SDS(安全データシート)
1.SDSとは
SDSとは、安全データシート(Safety Data Sheet)の略語であり、事業者が化学物質および化学物質を含んだ製品を他の事業者に譲渡または提供する際に交付する化学物質の危険性と有害性の情報を記載した文書のことです。SDSは、これらの化学物質を使用して作業をする労働者にとって、取扱い時等において、非常に有益な情報伝達ツールとなります。
国によるGHS分類で物理化学的危険性又は健康有害性が確認されたすべての物質について、順次、労働安全衛生法に基づくラベル表示・SDS交付が義務付けられる予定です。
2.SDSの記載事項と交付方法
日本国内では、JIS Z 7253【GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達情報-ラベル、作業場内の表示および安全データシート(SDS)】に、SDSの記載項目等が規定されています。
<SDSの記載事項>
- 物質または混合物および会社情報
- 危険有害性の要約
- 組成および成分情報
- 応急措置
- 火災時の措置
- 漏出時の措置
- 取扱いおよび保管上の注意
- 物理的および化学的性質
- 安定性および反応性
- 有害性情報
- 環境影響情報
- 廃棄上の注意
- 輸送上の注意
- 適用法令
- その他の情報
SDSの通知手段は、譲渡提供をする相手方がその通知を容易に確認できる方法であれば、事前に相手の承諾を得なくても、以下の方法で通知が可能となりました。
<法改正後のSDS等による通知方法>
- 文書の交付、磁気ディスク・光ディスクその他の記録媒体の交付
- FAX送付、電子メール送付
- 通知事項が記載されたホームページのアドレス、二次元コード等を伝達し、閲覧を求める
3.SDSに関する法規制
日本国内におけるSDSに関する法規制としては、労働安全衛生法の他、毒物及び劇物取締法、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)があり、それぞれの法令において指定される化学物質に関しては、定められた形式のSDSの作成・配布が義務付けられています。
4.まとめ
化学物質による労働災害を防止するためには、ラベルやSDSを通じて化学物質の危険有害性などの情報が確実に伝達され、情報を入手した事業者が、情報を活用してリスクアセスメントを実施し、リスクに基づく合理的な化学物質管理を行うことが重要です。事業者と労働者が危険有害性を認識し、必要な措置を検討・実施する仕組みづくりが重要です。
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