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メンタルの治療と仕事を両立させるためには

現在、メンタル不調をきたし休職する人の割合は増えてきました。厚生労働省が公表している『令和4年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況』によれば、令和3年11月1日から令和4年10月31日までの期間にメンタル不調により1か月以上休業した労働者又は退職者がいた事業所の割合は13.3%とのことでした。前年度では10.1%と発表があったため増加の傾向にあると言えます。本記事ではメンタルの治療と仕事を両立させることについて網羅しています。是非、参考にしていただけたらと思います。


【目次】
1.メンタル不調に陥る原因
2.メンタル不調を早期発見するには?
3.メンタル不調の予防手段
4.メンタル不調との両立支援の進め方



1.メンタル不調に陥る原因

そもそもメンタル不調の定義は何でしょうか?厚生労働省によれば「精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み・不安といった労働者の心身の健康や生活の質に影響を与える可能性がある問題を幅広く含むもの」と定義づけられています。また、不調を起こすのは外部ストレスを起因とした外部要因と自身が感じる不安やストレスによる内部要因の2つがあります。

また、外部要因と内部要因とあわせて、仕事や職場環境を起因とした職場要因とプライベートが起因となる私的要因があり、それぞれの要因が組み合わさってメンタル不調になっていきます。要因にあわせて、正しい対応をすることが肝心です。

2.メンタル不調を早期発見するには?

メンタルを回復させるためには、メンタル不調のサインをいち早く察知することが肝心です。メンタル不調になってしまうと通院の必要が出てきますので、以下の不調のサインを見逃さないようにして早期発見を心掛けましょう。

①感情面のサイン

メンタルが不調になりつつあると、これまでとは異なる感情や思考に陥りやすくなります。

<感情・思考面で気を付けたいサイン>

・気分が沈みやすくなる、憂鬱感が続く
・不安な気持ちに駆られて落ち着かない
・理由もなく涙が出る
・何をするにも億劫で元気がない
・以前より怒りっぽくなった
・何をしても楽しいと感じられない
・消えてしまいたいような気持ちになる
・誰かが自分の悪口を言っているような気がする
・どうせ上手くいかないと悪いことばかり考える
・自分のせいだと自分を責めがちになる

②体調面のサイン

メンタル不調を起因とした体調不良は、長く続きやすく生活の質をも下げてしまいます。体調不良だなと感じたら、それはメンタル不調が原因かもしれません。

<体調面で気を付けたいサイン>

・なかなか寝付けない、ぐっすり眠れない、反対に寝過ぎてしまう
・食欲がない、食事をおいしく感じない、反対に食べ過ぎてしまう
・肩こりや頭痛が続く、疲労感がとれない
・胸がどきどきして息苦しく感じることがある
・体がだるく、やる気が起きない
・お腹の調子が悪く、便秘や下痢が続く

③ 生活面のサイン

メンタルが落ち込んでしまうと、今まで我慢できたことや続けてこれたことができなくなってしまうこともあります。

<生活面で気を付けたいサイン>

・睡眠リズムや生活リズムが乱れる
・家に閉じこもりがちになる
・遅刻や欠勤が増える
・単純なミスが増える
・お酒を飲む量や回数が以前より多くなる
・身だしなみに気を使えなくなる
・浪費しやすくなる

(参考:アドバンテッジジャーナル 仕事でのメンタル不調、どうすればいい?原因やセルフケア方法を解説

3.メンタル不調の予防手段

メンタル不調にならないためには、まずはセルフケアを心掛けるようにしましょう。

①しっかりと睡眠を取る

メンタル不調とフィジカルの状態は密接に繋がっています。まずは睡眠時間を確保するようにしましょう。毎日6時間以上の睡眠時間を確保し、睡眠の質を向上させるために寝具にお金をかけてみるのもよいでしょう。

睡眠の質が下がる例の1つとしてスマートフォンを寝室に持ち込み、寝落ちてしまうまで触ってしまうという方もいます。特に寝室でSNSを見続けてしまうのも、嫌なものを見てしまったり不愉快な気持ちになってしまうなど、メンタルに優しい行為ではないです。寝室にスマートフォンを持ち込まないのも睡眠の質向上に役立つので、試してみてください。

②気分転換をする

趣味や好きなことがある人は、あらためて趣味を楽しむ時間を作ってみてはいかがでしょうか?流行りのゲームで遊ぶ、ちょっと運動しに出掛ける、マラソンに挑戦するためにランニングを始めるなど少しでも興味のあることを始められると良いと思います。

個人的には散歩がおすすめです。ゲームと歩くことが連動したアプリやポイ活ができるアプリもあるので、それらを入れてみるのも良いでしょう。ピクミンブルームはマイペースにできるので、とてもおすすめです。

