産業医・産業保健師が考えるべきキャリアオーナーシップとは?主体的なキャリア形成のすすめ
<目次>
1.産業保健職にも求められる「キャリアオーナーシップ」とは
2.なぜ産業保健職にキャリアオーナーシップが必要なのか
3.産業保健職キャリアパスの3つのモデルと役立つ資格
4.キャリアオーナーシップを実践するための行動ステップ
5.キャリアオーナーシップで拓かれる産業保健職の未来
1.産業保健職にも求められる「キャリアオーナーシップ」とは
近年、キャリアオーナーシップという言葉が注目されています。これは、会社任せではなく「自らのキャリアを主体的に築いていく姿勢」を意味します。
産業医・産業保健師などの産業保健職にとっても、この考え方は重要です。企業や環境の変化に左右されるのではなく、自らの専門性を高め続けることで、どの職場でも求められる人材であり続けるために、キャリアオーナーシップを持つことが不可欠です。
本記事では、産業保健職がキャリアオーナーシップを持つべき理由と、その実践方法について解説します。
2.なぜ産業保健職にキャリアオーナーシップが必要なのか
■役割の拡大と市場価値の変化
働き方改革や健康経営の推進により、産業保健職の役割は大きく変わっています。従来の「健康診断」「職場巡視」「保健指導」だけでなく、
といった、より企業の人材戦略や生産性向上に貢献する役割が求められています。
この流れの中で、「従来型の業務を淡々とこなすだけ」の状態にとどまっていると、今後のキャリアの選択肢が狭まってしまう可能性があります。
■「自分の強み」を明確にしないリスク
企業の統廃合や業務委託化が進む中、産業保健職も安定して働ける環境が保証されるとは限りません。そのため、「自分ならではの強み」や「独自の専門性」を確立しておくことで、仮に今の職場を離れても他社で活躍できる自信と実力を身につけておくことが大切です。
3.産業保健職キャリアパスの3つのモデルと役立つ資格
キャリアオーナーシップを実践するためには、まず「自分が目指すべき方向性」を見定めることが必要です。以下の3つのモデルを参考に、自分に合った道を考えてみましょう。
①専門特化型キャリア
- メンタルヘルスや復職支援のスペシャリスト
- 健康経営・人的資本経営コンサルタント
- 労働衛生リスクマネジメントの専門家
さらに現状の資格だけではなく、新たな領域や専門性を高めていくために資格を取得することも有効になります。
- 労働衛生コンサルタント
- 健康経営エキスパートアドバイザー
- メンタルヘルス法務主任者
- メンタルヘルスマネジメント検定(Ⅰ種・Ⅱ種)
- 公認心理師
- 両立支援コーディネーター
- キャリアコンサルタント
これらの資格を取得することで、専門性をさらに裏付けし、信頼を得やすくなります。
専門特化型キャリアは、特定の分野に深く特化し、その領域で高い専門性を持つプロフェッショナルとして活躍する道です。このキャリアパスでは、特にメンタルヘルス、復職支援、健康経営、労働衛生リスクマネジメントなど、具体的な専門分野に焦点を当てます。高度な専門知識とスキルを持つことにより、企業や外部団体から「この分野なら〇〇さんにお任せしたい」と指名されるような信頼される専門家となることが目標です。
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②マネジメント・戦略人事を担うキャリア
- 産業保健部門のリーダーやマネージャー
- 健康経営推進プロジェクトリーダー
- 人材開発・組織開発のプロジェクトリーダー
このキャリアパスは、産業保健、健康経営、人材開発を包括的に考え、組織の成長と従業員の健康を結びつける重要な役割を担います。経営戦略と連携しながら組織全体の健康管理体制を構築・運営するため、高いリーダーシップ、戦略的思考、データ活用能力が求められます。最終的には、健康経営を企業文化として根付かせ、従業員の生産性や満足度の向上に寄与することが目標です。
③フリーランス・独立型キャリア
- 産業医事務所を設立して複数企業を支援
- フリーランス産業保健師として複数企業を支援
- メンタルヘルス相談や研修講師として活動
- 企業の健康経営に関連する情報発信や講演活動
フリーランス・独立型キャリアは、企業の枠を超えて複数の企業や個人に対して自分の専門性を提供し、より自由で柔軟な働き方を実現するキャリアです。このキャリアパスでは、自分の強みや特技を最大限に活かし、独自のサービスを提供することが求められます。自分のスケジュールを調整しながら、複数のプロジェクトに携わり、社会的な影響力を高めていくことができるため、高い専門性と自己管理能力が重要です。
4.キャリアオーナーシップを実践するための行動ステップ
Ⅰ.自己分析を深める
「自分が得意なこと」「やりたいこと」「市場が求めていること」の3つが交わる領域を見つける。
- 自分の強みは何か
- どんな働き方が理想か
- どの分野にニーズがあるのか
これらを可視化することで、理想のキャリア像が見えてきます。
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Ⅱ.スキルアップの継続
- メンタルヘルス支援の専門資格取得
- 経営視点を持つための研修受講・資格取得
- データ分析やプレゼンテーションスキルの習得
「産業保健の枠を超えた学び」も取り入れながら、自分の付加価値を高めましょう。
Ⅲ.情報発信・ネットワークづくり
自分の専門性を「見える化」することも重要です。
- SNSやブログで情報発信
- 産業保健職のコミュニティや勉強会に参加
- 人事担当者や経営層との関係構築
これにより、新たなキャリアチャンスを引き寄せる可能性が広がります。
5.キャリアオーナーシップで拓かれる産業保健職の未来
産業医・産業保健師がキャリアオーナーシップを持つことは、単に「安定」を得るためだけではありません。自らの専門性を磨き、価値を高め続けることで、
- どんな環境でも必要とされる存在になれる
- 自分の理想に合った働き方を選べる
- 結果として、企業や従業員の健康支援をより広く、深く実現できる
という未来を実現できるのです。
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