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マインドフルネスが職場のパワハラ予防に果たす役割と最新エビデンス【産業保健スタッフ必見】

職場でのパワハラ予防に向けた対策として注目される「マインドフルネス」。メンタルヘルス支援だけでなく、コミュニケーション改善や人間関係のトラブル抑制に効果が期待されています。本記事では、最新の研究データをもとに、マインドフルネスがどのようにパワハラ防止に役立つのか、産業保健スタッフが押さえておくべきポイントをわかりやすく解説します。


1. マインドフルネスと感情制御能力の関係

マインドフルネスはストレス軽減やウェルビーイング向上に効果があり、感情制御(感情のコントロール)能力向上にも期待が寄せられています。しかし、イースト・ロンドン大学のメタ分析(35研究、3,090名対象)によると、感情制御能力の向上に関するエビデンスはまだ弱く、明確な効果は確認されていません。

2. マインドフルネスがコミュニケーション促進と共感性向上に寄与

同研究では、マインドフルネスが思いやりや共感性を高める可能性が示されており、コミュニケーションの円滑化に寄与することがわかりました。これにより、従業員間の良好な関係づくりやハラスメント行動の抑制に繋がる期待があります。

3. 人間関係からの切り離し(隔離・無視)抑制に関する実証研究

パワハラの典型的行動のひとつである「人間関係からの切り離し」に対し、マインドフルネスが効果を発揮する可能性が、ワシントン大学の2つの実験で示されました。

  • 研究1(小中学校教師51名):マインドフルネスのワークショップ後、他者排斥傾向が軽減。
  • 研究2(大学生100名):短時間のマインドフルネス体験で、排斥対象以外へのパス回数が減り、平等なコミュニケーション行動が促進。

これらの結果から、マインドフルネスは「仲間外し」などの行動抑制に一定の効果が期待できます。

4. まとめと産業保健スタッフへの提言

現在のエビデンスでは、マインドフルネスが感情制御能力を大幅に向上させる確証はありませんが、思いやりや共感性の育成、コミュニケーション促進、そして人間関係からの切り離し行動の抑制に有効であることが示唆されています。

産業保健スタッフは、パワハラ予防の一環としてマインドフルネス研修を検討する際、単独での効果だけでなく、他の研修や施策と組み合わせることで、職場環境の改善や良好な人間関係構築の支援に活用できる可能性があることを理解しておくとよいでしょう。

もっと詳しく知りたい方はこちら

出典

アドバンテッジJOURNAL
マインドフルネスを活用したパワハラ防止教育の可能性とは

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