③相談をする

誰かに悩みを聞いてもらうことによって悩みが和らぐこともあります。問題を一人で抱え込むとしんどくなるだけですので、友人や同僚、会社の上司に悩みをぶつけてみるのも良いでしょう。また、会社でカウンセリングサービスを契約している場合は、それらを活用してみるのも良いでしょう。プロに相談することで、ご自身で気づいていなかった課題が浮かび上がってくることもあります。

4.メンタル不調との両立支援の進め方

ここまででメンタル不調の原因と予防について理解してきました。では両立支援はどのように進めていけばよいのでしょうか。ここで厚生労働省が出している「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」を見てみましょう。ガイドラインによれば、両立支援のためには以下の手順を踏むことを推奨しています。


(1)事業者による基本方針等の表明と労働者への周知
衛生委員会等の調査審議を行い、事業者としての基本方針や具体的な対応方法等の事業場内ルールを作成し、労働者に周知します。

(2)研修等による両立支援に関する意識啓発
実行性を確保するため、全ての労働者等に対して研修等を通じて意識啓発します。

(3)相談窓口等の明確化
労働者が安心して相談・申出を行えるように相談窓口及び情報の取扱い等を明確化します。

(4)両立支援に関する制度・体制等の整備
短時間の治療が定期的に繰り返される場合等に対応できる休暇・勤務制度を検討・導入や対応手順、関係者の役割の整理、情報共有のための仕組みづくりをします。


まずは上記の手順を踏むことが求められます。ですが、メンタル不調による復職は課題が多いです。公益財団法人日本生産性本部が出している「産業人メンタルヘルス白書」によればメンタルヘルス不調者の復職の際に事業所が抱く課題として、「本人の回復状況の評価(が難しい)」が全回答の84%、ついで「主治医との情報交換(が難しい)」が約54%という調査結果が提示されています。

つまり、メンタル不調からの復職には「対象者の現状をどのようにして見極めるか」が重要になるのです。

解決案として、独立行政法人労働者健康安全機構が出している「メンタルヘルス不調をかかえた労働者に対する治療と就労の両立支援マニュアル」に掲載のある多職種連携について紹介します。

まず、前提として連携を抑制している原因は何なのでしょうか?そもそも治療の時点では対象者は患者であるため、病院では労働者や生活者という部分に主眼が置かれません。いわゆる疾病性です。事業場の側としては、対象者に働いてもらいたいため、治療方法や診断情報よりも働けるかどうかを知りたいのです。病院側と事業場側で対象者に何をするのが目的が異なっているのが、正しい連携を阻害しているのです。

下記の図は、復職の対象者を中心として支援に関係する人物を並べたものとなります。

職場復帰支援の5つのステップ

(独立行政法人 労働者健康安全機構「メンタルヘルス不調をかかえた労働者に対する治療と就労の両立支援マニュアル」図2をもとに作成)

事業場内外の役割が違うことが、お分かりいただけるかと思います。事業場側、産業保健の立場としては、労働者が復職するために支援をするということをしっかりと表明し、信頼関係を築き上げるようにしましょう。そのうえで、治療方針はどういった内容なのか、社内でメンタルヘルスに関する問題に理解があるのか、産業保健側(産業医/保健師/管理監督者)の連携は取れているのかなどを点検するようにしましょう。

これらの体制を整えた後は、以下の手順に沿って、職場復帰支援を行っていきましょう。
支援の連携図:不調労働者の事例性および疾病性に関わる事業場内外の連携の様式

(厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」をもとに作成)

しっかりと手順を踏んで復職を行うことが重要な一方で、対象者に対していだく懸念事項は回復の程度が明確に把握できない、症状が治まり安定した状態が持続しない可能性がある、職場での人間関係や作業環境などから再発する可能性があるのではないか、主治医による就労可能の判断(診断書など)は業務遂行に問題がないうえでの判断なのかなどが挙げられます。メンタル不調の程度や回復具合などは治療結果だけでなく、本人から状態を確認する信頼関係も重要になるのです。これらの基本を踏襲しながら、メンタル不調をかかえた労働者の「病状回復」と「就労可能」の両立を実現しましょう。


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近年浸透してきた”ニューノーマル”という言葉がありますが、非対面での営業や、在宅勤務の活用などの新しい働き方が定着し、現場では様々な対応を求められています。これらの場所や時間の制約を緩和する働き方は、両立支援を必要とする多様な働き手に取ってもメリットがあり、ダイバーシティ推進の観点からも重要な取り組みです。
多様な人材の活躍のためにも欠かせないのが、仕事との両立支援です。出産/育児をはじめ、私傷病、介護などによる休業をした従業員の管理やコミュニケーションにお悩みの方は是非ご覧ください。






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