さんぽLAB

記事

働きやすい職場環境のためにできること~職場巡視や衛生委員会、集団分析結果の活用についてご紹介

働きやすい職場環境のために、皆さんはどのような産業保健活動を実施していますか?
健康で働きやすい職場環境には、労働時間や仕事の量や質、職場の人間関係など、さまざまな要因が影響しています。職場巡視の実施や、衛生委員会への参加、またストレスチェックの集団分析結果の活用等、職場環境を理解するための情報は多岐にわたります。
今回は、職場環境の改善に取り組む上で活用できる場所や制度をご紹介します。



【目次】
1.職場巡視~潜在的なリスクの早期発見
2.ストレスチェック~集団分析結果の活用
3.衛生委員会~報告だけで終わらせない


1.職場巡視~潜在的なリスクの早期発見

職場巡視とその目的

職場巡視とは、労働者の作業環境を定期的に確認する取り組みで、労働安全衛生規則により衛生管理者や産業医の職務として定められています。職場巡視は、作業方法や衛生状態に有害な影響を与える恐れがないかどうかを確認し、労働者の安全と健康の確保や、快適な作業環境・作業条件を支援するための課題解決を目的としています。

職場巡視によって、職場の安全管理や健康管理上のリスクを早めに見つけることができます。
また、実際にその場を観察することで、書籍などでは把握できない現場の作業に潜むリスクを発見することができます。産業保健スタッフにとっては、労働者の仕事内容、職場環境、事業場内の状況を把握する機会となり、個別の保健指導や健康管理上の対応にも役立ちます。

職場巡視に関連する規則

  • 衛生管理者の定期巡視(労働安全衛生規則第11条)
    衛生管理者は、少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備や作業方法または衛生状態に有害な恐れがある際は直ちに労働者の健康障害を防止するための必要な措置を講じなければならない。

  • 産業医巡視(労働安全衛生規則第15条)
    産業医は、少なくとも毎月1回作業場等を巡視し、作業方法または衛生状態に有害な恐れがある際は、直ちに労働者の健康障害を防止するための必要な措置を講じなければならない。
    (ただし、平成29年(2017年)の法改正により、事業者から産業医へ所定の情報が毎月提供され、かつ事業者の同意を得ている場合は産業医の職場巡視の頻度を2か月に1度とすることが可能です。)

職場巡視において、産業看護職に関する法規定はありません。
しかし、職場巡視は事業場における様々な情報を得る重要な機会です。職場環境の理解を深めることはもちろん、実際に労働者が働いている現場での表情や職場風土を確認することで、健康管理を行う上でのアセスメントに役立ちます。また、共に課題解決に取り組むことで現場との信頼関係の構築にも繋がります。


▼もっと詳しく知りたい方はこちら▼


2.ストレスチェック~集団分析結果の活用

ストレスチェックとは、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)のために行う、労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査のことです。
労働安全衛生法の改正により、2015年12月より常時雇用する労働者が50人以上の事業場に1年以内毎に1回の実施が義務付けられました。今後は、現在努力義務となっている常時雇用する労働者が50人未満の事業場についても、義務付けられる方向性です。

集団分析の位置づけ

集団分析はストレスチェック制度の一部で、仕事のストレスに関連する指標を職場ごとに算出し、職場環境の改善の契機とすることを目的とした検査です。
事業者は、実施者にストレスチェック結果を一定規模の集団ごとに集計・分析することとされ、その結果を踏まえて、職場環境の改善に努めるよう法令で定められています(努力義務)。

集団分析の活用

個別のストレスチェック結果と異なり、集団分析結果は事業場も確認することができるので、それを元に職場環境の改善活動を行うことが期待されています。

集団分析には、個人の結果が特定されないような方法を用います。ストレスチェック実施マニュアルでは、個人の結果の特定を避けるため、原則10人以上の集団を対象にすることが推奨されています。10人以下の組織であっても、幾つかの部署を合わせて集団分析を行う方法もあります。また、ストレスチェックの評価点の総計の平均値を求める方法や、仕事のストレス判定図を用いた方法など、個人が特定される恐れのない方法で活用をすることが重要です。

集団分析結果は、対象集団の管理者に不利益となる恐れもあるため、結果を共有する範囲は限定することが必要です。また、職場環境改善の際には、産業保健スタッフと管理監督者が協力して取り組むことが推奨されます。


▼もっと詳しく知りたい方はこちら▼



3.衛生委員会~報告だけで終わらせない

衛生委員会は、一定の条件をもとに労働安全衛生法によって設置が義務付けられ、労働災害の防止のための取り組みについて、労使が一体となり審議する場です。
衛生委員会の審議内容には、単純に「労働災害」を予防するためだけではなく、心身の健康の保持増進や衛生教育等も含まれています。

よく耳にする衛生委員会におけるお悩みのひとつとして、何かを審議する場ではなく、単なる報告会になっている、ということがあげられます。衛生委員会は、労使が対等に意見を言い合い、さまざまな立場から議論できる場です。このことを、出席者全員が意識することは、衛生委員会の活性化につながります。

産業保健スタッフが出席するメリット

法令によって、衛生管理者と産業医は衛生委員会の構成員にならなければなりません。保健師等の産業看護職については、法令上は衛生委員会への関与は明記されていませんが、衛生委員会の目的、産業看護職の役割を考えると、出席することが好ましいといえます。

積極的に課題や活動内容の共有、周知を行うことで、産業保健活動を知ってもらい、関心を持ってもらうこと、さらに意見をもらうことで、事業場や労働者のニーズに応じた産業保健活動を実施することに繋がります。産業保健活動の報告だけで終わらないために、事例検討や事例紹介等も効果的です。

衛生委員会は、事業場、労働者が対等に健康で働きやすい職場づくりについて審議することができる場です。衛生委員会を効果的に活用し、それぞれの役割を認識・確認しながら、同じ目標に向かって活動をすすめていくという意識づくりが重要です。


▼もっと詳しく知りたい方はこちら▼






お役立ちサービス



コメントする