健康経営に欠かせない指標 ワーク・エンゲージメントとエンプロイー・エンゲージメント
少子高齢化により、労働力不足が懸念されており、企業にとって人材確保や従業員の生産性の向上はより一層注目されています。
自発的な意志と行動で仕事に取り組み仕事にやりがいを感じている状態であることが、健康経営の実現には必要に不可欠であり、この状態のことをエンゲージメントと呼びます。働く人のエンゲージメントには、ワーク・エンゲージメントとエンプロイー・エンゲージメントがあります。
【目次】
1.ワーク・エンゲージメントとは
2.エンプロイー・エンゲージメントとは
3.ワーク・エンゲージメント、エンプロイー・エンゲージメントを高めるメリット
4.まとめ
1.ワーク・エンゲージメントとは
従業員個人の仕事に対するポジティブな心理状態のことで、ユトレヒト大学のウィルマー・B・シャウフェリらによると、「ワーク・エンゲージメントとは、仕事に関連するポジティブで充実した心理状態であり、活力、熱意、没頭によって特徴づけられる。エンゲージメントは、特定の対象、出来事、個人、行動などに向けられた一時的な状態ではなく、仕事に向けられた持続的かつ全般的な感情と認知である」と定義されています。
2.エンプロイー・エンゲージメントとは
エンプロイー・エンゲージメントとは従業員エンゲージメントとも呼ばれ、従業員が会社に対して抱く愛着を指す言葉であり、会社への帰属意識や理念・ビジョンへの共感、貢献意欲、職務満足などを内包する概念を意味します。
エンプロイー・エンゲージメントは、従業員が会社の待遇や職場環境への満足度を指す従業員満足度や、会社への忠誠を指すロイヤルティとは少し異なります。
エンプロイー・エンゲージメントを高める3つの要素には「企業理念・ビジョン、バリューの浸透」「正当かつ適切なフィードバック、透明性のある人事評価」「正しい現状分析と的確なPDCAサイクル」があります。
3.ワーク・エンゲージメント、エンプロイー・エンゲージメントを高めるメリット
①生産性の向上
仕事に対するモチベーションが向上するため、ひとりひとりの従業員のパフォーマンス向上、企業の業績アップにつながります。
②組織の活性化
エンゲージメントが高い従業員の存在は、意欲的な人材が育ちやすい組織風土を構築する要素となります。
③離職防止、人材の定着
現在の仕事内容や環境への満足・幸福感が得られると、長く勤めたいという気持ちが生まれるため、企業にとっては離職率の低下が期待できます。
さらに、エンプロイー・エンゲージメントは、愛社精神にもつながるため、その組織に貢献したいという想いも強くなり、離職防止となります。
④メンタルヘルスの向上
エンゲージメントが高い人材は、心理的ストレスや負担も少なく、心に余裕をもって働けているといえ、やりがいを感じているといえます。
企業にとっては、メンタルヘルス不調による休職・離職の予防だけでなく、企業イメージの向上にもつながります。
4.まとめ
ワーク・エンゲージメント、エンプロイー・エンゲージメントを高めることは、従業員、企業双方にメリットがあります。
健康経営を実現するためには、これら二つのエンゲージメントを高めることが必要です。
産業保健スタッフには、不調の予防だけでなく、従業員がやりがいをもって活き活きと働くことができることを目指した活動が求められています。