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産業保健スタッフのための不妊治療と仕事の両立支援FAQ―『不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル』実務活用版―

はじめに

本記事は、厚生労働省が公表している「事業主・人事部門向け 不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル」をもとに、産業医・産業保健師・人事労務担当者向けに、不妊治療と仕事の両立支援に関するポイントをFAQ形式で整理したものです。
近年、不妊治療を受ける人は増加しており、生殖補助医療によって誕生する子どもの割合も高まっています。一方で、仕事との両立が難しく、離職や治療中断につながるケースもみられます。企業には、従業員が安心して治療と仕事を両立できる職場環境づくりが求められています。


目次

  1. 不妊治療の基礎知識
  2. 不妊治療と仕事の両立における課題
  3. 企業が取り組むべき支援策
  4. 産業保健スタッフの役割
  5. 職場理解とハラスメント防止
  6. 産業保健スタッフ向けまとめ

1. 不妊治療の基礎知識

Q1. 不妊とは何ですか?

A. 一般的に、「妊娠を望む健康な男女が避妊をせずに性交しているにもかかわらず、1年間妊娠しない状態」を不妊といいます。ただし、年齢や既往歴によっては、1年を待たずに検査や治療を開始した方がよい場合もあります。

Q2. 不妊の原因は女性側だけにあるのでしょうか?

A. 不妊の原因は女性だけでなく男性にもあります。WHO(世界保健機関)の見解として「約半数は男性に原因がある」とされています。また、検査をしても原因が明確にならないケースもあります。
なお、女性側の原因には排卵や卵管、子宮の異常、男性側の原因には精巣機能の異常、精子の通過障害などがあります。

Q3. 不妊治療にはどのような方法がありますか?

A. 一般不妊治療には次のような方法があります。

  • タイミング法
  • 排卵誘発法
  • 人工授精

一般不妊治療では妊娠しない場合に、下記のような生殖補助医療を行います。

  • 体外受精
  • 顕微授精

女性に原因がない場合でも、女性には不妊治療に伴う検査や投薬、ストレスなどにより、心身に大きな負担がかかることがあります。

Q4. 不妊治療にはどのくらいの期間がかかりますか?

A. 治療期間は個人差がありますが、一般不妊治療では半年から1年程度、体外受精などの生殖補助医療では1回の治療につき3〜6か月程度が目安とされています。
ただし、不妊の原因や治療方法、年齢、体調などによって期間は大きく異なります。また、妊娠に至るまで複数回の治療が必要となる場合もあるため、あくまでも一般的な目安として捉えることが大切です。

Q5. 不妊治療は健康保険の適用対象になりますか?

A. 2022年4月から、原因不明の不妊や一般不妊治療、体外受精・顕微授精などの生殖補助医療について保険適用の対象が拡大されました。
ただし、第三者から提供された精子や卵子を用いる治療や代理懐胎などは保険適用の対象外とされています。
記事 働く女性の健康課題にどう向き合うか?産業保健スタッフが担う職場支援の実践ポイント


2. 不妊治療と仕事の両立における課題

Q6. 不妊治療と仕事の両立はどの程度難しいのでしょうか?

A. 厚生労働省の調査では、「仕事と不妊治療を両立できなかった」と回答した人が一定数存在しています。「離職した」「治療を中断した」「雇用形態を変更した」といったケースも報告されています。

Q7. 両立が難しくなる主な理由は何ですか?

A. よく挙げられる理由として次のようなものがあります。

  • 通院日程の調整が難しい
  • 通院回数が多い
  • 待ち時間が読めない
  • 身体的負担が大きい
  • 精神的負担が大きい
  • 職場の理解や支援が得にくい

特に排卵周期に合わせた通院が必要な場合、事前に予定を確定しにくいことが課題とされています。

Q8. 不妊治療によって体調不良が生じることはありますか?

A. 治療内容によっては、頭痛、吐き気、腹痛、めまいなどの症状がみられる場合があります。また、身体的な負担だけでなく、精神的ストレスを感じる人も少なくないとされています。

Q9. 従業員が治療を職場に伝えたがらないのはなぜですか?

