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タレントマネジメントの落とし穴と健康経営の重要性〜産業保健スタッフが知るべきエンゲージメント施策のポイント〜

タレントマネジメントは従業員の能力やスキルを最大限に活かすための人事戦略として注目されています。しかし、単に従業員のポジティブ面を引き上げるだけでは、健康問題やメンタルヘルスの課題を見落とし、バーンアウトリスクを高める恐れがあります。産業保健スタッフは、タレントマネジメントと健康経営を組み合わせた包括的なアプローチで、従業員の心身両面の健康維持とパフォーマンス向上を支える必要があります。本記事では、その背景と具体的なポイントを解説します。


1. タレントマネジメントとは何か?

タレントマネジメントは、従業員一人ひとりの能力・スキル・経験を経営資源と捉え、採用や育成、配置に活用する人事戦略です。従業員の強みを引き出し、働きがいやパフォーマンスの向上を目指すもので、特に労働力人口減少に対応した人材活用策として近年日本企業でも導入が増えています。

2. タレントマネジメントが必要とされる背景

少子高齢化による労働人口減少や働き方・キャリア観の多様化が、現場でのタレントマネジメント導入の追い風となっています。また、人的資本経営の観点からも従業員の能力最大化は企業価値向上に直結しています。

3. タレントマネジメントの限界と落とし穴

タレントマネジメントは「ポジティブ→ポジティブ」の施策であり、従業員の強みを伸ばすことに特化しています。一方で、長時間労働や健康問題、ハラスメントなど「ネガティブ→ポジティブ」へと改善すべき課題には直接対応できません。これが第一の落とし穴です。

さらに、エンゲージメント(仕事への意欲や熱意)が高まっても、心身の健康が伴わなければ燃え尽き症候群(バーンアウト)になるリスクがあります。エンゲージメントだけに注目すると、この「燃え尽き注意状態」を見逃してしまう点が第二の落とし穴です。

4. 健康経営とタレントマネジメントの統合的アプローチの重要性

健康経営は、従業員の健康課題(ネガティブ要因)を改善しながら、働きがい(ポジティブ要因)を創出する「ネガティブ→ポジティブ」の施策です。タレントマネジメントと健康経営は補完関係にあり、両者を連携させることで従業員の心身の健康とパフォーマンスを総合的に支えることができます。

5. 「メンタリティマネジメント」—支える力と引き上げる力の両立

アドバンテッジリスクマネジメントが提唱する「メンタリティマネジメント」は、メンタルヘルスによる支える力とエンゲージメントによる引き上げる力の相互作用を活用し、従業員の状態を多角的に把握し、適切にサポートする手法です。これにより、バーンアウトのリスクを減らしながら従業員のパフォーマンスを引き上げることが可能になります。

6. 産業保健スタッフとして押さえるべきポイント

産業保健スタッフは、単にエンゲージメント向上施策だけでなく、メンタルヘルスや健康経営的観点を組み合わせた多面的なアプローチを理解し、組織の課題に即した対策を提案・支援することが求められます。従業員の「支えて、引き上げる」施策の両立が、組織全体の健全な成長に不可欠です。

もっと詳しく知りたい方はこちら

出典

アドバンテッジJOURNAL
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