第4期特定健診・特定保健指導の改定とは?変更点やアウトカム評価について分かりやすく解説!
特定健診・特定保健指導は、内臓脂肪の蓄積に起因した生活習慣病を予防するため、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき2008年より保険者(健康保険組合など)に義務付けられています。そして、2024年より第4期特定健診・特定保健指導が開始されました。今回大きな変更点として、成果(腹囲2㎝・体重2㎏減)や減量のための生活習慣改善(行動変容)を重視したアウトカム評価が導入となりました。この記事では、第4期における主な変更点やアウトカム評価について分かりやすく解説いたします。
目次
1.今回の改定について
2.特定保健指導の変更点
① アウトカム評価の導入
② その他評価体制の変更
③ 見える化の推進
④ ICTを活用した保健指導の推進
⑤ 服薬開始時に関する改定
⑥ 看護師が保健指導を行える期間の延長
3.特定健診の改定
① 健診項目の見直し
② 問診項目の見直し
4.その他の改定
5.まとめ
1. 今回の改定について
2024年は第4期特定健診・特定保健指導に加え、第5次国民健康づくり対策(健康日本21 第三次)や第3期データヘルス計画の開始など、わが国の医療・健康政策が様々な節目を迎える年となります。国民一人ひとりが健康を維持し長く働き続けることを目標に、生活習慣病において一次予防や二次予防に重点がおかれ、その最前線として保険者が実施主体となる特定健診や特定保健指導が位置づけられています。
特定健診受診率70%、特定保健指導受診率45%と目標設定されている一方で、2022年の特定健診の受診率は58.1%、特定保健指導の実施率は26.5%にとどまり、受診率や実施率の低さは大きな課題となっています。加えて特定保健指導における質の標準化、質の向上・評価方法においても改善が求められており、今回の改定においては受診率・実施率の向上や保健指導の質の評価に着目されています。
2. 特定保健指導の変更点
① アウトカム評価の導入
成果を重視した評価体制へ変更
プロセス評価(介入の実施による評価)に加えて、アウトカム評価(成果による評価)が新しく導入されました。主要達成目標である「腹囲2cm、体重2kg減」を目指して保健指導を行い、初回面談から3か月経過後に目標が達成された場合は介入量を問わず指導終了 となります。
加えて、主要達成目標に向けての過程である「腹囲1cm、体重1kg減」や「生活習慣予防に通ずる行動変容」が2ヶ月以上継続した成果があれば、実績評価として加点 されます。
出典:第4期特定健診・特定保健指導の見直しについて|厚生労働省
② その他評価体制の変更
早期回介入への加点を追加
従来のプロセス評価に加え、「健診当日の初回面接」や「健診後1週間以内の初回面接」を実施した場合加点対象となります。
プロセス評価における変更
時間に比例したポイント制度を廃止し、介入1回ごとの評価へ変更されました。
1回の具体的な介入内容は手引きで示すとともに、最低時間は引き続き設定されています。
(支援Aと支援Bの区別は廃止)
③ 見える化の推進
アウトカム評価により、保険者が目標達成に至った効果的な取り組みを把握し改善していくことで、対象者に合わせた質の高い保健指導の実施が可能となります。見える化において分析・評価する項目としては、「腹囲2㎝・体重2㎏減達成割合」や「生活習慣の改善(行動変容)割合」、「次年度以降の階層化や体重等の変化」、「喫煙者の次年度禁煙割合」などが考えられます。
また、学術機関とも連携しながら社会全体として好事例のデータ収集や分析を行うことで横展開が期待されています。
出典:第4期特定健診・特定保健指導の見直しについて|厚生労働省
出典:特定保健指導の質向上に向けた取組に関する好事例集|厚生労働省
④ ICTを活用した保健指導の推進
初回面接の最低時間を対面とICTを活用した面接で同様の設定へ変更 。
ICT(PCやスマートフォン等の情報通信機器)を使用した、遠隔面接が引き続き推進されます。遠隔面談が可能となることで、勤務形態(在宅勤務など)や立地(遠隔地など)にとらわれることなく面接を行うことが可能となります。
ICT推進を進めるにあたり、指導者においては対象者に合わせた保健指導の実施や個人情報の保護ができるようなICTリテラシーが求められます。
⑤ 服薬開始時に関する改定
特定健診及び特定保健指導開始後に生活習慣病に関わる服薬を開始した場合、実施率の計算において対象者より除外することが出来るようになりました。
また、対象者への服薬に関する事実確認と、特定保健指導から除外される際の同意について、保険者が事前に確認する医薬品の種類や確認の手順等を定めている場合、専門職以外でも服薬状況の確認と同意の収得が可能 となりました。
出典:第4期特定健診・特定保健指導の見直しについて|厚生労働省
⑥ 看護師が保健指導を行える期間の延長
特定保健指導において、初回面接の行動計画(行動目標)の算定や支援計画、実施の評価は医師・保健師・栄養士が行うことと定められています。
しかし、特定保健指導の実施率向上のため、実施者の確保が重要とされており、一定の実務経験がある看護師においても上記の実施が可能となります。
第4期においても、一定の条件を満たしている看護師は引き続き従事できることとなりました(暫定期間令和11年末)。
3. 特定健診の改定
① 健診項目の見直し
中性脂肪の項目は空腹時のみとなっていましたが、空腹時以外で中性脂肪を測定する時は食直後(3.5時間未満)を除き脂質検査が可能となりました。
そのため、中性脂肪の判定基準は、150mg/dl⇒150㎎/dl(空腹時)または175mg/dl(随時採血時)へ変更されます。
② 問診項目の見直し
問診項目の「喫煙」、「飲酒」、「保健指導」に関わる項目について変更
<喫煙>
<飲酒>
過去飲酒歴が追加 となり、飲酒頻度や飲酒量の回答が変更 となりました。
<保健指導>
4. その他の改定
■受診勧奨判定値を超えるレベルの場合、服薬しなければならないといった誤解を防ぐため注釈の追記
■フィードバック例集をより活用しやすいように修正
■対象者と医療関係者の情報共有が円滑に進むよう、医療機関受診や産業医面接時に持参できる文章を掲載
5. まとめ
健康経営やウェルビーイングの重要性が注目されている中、保険者だけでなく事業者においてもコラボヘルスに積極的に取り組み、保険者と共に特定健診や特定保健指導を進めていくことが求められています。
今回の大きな変更点としてアウトカム評価が導入され、特定保健指導の成果に関する「見える化」が可能となりました。法律のために実施するだけでなく、より効果的な保健指導が今後ますます期待されてくることでしょう。
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■参考文献
・標準的な健診・保健指導プログラム (令和6年度版)|厚生労働省
・特定健康診査・特定保健指導の円滑な 実施に向けた手引き(第 4 版) |厚生労働省
・第4期特定健診・特定保健指導の見直しについて|厚生労働省
・特定健診・特定保健指導について|厚生労働省
・保険者による保健事業の今後 中山 健夫 月刊健康保険2023年8月号
■執筆:さんぽLAB 運営事務局 保健師