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休職制度でみる労働災害と私傷病の違い

怪我や疾病の予防と対応、休職復職時の支援は、産業保健の現場で関わる場面が多くあります。
労務上の対応は人事労務部門が主体となりますが、足並みをそろえた支援を実施するために、産業保健スタッフがこれらの制度について知っておくことは必要です。


【目次】
1.労働災害とは
2.私傷病とは
3.休職期間の違いについて
4.休職中の生活保障制度について
5.まとめ


1.労働災害とは

労働災害には、業務災害通勤災害の2つがあります。
業務災害とは、労働者の怪我や疾病、障害又は死亡のうち業務を原因とするもののことを言います。
通勤災害とは、労働者の怪我や疾病のうち、障害又は死亡のうち通勤を原因とするもののことを言います。

労働災害は、労働基準監督署に申請書類を提出し、労働基準監督署長が認定します。つまり、労働災害かどうか判断するのは事業場ではありません。

2.私傷病とは

私傷病とは、労働者の怪我や疾病のうち、業務を原因としないもので、私的な理由によるものを指します。
産業保健の現場では、私傷病以外の労働者の怪我や疾病を、公傷病と呼ぶこともあります。

3.休職期間の違いについて

労働災害による休業の場合は、労働基準法第19条により、療養のために休業している期間とその後30日間は解雇してはならないと定められており、これを解雇制限といいます。

私傷病が原因で休職が必要となった場合については、法令での定めはありません。しかし、私傷病休職制度は多くの事業場で就業規則によって設けられており、事業場に労働者として在籍させたまま、事業主が一定期間労働義務を免除し休ませることをいいます。
私傷病休業は、事業主による休職命令で休職を開始し、医師の診断に基づいて事業主が復職の可否を判断します。
休職が可能となる期間は就業規則によって定められており、その期間が満了するまでに復職に至らない場合は自然退職となることが一般的です。

4.休職中の生活保障制度について

労働災害と認定され休職が必要となり、収入がない場合は、労働者災害補償保険法(労災保険法)により休業(補償)給付を受けることができます。

私傷病による休職中で収入がない場合、傷病手当金を申請することができます。
傷病手当金は、健康保険法第99条により定められており、健康保険組合からの保険給付のひとつです。傷病手当金の支給対象となるかどうか、入金のタイミングなどは健康保険組合が決定するため、事業場が判断することはできません。

5.まとめ

産業保健スタッフは、休職や復職支援に関わる場面は多くあります。休業制度による労務上の手続きは、人事労務部門が担当します。
しかし、休職可能な期間や制度が異なるため、対応が異なる場合があります。根拠となる法令や、自身の事業場の就業規則とあわせて確認し対応することが求められます。


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