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冬の職場環境で最も健康リスクが高いのは?産業保健スタッフの投票結果から

はじめに

冬は気温の低下や乾燥、感染症の流行など、職場での健康リスクが高まりやすい季節です。
産業保健スタッフにとっては、従業員の体調不良を未然に防ぐために「どのリスクを優先的に対策すべきか」を把握することが大切です。

そこでさんぽLABでは、産業保健スタッフを対象に「冬の職場環境でリスクが高いと思う健康課題は?」という投票を実施しました。その結果をもとに、現場の課題と取り組みのヒントを整理します。


投票結果(概要)

期間:2025年9月13日〜19日
投票数:54票
結果
・感染症の流行 81%
・凍結や滑りやすい通路による転倒リスク 9%
・職場内の低温や暖房ムラによる体調不良 6%
・屋内外の温度差で生じるだるさや不調 4%

【投票結果画像】冬の職場環境でリスクが高いと思う健康課題は?

各項目別の傾向と取り組みのポイント

感染症の流行(81%)

最も多かった回答は「感染症の流行」でした。インフルエンザや新型コロナウイルス、胃腸炎など、冬季は複数の感染症が同時流行する可能性が高く、従業員の欠勤や業務停滞につながるリスクがあります。

対応のヒント

・加湿器や換気システムの活用による職場環境改善
・予防接種の推奨や接種費用補助制度の整備
・感染症流行時の出社ルールや在宅勤務体制の明確化

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凍結や滑りやすい通路による転倒リスク(9%)

次に多かったのは「転倒リスク」。通勤路や職場周辺の凍結は、冬季特有の労働災害につながります。

対応のヒント
・職場周囲の除雪・融雪体制の整備
・滑りにくい靴の着用推奨や社内掲示での注意喚起
・通勤中の転倒も労災対象となる場合があるため、周知を徹底

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職場内の低温や暖房ムラによる体調不良(6%)

室温が低すぎたり、暖房の効きに差があることによって体調を崩すケースも一定数見られました。

対応のヒント

・室内の温度分布を確認し、局所的な寒さを解消する
・座席配置やパーテーションなどの工夫で暖気を行き渡らせる
・防寒具の利用を許可するなど、柔軟なルールづくり

 

 

屋内外の温度差で生じるだるさや不調(4%)

少数派ではあるものの、寒暖差による自律神経の乱れを懸念する声もありました。

対応のヒント

・出入り口付近や廊下の寒暖差を軽減する工夫
・短時間休憩を設けて体のリズムを整える
・健康教育の中で「寒暖差疲労」への理解を促進

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投票結果から見える傾向と今後の展望

今回の投票では「感染症の流行」が圧倒的多数を占めました。冬季において最も喫緊の課題として、多くの産業保健スタッフが優先的に取り組んでいることが分かります。
一方で、転倒リスクや温度管理といった物理的環境要因にも一定の関心が寄せられており、感染症対策と並行して検討が必要といえるでしょう。


まとめ

冬の職場リスクとして最も多かったのは「感染症の流行(81%)」でした。感染症対策が最優先ではありますが、転倒リスクや温度管理など物理的リスクも無視できません。感染症・労災・職場環境を総合的に考えた対応を意識してみましょう。
冬季の健康リスク対策を進めるうえで、ぜひ今回の投票結果や記事を参考に、自社の職場環境を振り返ってみてください。

冬の職場環境でリスクが高いと思う健康課題は?
結果発表
感染症の流行
44票
職場内の低温や暖房ムラによる体調不良
3票
屋内外の温度差で生じるだるさや不調
2票
凍結や滑りやすい通路による転倒リスク
5票
その他(コメントで教えてください!)
0票
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