効果的なコミュニケーションスタイルの理解と活用方法:行動変容を促すために
日常生活や職場において、コミュニケーションの行き違いから生じるストレスや摩擦は少なくありません。面談や保健指導の場で上手くいかなかったお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。このような問題を解決するためには、コミュニケーションスタイルを理解し、効果的に活用することが重要です。本記事では、コミュニケーションスタイルの基本的な理解と、行動変容を促すための具体的な方法について解説します。
【目次】
1.コミュニケーションスタイルの基本
2.コミュニケーションスタイルの種類と特徴
3.スタイル別の適切なアプローチ方法
4.コミュニケーションスタイルを実践に活かす
1.コミュニケーションスタイルの基本
コミュニケーションスタイルとは、他人とのやり取りにおける傾向や癖、好みのことです。これらは「良い」または「悪い」という基準ではなく、個人の特性として捉えられるべきものです。例えば、「少々お待ちください」という言葉に対して、3分で苛立つ人もいれば、10分待てる人もいます。これらの違いは個々の価値観や意識に基づいており、そのためにコミュニケーションのズレが生じ、ストレスや誤解、不安、怒り、さらには事故に繋がることもあります。
また、単に知識や情報を提供するだけでは、人は行動を変えません。行動変容を促すためには、以下の要素が重要です。
動機:何が相手を動かすのかを理解し、共に考える
知識と情報の提供:相手の行動ステージや特性に合わせた知識や情報を提供する
きっかけ:相手が自信を持てるような出来事にフォーカスし、やる気を引き出す
特に、大人の場合はすでに多くの知識や経験を持っているため、自分の価値観に合わない知識や意味を感じない情報は受け入れにくい傾向があります。大人の学びは、新しい知識の形成ではなく、既存の知識の変容を目指すものであることを理解することが重要です。
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2.コミュニケーションスタイルの種類と特徴
自分と他者のコミュニケーションスタイルを理解することは、対人関係を円滑にするために不可欠です。コミュニケーションスタイルには以下の4つの主要なタイプがあります。
■プロモーター
感情表出が多く、行動・判断が早い。楽しさを重視し、表情豊かでよく話します。否定や意見の押しつけを嫌います。
■コントローラー
感情表出が少なく、行動・判断が早い。結論を先に述べ、要点だけを短く断定的に話します。回りくどい話や細かな質問を嫌います。
■サポーター
感情表出が多く、行動・判断がゆっくり。気持ちを重視し、話が長く焦点がぼけることがあります。一方的な関わり方や責任を負わされることを嫌います。
■アナライザー
感情表出が少なく、行動・判断がゆっくり。論理的かつ具体的に話します。あいまいな話や根拠のない発言を嫌います。
自分のスタイルを理解することで、コミュニケーションの癖を調整することができます。また、他人のスタイルを理解することで、相手に合わせたコミュニケーションを取ることができます。これらによってコミュニケーションによるストレスを減少させることが可能です。
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3.スタイル別の適切なアプローチ方法
保健指導の場における、スタイルの見分け方とそれぞれに合わせたアプローチ方法を以下に示します。
■コントローラー
結論を強調し、要点だけを簡潔に話します。そんな方には要点を手短に伝え、主導権を握らせることが重要です。
例:「30分の面談で、○○さんは何について一番知りたいですか?」
■プロモーター
楽しさや感情を重視し、話が飛びやすいです。そんな場合は相手のテンションに合わせ、楽しさを重視したアプローチを取ります。
例:「間食と上手に付き合っていく楽しいメニューを紹介します。」
■アナライザー
論理的で具体的な説明を好みます。しっかりと根拠や論理的な説明を提供し、納得してもらうことが大切です。
例:「ウォーキングを再開しようと思っているのですね。以前の成功体験を教えてください。」
■サポーター
気持ちを重視し、前置きが長くなりがちです。そんなときは安心感を与え、サポートする姿勢を見せることが必要です。
例:「今日はその対策を一緒に考えましょう。」
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4.コミュニケーションスタイルを実践に活かす
コミュニケーションスタイルの理解は、個々の特性を活かし、苦手を補うための手段です。これは、保健指導の場だけでなく、チームとしてスムーズに活動するためにも役立ちます。
■多様性の尊重
各スタイルの特性は「良い」「悪い」ではなく、個々の持つ傾向です。チームメンバーや対象者のスタイルを理解し、尊重することが重要です。
■自己理解と調整
自分のコミュニケーションスタイルを知ることで、自分の癖を調整し、相手に合わせたコミュニケーションが取れるようになります。
■無意識の自動反応の意識化
保健指導の場で無意識に生じる感情や反応を意識し、言語化する練習が役立ちます。
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情報提供者
松岡幸代(管理栄養士)
栄養マネージメントオフィスCrecer(クレセール)代表
ヘルスコーチジャパン認定コーチ/産業カウンセラー/健康経営アドバイザー
<経歴>
・京都医療センター 糖尿病外来
・糖尿病専門クリニックにおける栄養指導業務
・企業健康管理署における健康セミナー講師
・栄養相談業務
・特定保健指導(集団指導)
・市町村における健康教室
・糖尿病重症化予防