A. 調査では、「伝えなくても支障がない」「周囲に気遣いをしてほしくない」「治療がうまくいかなかったときに気まずくなる」といった理由が挙げられています。
そのため、本人の意思を尊重しながら、必要に応じて相談できる環境を整えることが大切だと考えられます。
衛生講話資料 女性のライフステージごとの健康課題について解説(PMS・更年期障害・生活習慣病・骨粗鬆症・がん)


3. 企業が取り組むべき支援策

Q10. 不妊治療と仕事の両立支援はなぜ重要なのでしょうか?

A. 不妊治療を理由とした離職は、企業にとって人材流出やノウハウ喪失につながる可能性があります。一方、支援制度を整備することで、従業員の安心感やモチベーション向上、人材確保につながることが期待されています。

Q11. 不妊治療中の従業員に対して、どのような制度が活用されていますか?

A. 厚生労働省の調査では、次のような制度の利用がみられています。

  • 年次有給休暇
  • 短時間勤務制度
  • テレワーク制度
  • フレックスタイム制
  • 通院・休息時間を認める制度
  • 休職制度

複数の制度を組み合わせて利用できるようにすることも有効と考えられています。

Q12. 企業はどのような手順で両立支援を進めればよいですか?

A. 厚生労働省のマニュアルでは、以下の5ステップが示されています。
1. 取組方針の明確化・体制整備
2. 従業員の不妊治療と仕事の両立に関する実態把握
3. 制度設計
4. 運用・周知
5. 取組実績の確認と見直し
制度導入だけでなく、継続的な見直しまで含めて取り組むことが重要とされています。
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4. 産業保健スタッフの役割

Q13. 産業保健スタッフにはどのような役割がありますか?

A. 産業保健スタッフには、従業員が安心して相談できる環境づくりを支援する役割があります。例えば、以下のような取り組みが考えられます。

  • 制度利用に関する情報提供
  • 通院や体調変化への配慮に関する助言やフォロー
  • 人事労務担当者との連携
  • 相談窓口としての支援
  • 職場理解促進のための啓発活動

これらは厚生労働省が示す両立支援体制の整備とも整合する取り組みです。
衛生講話資料 女性の健康保持・増進に向けて企業で実施できる取り組みについて解説


5. 職場理解とハラスメント防止

Q14. 不妊治療を理由としたハラスメントへの対応は必要ですか?

A. 必要です。調査では、不妊治療について職場に伝えた人の中に、嫌がらせや不利益な取扱いを経験したとする回答もみられています。
企業には、治療に対する正しい理解を促進するとともに、相談窓口の整備や管理職教育などを通じて、ハラスメント防止に取り組むことが期待されます。
治療と就業の両立支援はなぜ努力義務化されたのか|産業保健職に求められる役割とは


6. 産業保健スタッフ向けまとめ

  • 不妊の原因は女性だけでなく男性にもあり、原因不明の場合もある
  • 不妊治療は通院頻度や身体的・精神的負担が大きく、仕事との両立が課題になりやすい
  • 治療を職場に開示しない人も多いため、安心して相談できる仕組みづくりが重要
  • 休暇制度、短時間勤務、テレワークなど柔軟な働き方の整備が有効と考えられる
  • ハラスメント防止や管理職教育も両立支援の重要な要素となる
  • 産業保健スタッフは、人事労務部門と連携しながら、相談支援・啓発・職場環境整備を担うことが期待される

出典:厚生労働省『事業主・人事部門向け 不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル』をもとに作成。
※本記事は上記資料を参考に、当社が編集・作成したものです(2026年8月21日参照)。
※本記事の内容は、一般的な情報提供を目的としています。実際の運用にあたっては、最新の法令、厚生労働省資料、社内規程、専門家の助言等をご確認ください。
※本記事の作成にあたり、文章整理にAIを補助的に活用しています。


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