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コミュニケーションスタイルを見極め保健指導に活かすポイント

保健指導や面談の場において、相手のコミュニケーションスタイルを理解し、適切なアプローチを選択できればスムーズに進みます。本記事では、コミュニケーションスタイルを見極め、初回面談を円滑に進める方法を具体例をもとに紹介します。


※本記事は次の動画の内容(一部)を編集して作成しています。動画で見たい方は以下リンクよりご覧ください。
③各コミュニケーションスタイルの種類【保健指導に活かすスタイル別コミュニケーション術】



【目次】
1. 各コミュニケーションスタイルの特徴
2. 各コミュニケーションスタイルの例
3.スタイル分けを保健指導の初回に活かす



1.各コミュニケーションスタイルの特徴

コミュニケーションスタイルは、プロモーター・コントローラー・サポーター・アナライザーの4つに分けられます。それぞれの話し方の特徴を見てみましょう。

スタイル しゃべりの特徴
プロモーター 楽しさが第一/表情豊か/よくしゃべる/話が飛ぶ
コントローラー 結論から/単刀直入に/要点だけを短く断定的/強い口調、そっけない
サポーター 前置きから入る/話が長い/気持ち重視/焦点がぼける/何を言いたいのかわかりづらい
アナライザー 具体的に/根拠を持って論理的に/わかりやすく



これらの特徴を理解し、スタイル別の適切なアプローチ方法を選んでいくことが重要です。

2.各コミュニケーションスタイルの例

では実際にスタイル分けをしてみましょう。4人に保健指導で同じ問いをしました。それに対する答えを見て、4人のスタイルを考えてみましょう。


Aさん「2kgですよね?1日でも増減するんじゃないですか?あまり気にしていませんが何か問題ありますか?」

Bさん「そうなんですよ!テレワークで家にいることが多くて、つい好きなお菓子を食べてしまって。でもそんなに増えてますか?」

Cさん「増えた原因は自分でわかっているので、大丈夫です。最近運動不足だっただけで、またウォーキング再開すれば戻せますよ。」

Dさん「すみません…。食べたらいけないと分かっていてもつい…。昨年も言われたのに、ダメですね…。どうしたら減りますでしょうか?」


分かりましたでしょうか?要点や結論を強い口調で話すAさんはコントローラー、感情豊かに話すが話が飛んでしまうBさんはプロモーター、論理的にきっちりと話すCさんはアナライザー、気持ち重視で前置きが長いDさんはサポーターと判断できるでしょう。

3.スタイル分けを保健指導の初回に活かす

話し方からコミュニケーションスタイルを判断することができました。ではそれぞれにどのような声掛けをすればよいでしょうか?スタイル別に見てみましょう。

■コントローラー

コントローラーは、結果が大事で/判断したい/目的のために動く、という特徴があります。 そんな方にはすぐに要件を手短にお伝えします。また、相手を労い、主導権を相手に握ってもらうことが重要です。「あなたの知りたいことを私は専門職としてお伝えしますよ」というスタンスをお見せしましょう。

<最初の一言の例>
「本日面談にお越しいただきありがとうございます。30分の面談で、○○さんは、何について一番知りたいなと思われますか。(対象者の回答)△△と□□について知りたいのですね。では、今日はこの2点について✕✕分で説明させていただきます。よろしいでしょうか。」

■プロモーター

プロモーターは、楽しさが大事/影響したい/気分で動く、という特徴があります。 こういった方の場合は相手を承認することが重要です。相手のテンションに合わせ、楽しみながら取り組めるような工夫ができると良いでしょう。

<最初の一言の例>
「食べることがお好きなようですね。好きなお菓子食べてる時って幸せな気持ちになりますものね。間食と上手に付き合っていく楽しいメニュー、ダイエットのプログラムをそろえていますので、ご希望のコースを選んでください。 」

■アナライザー

アナライザーは、根拠が大事/正直でありたい/理由と納得で動く、という特徴があります。 自分の成功体験を質問されるとお話ししてくれる方が多いです。そこを切り口に質問してみましょう。また、論理的な話が好みなので、エビデンスなどを組み込んでみると興味を持ってもらいやすいでしょう。

<最初の一言の例>
「最近運動不足だったんですね。ウォーキングを再開しようと思っておられるとのことですが、以前はウォーキングでうまくコントロールされてたんですね」

■サポーター

サポーターは、調和が大事/合意したい/感情で動く、という特徴があります。 不安を抱えて「すみません」という方が多いです。「安心してください、サポートしますよ」というスタンスを見せてポジショニングをまず整えましょう。そうでなければ、冷たい印象を持たれたり、「また怒られる…」とネガティブになったりする可能性があります。

<最初の一言の例>
「食べたらいけないと分かっているけど、つい食べてしまうんですね。今日は、その対策を考える時間にしてよろしいですか。何か、一人で悩んでいることがありましたら一緒に考えていきますので、お話ししてください。」


相手のコミュニケーションスタイルを理解し、適切なアプローチ方法を選択して円滑に保健指導を進めていきましょう。

▶次の記事を読む コミュニケーションスタイルを理解して実践に活かすには


講師


松岡幸代(管理栄養士)

栄養マネージメントオフィスCrecer(クレセール)代表
ヘルスコーチジャパン認定コーチ/産業カウンセラー/健康経営アドバイザー

<経歴>
・京都医療センター 糖尿病外来
・糖尿病専門クリニックにおける栄養指導業務
・企業健康管理署における健康セミナー講師
・栄養相談業務
・特定保健指導(集団指導)
・市町村における健康教室
・糖尿病重症化予防




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