖昧だと、従業員の信頼を得られません。
対応のポイント
- 面談記録の共有範囲を明確にする
- フォローアップ面談や人事面談の流れを説明する
- 実施した対応を従業員本人にフィードバックする
プライバシーへの配慮(0%)
今回の投票では0%でしたが、プライバシーの確保は基本中の基本です。票数が伸びなかったのは「当たり前のこと」として既に実施されているためと考えられます。
対応のポイント
- 個室や周囲に声が漏れない環境での実施
- 本人の同意なく詳細を共有しないルール化
- 面談記録の取り扱いを厳格に管理
その他(5%)
コメントでは「産業医の人となりを浸透させること」「この人なら話しても良いと思ってもらえる信頼関係づくり」が挙げられました。形式的な面談ではなく、信頼できる関係性の中で行われることが成果につながるといえます。
投票結果から見える傾向と今後の展望
今回の投票から、以下のような傾向が明らかになりました。
- 面談成功の鍵は 事前準備(情報共有・目的整理) にある
- 従業員にとって納得感を持てるよう、 面談目的やその後の流れを丁寧に説明すること が重要
- 信頼関係や「産業医の人となり」も大切な要素
産業医面談は一度きりの場ではなく、従業員の健康やキャリアを支える継続的なプロセスです。
産業保健スタッフとしては、産業医・人事・従業員それぞれの立場が安心して関われる仕組みを整えることが求められます。
まとめ
- 最多は「事前の情報共有・準備」(64%)
- 「本人への面談目的の説明」「面談後の対応の明確化」も重要
- プライバシー配慮は前提として実施済みと考えられる
- 信頼関係づくりや産業医の人となりも面談成功の鍵
産業医面談を効果的に進めるために、ぜひ今回の結果を参考にしてみてください。