コミュニケーションスタイルを学ぶ目的とは? 行動変容を促すために必要なこと
一人一人みんな違うということを頭ではわかっていても、互いの違いがもたらす行き違いによってストレスやいざこざが起きたりということが日々の生活の中で起こっていると思います。
「伝えたかったこととは違うものが伝わった」「自分の意図とは違う意味に受け取られて誤解が生じた」「相手の何気ない一言や態度・ふるまいでイラっとした」
もしこのようなことが頻繁に起こるのであれば相手との互いのコミュニケーションの取り方の違いや、受け取り方・捉え方の違いが大きな原因になっているでしょう。
しかし、このようなすれ違いが「どんな時」に「どのように」起こるのか、互いに「どのくらい」「違うのか」といったことについて学ぶ機会があまりありません。 そこでストレスで疲れ切って悩んでいる方も多いです。コミュニケーションスタイルを学び、良好な関係を築けるようになりましょう。
※本記事は次の動画の内容(一部)を編集して作成しています。動画で見たい方は以下リンクよりご覧ください。
▶①コミュニケーションスタイルを学ぶ目的とは?【保健指導に活かすスタイル別コミュニケーション術】
【目次】
1. コミュニケーションスタイルとは
2. コミュニケーションスタイルを学ぶ目的
3.人の行動を動かすために
1.コミュニケーションスタイルとは
他人とのコミュニケーションの取り方の傾向・癖・好みがあります。 それは「良い」「悪い」ではなく、個人の持つスタイル・傾向です。生まれて育ってきた環境にもよります。 自分のコミュニケーションスタイルを知ることで、意識して自分のコミュニケーションの癖を調整することができるようになります。また、他人のスタイルが理解できて、相手に合わせたコミュニケーションがとれるということは、対人支援する人にとって強いスキルになります。
「少々お待ちください」と言われたら何分待ちますか?病院の外来や百貨店の店員さんに言われて、3分でイラつく人や10分待てる人など様々かと思います。ここでも持っている意識や価値観というのは違ってきます。そしてコミュニケーションのずれが起こります。
コミュニケーションがずれると、ストレスが起こります。そのストレスの先には、不安や怒りが生じます。看護や医療の場面ではストレスだけで終わらず、医療事故につながることもあります。
他人とのコミュニケーションを円滑に行い、関係性を整えるためには、「コミュニケーションはずれやすい」「ズレない工夫が必要である」という前提を持つことが大事 です。「何でわかってくれないんだろう」「普通はこうでしょ」と思っても、それは自分にとっての普通であり、相手にとっては普通でもなければ正しいことでもありません。このようなことを常に頭に置いておくことが、自分もストレスから解放されます。
2.コミュニケーションスタイルを学ぶ目的
お互いのスタイルの違いを分かることで、その違いを理解し多様性を知ることで「歩み寄り」ができるようになります。また、互いの違いを「違い」として「活かし合える」関係になります。これによって良好な関係が手に入ります。
コミュニケーションの原則
コミュニケーションの原則として、言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションがあります。 また、コミュニケーションの3つの要素として、視覚情報・聴覚情報・言語情報があります。メラビアンの法則と言って、1番影響されるのは視覚情報です。身だしなみや表情、目線、身のこなしなどが一番情報として行き渡ります。次に、声の大きさやトーン、早さといった聴覚情報です。続いて言語情報です。
人の評価プロセス
人は相手を評価するとき、外見➡態度➡話し方➡話の内容の順番で評価します。 より良い関係性を築くために、言語以外のコミュニケーションにも意識を向ける必要があります。
3.人の行動を動かすために
大人と子どもの学び方の違い
対象者特性を見極めず同じ話では特に大人は動きません。これには、子どもと大人の学び方の違いが関係しています。
子どもの学び | 形成する | 空っぽの箱の中に知識を入れていく学び方 |
---|---|---|
大人の学び | 変容する | もともとの知識が変容する学び方 |
大人の学びの特徴として、大人はすでに様々な知識・経験・価値観を持っているため、自分の価値観にそぐわない知識や意味を感じない知識は受け入れにくいという点があります。全く新しい知識が形成されるのではなく、もともとの知識が変容する学び方をする のです。
人は知識・情報だけでは行動しない
人が行動を起こすには、知識・情報だけでは不十分です。では何が必要なのか見てみましょう。
動機:何が人を動かすのか一緒に寄り添い考えていく
知識・情報能力:行動ステージや対象者の特性やスタイルに合わせた情報や知識の提供
きっかけ:自信につながる出来事にフォーカスしてやる気スイッチを押す
やる気と行動を促すには何が必要か
皆さんはきっと医学的知識を学び健康教育に携わっているでしょう。 そして認知行動療法、コーチング、カウンセリング、動機付け面接法、ナッジ理論と様々学んできたかと思います。 しかし、コーチングだけで人を動かせる、傾聴だけのカウンセリングだけでできるといったことではありません。 いろんな面接技法を合わせて、そこに人間力をプラスすることでコミュニケーション力に繋がります。
次の記事では、実際にどのようなコミュニケーションスタイルがあり、それぞれどのような特徴があるのかご紹介します。是非ご覧ください。
▶記事を読む コミュニケーションスタイルの4つの種類~それぞれの特徴と見分け方をご紹介~
講師
松岡幸代(管理栄養士)
栄養マネージメントオフィスCrecer(クレセール)代表
ヘルスコーチジャパン認定コーチ/産業カウンセラー/健康経営アドバイザー
<経歴>
・京都医療センター 糖尿病外来
・糖尿病専門クリニックにおける栄養指導業務
・企業健康管理署における健康セミナー講師
・栄養相談業務
・特定保健指導(集団指導)
・市町村における健康教室
・糖尿病重症化予防