支援者もセルフケアが大切~感情労働とは。従業員支援に伴うストレス、対処方法について紹介
メンタルヘルス不調に至るプロセスは、人それぞれです。
働く環境や対人関係、その時の心身の状況によって、誰もがメンタルヘルス不調に陥る可能性があります。そして、日々従業員から相談を受ける産業保健スタッフの皆さんも例外ではありません。「相談を受けることがつらい」「同僚が疲弊している」そんな状況が起きてはいませんか?
今回は、セルフケアの重要性について理解を深めていきましょう。
セルフケアを実践する上でキーワードとなる、感情労働、ストレスコーピング、そしてレジリエンスについてご紹介しています。
【目次】
1.感情労働者の心理的ケア
2.ストレスコーピング~ストレスは正常な反応
3.レジリエンス~困難に遭遇した経験を活かす
1.感情労働者の心理的ケア
皆さんは、感情労働という言葉を聞いたことがありますか?
感情労働とは、社会学者A・R・ホックシールドによる言葉で「相手(=顧客)の精神を特別な状態に導くために、自分の感情を誘発、または抑圧することを職務にする、精神と感情の協調が必要な労働のこと」を言います。
代表的な職種としては、看護師、介護士、客室乗務員、カウンセラー、コールセンターオペレーターがあげられます。日々、従業員の相談を受ける私たち産業保健スタッフは、まさに感情労働者に該当します。
相談をいただく状況によっては、罵倒さたれり、強い怒りを受けることがあるかもしれません。また、相談者の状況に対して、共感することに疲れてしまうこともあるでしょう。感情が揺さぶられることで、日々疲労する場面があるかと思います。
心が疲弊してしまったとき、皆さんはどのような対策を取られていますか?
専門職としての自分自身の思考と向き合うことや、ちょっとしたことを話せる相談場所を確保しておくこと良いでしょう。
2.ストレスコーピング~ストレスは正常な反応
ストレスコーピングとは、ストレスに対してうまく対処しようと意図的に行うセルフケアの1つです。コーピング(coping)には、英語で「対処する・処理する」という意味があります。ストレスに対してうまく向き合えるようになるため、職場でのストレス対策として注目されています。
日々の相談業務を実践する中で、「もやもや」「イライラ」した感情を抱くことがあるかもしれません。
ストレスは、誰にでも起こりえる正常な反応です。多くの場合は、次第に収まり回復していきます。ですが、その影響が長引く場合もあるため、ストレスを受けた際の心身の反応を理解し、ストレスコーピングを実施しましょう。
ストレスコーピングを実施する際は、自分が何にストレスを感じるかを知ること、そして自分がストレスを感じたときにどのような対処をするのかを考えることが大切です。
ストレスコーピングをうまく取り入れてストレスに対処していきましょう。
3.レジリエンス~困難に遭遇した経験を活かす
レジリエンス(resilience)とは「しなやかな強さ、精神的回復力、復元力」などと訳され、挫折や苦境から立ち直り、回復する力として注目されています。
困難な問題やストレスに遭遇したとしても、その経験を生かし、自分自身をさらに成長させていく能力です。
従業員を支援するプロセスで、さまざまな困難があると思います。
相談いただいたお悩みや課題をうまく解決できず、専門職として「無力感」を感じることがあるかもしれません。うまく解決しなければと、日々心を擦り減らしていませんか?
頑張りすぎて倒れてしまうのではなく、レジリエンス力を高め、対応していくことが重要です。 レジリエンス力の高い人は、メンタルヘルス疾患にかかりにくく、健康でやる気があり、生産性が高いといわれています。
その特徴は、
- 発想や考え方が柔軟である
- 自分にも人にも優しく、周囲の人達と良い関係を築ける
- 新しいことや知らないことに興味を持ち、積極的にチャレンジする
などがあげられます。
レジリエンスを高める方法の一つとして、自分自身を大切の思う「自尊感情」を高めることがあげられます。
そのために出来ることは、どのようなことがことがあるでしょうか。