【化学物質管理強化月間が新設】化学物質管理者と保護具着用管理責任者とは
化学物質の自律的な管理が令和6年4月から全面的に施行されました。新たな規制の対象となる物質は、リスクアセスメント対象物質とよばれ、令和8年4月までに約3000種類程度が指定される予定です。
これに伴い、リスクアセスメント対象物を製造または取り扱う事業場は、業種・規模に関わらず、体制を整備し自律的な管理における対策を講じることが義務付けられました。
このような背景を踏まえ、職場における危険・有害な化学物質管理の重要性に関する意識高揚と化学物質管理活動の定着を目的として、厚生労働省と環境省が連携し、令和6年度から毎年2月に【化学物質管理強調月間】が創設されました。
本記事では、化学物質の自律的な管理において重要な役割を担う化学物質管理者と、保護具管理責任者について解説します。
【目次】
1.化学物質管理者とは
2.保護具着用管理責任者とは
3.まとめ
1.化学物質管理者とは
選任が必要な事業場
化学物質管理者は、リスクアセスメント対象物を製造、取扱い、または譲渡提供をする全ての事業場で選任しなければなりません。また、リスクアセスメント対象物は順次追加されていくため、現時点では化学物質管理者の選任は不要でも、新しい化学物質を使用する際やリスクアセスメント対象物が増えたときは改めて確認する必要があります。
選任要件
化学物質管理者の選任要件は『化学物質管理者の業務を担当するために必要な能力を有するもの』であり、基本的には事業場の裁量によります。
職務
化学物質管理者の職務は下記の通りです。
- ラベル・SDS等の確認
- リスクアセスメント結果に基づくばく露防止措置の選択、実施の管理
- 化学物質の自律的な管理に関する記録の作成・保存
- 化学物質の自律的な管理に関する労働者への周知・教育
- ラベル・SDSの作成(リスクアセスメント対象物の製造事業場の場合)
- リスクアセスメント対象物による労働災害が発生した場合の対応
2.保護具着用管理責任者とは
選任が必要な条件
リスクアセスメントの結果に基づく措置として、労働者に保護具を使用させる必要があると判断した事業場で選任しなければなりません。また、選任する人数は事業場の状況に合わせて検討することが可能です。
選任要件
保護具に関する知識及び経験を有すると認められる者のうちから選任することが定められており、事業者の裁量によります。
職務
- 有効な保護具の選択
- 労働者の使用状況の管理
- その他保護具の保守管理にかかわる業務
3.まとめ
化学物質の自律的管理が義務付けられるなかで、労働者ひとりひとりが、化学物質の危険性・有害性とその対策の重要性を正しく理解できるような仕組みづくりは必要不可欠です。担当者の選任と体制整備はその第一歩です。
化学物質管理を適切に実施できるよう、産業保健スタッフは、使用されている化学物質についてや事業場の実情に合わせてサポートすることが求められます。
毎年2月は化学物質管理強化月間です。これらの機会を活用し、事業場全体の化学物質管理について考える機会とするのはいかがでしょうか。