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産業医が学ぶべき「睡眠マネジメント」その2— 石田陽子(睡眠社会学の第一人者)が語る健康経営の視点

石田陽子(株式会社心陽代表取締役)


<目次>

1. 年齢とともに、睡眠は変化する
2. 世界から見た日本の睡眠の特徴
3. 健康課題一般と生産性の関係(健康経営の基本)
4. 睡眠課題と生産性の関係
5. 社会的時差ボケは、睡眠時間より強く生産性と総死亡率に影響
6. 社会的時差ボケを最小にする返済睡眠テクニック


1.年齢とともに、睡眠は変化する

このたび、産業医のための睡眠マネジメント第二弾の機会をいただきました。
第一弾では、産業医が【睡眠マネジメント】を学ぶ意義と、人間の睡眠を理解するための基本的な考え方を整理しました。
第二弾は、産業保健の視点で睡眠を語るときに最も重要な「生産性」との関係に注目します。
産業医が現場でどのように判断すれば、睡眠不足や睡眠障害による生産性損失を減らせるでしょうか。
そして、社会的時差ボケを防ぎながら睡眠負債を返済する、具体的な睡眠マネジメントテクニックをお伝えします。

睡眠時間には、眠ろうと寝床に入った就寝時刻から起きようと寝床から出た起床時刻までのTIB(Time in Bed)と、脳波や交感神経活性などによる他覚的な睡眠検査(PSG)によって測定されるTST(Total Sleep Time)があります。自記式アンケート調査はTIBに近似し、医・生物科学的な研究に用いられる睡眠時間はTSTです。

[図1]年代別睡眠時間と睡眠時間の構造
[図1]年代別睡眠時間と睡眠時間の構造

疫学調査によると、30歳すぎから後期高齢者の75歳までの労働年齢におけるTIBはほぼ一定で、TSTは、同じく30歳すぎから55歳まで、ほぼ一定です。55歳頃から深睡眠が減り、中途覚醒が増えることで、TIBは保たれているのに、TSTが少なくなります。
年齢とともにTIBとTSTのどちらの睡眠時間も短くなりますが、残念ながらその理由は、睡眠が上手になって効率化するためではなく、他の機能同様、睡眠する機能も衰えるからです。TIBに対するTSTの割合である睡眠効率が、55歳を境に徐々に低下していくことからも明らかです。

成人するまでは眠れば眠るほどよく、労働年齢の睡眠は概ね安定し、高齢者は睡眠の機能が低下することから、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」においては、子供、成人、高齢者の3区分で、推奨する睡眠習慣を区別して紹介しています。
本稿は、産業医のための睡眠マネジメントなので、成人を中心に解説します。


2.世界から見た日本の睡眠の特徴

世界と比べた、日本の睡眠の特徴は、とにかく睡眠時間が短いこと、そして、女性と子供の睡眠時間が更に短いこと、高齢者の睡眠が長過ぎることです。
産業医が学ぶべき「睡眠マネジメント」その2— 石田陽子(睡眠社会学の第一人者)が語る健康経営の視点

■執筆


石田陽子 (産業医、公衆衛生学博士、労働衛生コンサルタント、麻酔科標榜医 )

株式会社心陽代表取締役、ai-X株式会社CEO、心陽クリニック(本郷睡眠センター)院長

麻酔科医として高度急性期臨床に従事しながら、社会医学への関心を高め、企業の健康経営を支援する株式会社心陽を設立。
企業の産業医やセミナー講師、睡眠関連企業顧問など睡眠社会学の第一人者として活躍する一方、睡眠外来で臨床に当たる。
2025年2月、働く成人をターゲットにした『Dr. Yokoの睡眠マネジメント 眠るほど、ぐんぐん仕事がうまくいく』(文芸社)を出版。
2025年3月、睡眠を中心とする自律神経バランスにフォーカスし、AIを駆使して日本の生産性向上を目指すai-X株式会社を設立。


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