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基礎から分かる健康診断業務~健康診断の目的や種類、活用方法について解説

健康診断は、健康管理施策の基盤となります。
職域における健康診断は、労働者の安全と健康確保のため事業者に実施が義務づけられています。
健康診断には疾病の早期発見・治療のためのスクリーニングの目的がありますが、労働者がパフォーマンスを発揮するために、その労働に従事できる健康状態にあるのかを判断する上でもとても重要です。
本記事では、健康診断の目的や種類、結果の活用方法から効率的な業務運営についてご紹介しています。是非参考にしてみてください。



【目次】
1.職域における健康診断の目的と種類
2.受診率を上げる~健康診断の受診はゴール?
3.健康診断業務の効率化~受診しやすい環境整備
4.ニーズに基づく健康診断結果の活用・フォローアップ



1.職域における健康診断の目的と種類

職域における健康診断は、労働者の職業性疾病を予防し、健康でいきいきと仕事ができるよう、健康状態を把握するところから始まります。
健康診断の目的として、健康度の評価や生活習慣病予防、早期発見・治療といった病気のスクリーニングがあります。ですが、特に重要な目的として、働ける健康状態かどうかを判断するためということがあげられます。

職域における健康診断は、大きく分けて、一般健康診断と特殊健康診断があります。

一般健康診断

一般健康診断の目的は、健康障害の早期発見、就業上の措置です。
実施時期や診断項目については、一般健康診断の種類によって異なり、それぞれ法令で定められています。健康診断の結果を受け、何らかの就業制限や就業配慮などの措置が必要なのかについて判断し、実施することが必要です。健康診断結果の記録については、5年間保存する必要があります。

特殊健康診断

特殊健康診断の目的は、法令で定められた有害な業務に従事する労働者に対して、業務に起因する健康障害がないか調べることです。
健康診断の結果を受け、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮などの措置を講ずることが求められています。
健康診断結果の記録は、5年間もしくは40年間(業務の種類により異なる)保存する必要があります。


▼詳細は、下記の記事を参考にしてみてください。
健康診断の種類~職域における健康診断の目的とは?それぞれの健康診断の違いについて解説

2.受診率を上げる~健康診断の受診はゴール?

健康診断は、受診をすることがゴールではなく、それだけで健康になることはできません。その結果をもとに、必要な対応をしてはじめて効果を得ることができます。
健康診断の重要性を理解していても、実際には業務が多忙であったり、予約をスムーズに取ることができず、受診が後回しになってしまうことがあるのではないでしょうか。
健康診断受診率を上げるためのアプローチとして、下記ポイントをご紹介します。

コミュニケーションと啓発活動

・受診の必要についてメリットと共に啓発する
・定期的に、メール、社内ポータルなどを活用して、健康診断の受診勧奨に関する情報を提供する

受診のハードルを下げる

・受診場所や日時を柔軟に設定し、労働者の負担を軽減する
・予約システムや案内サービスの導入を検討し、健診受診環境の整備する

プライバシーへの配慮

・健康情報の取扱いについて整理する
・労働者が安心して健康情報を事業所へ提出できる体制を整備する

労働者の健康診断受診率を高めることは容易ではありません。事業所、そして労働者の双方が協力しあい、スムーズに受診ができるよう環境を整えていきましょう。


▼詳細は、下記の記事を参考にしてみてください。
健康診断受診率を上げる~具体的な戦略とアプローチについて紹介

3.健康診断業務の効率化~受診しやすい環境整備

健康診断に関連する業務は多岐にわたります。業務効率化をすることで、人事担当者、産業保健スタッフの業務負荷を軽減し、空いた時間を有効活用することが可能となります。
健康診断業務の効率化を図るための具体例をご紹介します。

デジタル化による情報管理の効率化

健康診断業務のデジタル化や自動化により、業務効率が大幅に向上させることができます。クラウドベースの健康管理システム導入により、診断結果の保存・共有が迅速化し、紙ベースの管理から解放されます。
また、労働者がオンラインで結果を確認できるシステムを利用することで、再検査や保健指導のスケジュール管理も簡素化され、統一的な健康管理が実現します。

業務マニュアルやフローの作成・共有

毎年ルーティーンで発生する業務に関しては、業務マニュアル・フローを予め作成し運用していくことで業務を効率よく進めることが可能となります。業務の流れが一目で把握でき、担当者間の連携が円滑となるため、人事労務担当者、産業医、産業看護職、衛生管理者など連携が必要な部署と共に作成し、共通認識をもって取り組みましょう。

外部委託の活用

外部機関へ業務を委託することで、社内の業務負担を軽減し、効率的に業務を進めることができます。委託するメリットや費用対効果の検証なども加味した上で検討していくとよいでしょう。


▼詳細は、下記の記事を参考にしてみてください。
健康診断業務を効率化する。デジタル化による情報管理や外部委託の活用について紹介

4.ニーズに基づく健康診断結果の活用・フォローアップ

健康診断結果の活用方法し、個人・組織へのアプローチを通じて、様々な健康施策が可能となります。事業所の現状やニーズに沿った取り組みを実践し、労働者の健康増進と健康経営の推進に貢献していきましょう。
健康診断結果の活用・フォローアップの具体例をご紹介します。

個人の健康状態の把握とフォローアップ

健康診断結果を、労働者ごとに詳細に分析し、健康リスクを特定していきましょう。必要に応じて、個別の健康改善プランやフォローアップ措置を提案し、労働者の健康状態の改善を支援します。検査結果が基準値から外れていなかった人へも健康診断結果を活用を促し、生活習慣やリスク要因の振り返りをしましょう。

ニーズに基づいた組織へのアプローチ

健康診断結果の活用は、労働者個人に向けたものだけではなく、組織へのアプローチも重要となります。健康教育プログラムや運動プログラムの開発を促進し、労働者の健康意識の向上を図りましょう。

労働者のニーズに合わないプログラムを展開しても、そもそも利用されない可能性があります。いわば顧客となる労働者の視点に立ち、健康診断結果やストレスチェック等、事業所内にある多くの健康データを積極的に活用し、関心の高い課題を把握しましょう。
健康に関連する安全性や有効性のエビデンスは常に変化し、アップデートされていきます。産業医等の専門家と密に連携を取り、最新の知見を確認していきましょう。


▼詳細は、下記の記事を参考にしてみてください。
健康診断結果の活用方法~ニーズに基づく個人、組織へのアプローチ



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労働安全衛生法により、企業は健康診断の実施が義務付けられており、健康診断に関わるさまざまな細かい業務に対応する必要があります。健康診断から見える一人ひとりの健康データは、従業員が健やかに、かつ働きやすいと思える職場環境を整備する健康経営・ウェルビーイング経営には必要不可欠です。本資料は、健康診断業務を詳しく知りたい担当者様のために、健康診断業務の全体像や効率化のために必要な視点と具体的なHowToをコンパクトにまとめておりますので、ぜひご覧ください。

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