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法令/旬ネタ

【2024(令和6)年4月 施行】主な関係法規や制度まとめ

産業保健に関わる関係法規で、4月から始まるものをまとめております。
産業保健スタッフや衛生管理者、人事などの立場の違いや、企業の業種や規模、業務内容によって、知っておかなければならない法改正や必要な情報更新も異なります。

こちらに載っておらず、皆様にとって重要な関係法規の更新がございましたらぜひコメントで教えてください。さんぽLABで情報交換をして、より良い産業保健の未来へつなげていけたら幸いです。


第4期特定健診・特定保健指導

令和6年度より第4期特定健診・特定保健指導が開始されます。
今回の第4期の特定健診では、中性脂肪の判定基準が空腹時に加え、食直後を除く通常時でも可能に、そして問診項目が追加となりました。
また、特定保健指導においては、「腹囲2cm、体重2kg減」を目指して保健指導を行い、初回面談から3か月経過後に目標が達成された場合は介入量を問わず終了など、成果を重視した評価体制へ変更、ICTを活用した保健指導の推進、生活習慣病に関わる服薬を開始した場合は対象除外可能、看護師が保健指導を行える期間の延長、データ収集や分析による見える化の推進などが今回の大きな変更点です。

標準的な健診・保健指導 プログラム (令和6年度版)|厚生労働省
特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き|厚生労働省


新たな化学物質規制の拡充

化学物質に関して、これまで以上に事業者の主体的な取り組みが拡充されます。
※令和5年4月より段階的に拡充されているものも含んでいます

■化学物質管理体制の見直し

①ラベル・SDSの伝達や、リスクアセスメントの実施義務対象物質が大幅に増加
②リスクアセスメント結果を踏まえ、労働者がばく露される濃度を基準値以下とすることを義務化
③化学物質を製造・取り扱う労働者に、適切な保護具を使用させる
④労働災害発生時、労基署が必要と判断した場合に改善措置計画を労基署長へ提出
⑤自律的な管理に向けた実施体制の確立
 ・措置内容やばく露について、労働者の意見を記録・保存
 ・化学物質管理者の選任
 ・保護具着用管理責任者の選任
 ・雇い入れ教育の実施
 ・リスクアセスメント結果に基づく健康診断の実施と記録の保存
 ・委員会での自律的管理の実施状況を調査審議

■情報伝達の強化

①SDS(安全データシート)の記載
 ・「想定される用途及び使用上の注意」を記載
 ・成分の含有量を重量%で記載

詳細:新たな化学物質規制が 導入されます|厚生労働省


医師、建設業、運送業の働き方改革(時間外労働の上限規制)

長時間労働の是正のため、働き方改革の一環として、労働基準法が改正され、2019年4月~時間外労働の上限が法律に規定されました。上限規制が猶予・除外となっていた医師、建設業、運送業についても、2024年4月~は適用となります。
適用猶予業種の時間外労働の上限規制 特設サイト はたらきかたススメ|厚生労働省 

①    医師

医師の時間外労働の上限規制の解説|厚生労働省

②    建設業

建設業 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説|厚生労働省

③    運送業(自動車運転者)

トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント|厚生労働省
トラック運転者の改善基準告示が変わります!|厚生労働省


障害者雇用率の引き上げ・短時間勤務の障害者にかかる実雇用率の算定基準の変更

全ての事業主に、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務がありますが、法定雇用率がこれまでの2.3%から2.5%へ引き上げとなります。また、一部の週所定労働時間20時間未満の方の雇用率への算定が出来るようになります。
そして、助成金の新設・拡充により、障害者雇用のための支援が強化されます。
障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について|厚生労働省

障害者への合理的配慮の義務化

事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されます。


第5次国民健康づくり対策(健康日本21 第三次)

健康日本21(第三次)は、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を目指す基本方針のもとに、「誰一人取り残さない健康づくり」を推進し、「より実効性をもつ取組の推進」に重点を置いていくとしています。
今回取り入れられた新しい視点として、女性の健康を明記し、骨粗鬆症検診受診率を新たに目標として設定、健康に関心の薄い人も含め、自然に健康になれる環境づくり、行政だけでなく多様な主体を巻き込んだ健康づくりの取組の推進として、健康経営、産業保健などに関する目標を追加、具体的なアクションプランの提示(食事・運動・睡眠など)、個人の健康情報の見える化(アプリの活用など)があります。
健康日本21(第三次) | 健康イベント&コンテンツ | スマート・ライフ・プロジェクト |厚生労働省
健康日本 21(第三次)推進のための説明資料(その1)|厚生労働省
健康日本 21(第三次)推進のための説明資料(その2)|厚生労働省


第三期データヘルス計画

データヘルス計画は、健康保健組合などの保険者を対象に、レセプト・健診情報等の分析に基づく効率的・効果的な保健事業をPDCAサイクルで実施するための事業計画で、平成27年に第1期が開始されました。
令和6年には第三期データヘルス計画が開始となり、より効果的・効率的なデータヘルス普及に向けた取り組みを推進しています。
第三期データヘルス計画について|厚生労働省


ナッジを活用した成果重視の特定保健指導プログラム


当社の特定保健指導プログラムは、実施率98%、体重-2kg達成率56%、満足度96%など高い実施率・達成率の実績があるプログラムです。

スマートライフプログラム
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2 件の返信 (新着順)
ak バッジ画像
2024/04/02 16:42

ホットな情報を分かりやすくご紹介いただき、感謝申し上げます。

【つぶやき(リスクアセスメント対象物健康診断の法改正について)】
有機則、特化則は明確に検査項目を国が定めています。
(例:インジウム化合物は、血清インジウムを検査など)

リスクアセスメント対象物健康診断の検査項目は、明確に示されないものでしょうか?
今後、産業医、健診を実施する医師等向けにリリースされる見込みはあるのでしょうか?

SDS等をふまえて、”リスクアセスメント対象物健康診断を実施する医師等が必要と認める項目”とされています。
自律的な、は建付けとしては、そうかもしれませんが、
有機則、特化則以外の世にあるかなり多くの化学物質について、
事業者、健診を実施する医師等に職責の範囲の重きが加わっているように感じます。


akさま
コメント頂き、ありがとうございます。
リスクアセスメント対象物質健康診断に関して、他にも困っているとお声をいただくことがございます…。
過去投稿いただいたQ&Aではございますが、こちらの難波先生の回答は参考いただけるかもしれません。
https://sampolab-ad.com/questions/an7ax6qujvoschqq

ak バッジ画像
2024/04/03 17:35

参考情報のご紹介をいただき、誠にありがとうございます。

別件で、あるあるだと思いますが、
古い法律が当時の内容のまま残り、後にできた法律との整合性の解釈が難しいものもあり、産業衛生学会でも時代の変化と実情に合わせて再判断を提言されておられるケースのものもございますね。

事業者による”自律的な”化学物質管理、、、

今後も、更なる運用を補填されるような通知等がなされるか、
ウォッチを継続したいと思います。

togi
2024/03/29 20:38

改正された法令や制度をわかりやすくまとめていただき、大変助かります。
参考にさせていただき、会社へ助言していきたいと思います。


togiさま
コメントいただき、ありがとうございます。
参考にしていただけますとこのこと、大変嬉しく思います。

これからも、現場でご活躍されていらっしゃる会員様に有益なコンテンツを作っていきたいと考えておりますので応援いただけますと幸いです。