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上司から「部下が心配」と相談されたとき、どう支援する?

職場でのメンタル不調や体調不良は、本人からではなく、まず上司から「最近部下の様子がおかしい」と相談されることも少なくありません。 産業保健師にとって、このような相談は早期対応のきっかけであり、同時に上司との信頼関係構築のチャンスでもあります。 

ここでは、上司からの相談にどう対応し、部下を守りながら組織全体を支えるかをFAQ形式で解説します。 


Q1. まず上司からどんな情報を聞き取るべき?

状況把握のために、部下の変化や具体的な行動事例を聞きます。 例えば「欠勤・遅刻の有無」「仕事のミスや集中力低下」「表情や態度の変化」など、感情的な評価や噂ではなく客観的な事実を中心に確認しましょう。さらに、上司が心配していること、不安に思っていることなどに耳を傾けることも重要です。

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Q2. 部下のプライバシーを守りつつ、上司にできる対応をどう伝える?

個人情報に十分配慮しながら、「仕事をする上で配慮すべき点」や「安全な業務遂行のための工夫」を中心に伝えることが大切です。 例えば「休憩時間の確保」「負荷の高い業務の一時的な調整」など、具体的かつ実行可能な対応策を一緒に検討します。 なお、上司へ面談で知りえた個人情報を共有する場合は、必ず本人の同意を得て共有は必要最小限にとどめることが重要です。

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Q3. 部下に直接アプローチする場合、どのように導入すべき?

基本的には、上司に許可を得た上で、「上司から相談があったこと」を伝えることが良いでしょう。これを隠してしまうと、本来の目的が果たせないまま面談が終わったり、上司へ面談結果のフィードバックをしにくくなる恐れがあります。安全配慮義務を果たすためにも、上司から部下に「面談を受けるように」と伝えていただくのが適切です。 

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Q4. 産業保健師として、上司の不安をどう軽減できる? 

上司は「どう対応すればよいか分からない」ことに不安を感じがちです。 産業保健師は、対応の方向性や相談ルート(産業医・人事・外部相談窓口など)を整理して提示し、伴走する姿勢を見せましょう。 「一人で抱え込まなくて大丈夫」という安心感を与えることが重要です。 

 


Q5. 上司との継続的な連携を保つために気をつけるポイントは?

初回対応後も、進捗や状況の変化を共有し合える関係を作ることが大切です。ただし、本人の同意がない限り詳細な健康情報は伝えず、必要な範囲でのみ情報共有します。信頼関係と守秘義務の両立が、持続可能な連携の鍵です。  

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まとめ 

上司からの「部下が心配」という相談は、早期支援と職場環境改善のチャンスです。 客観的な情報収集、プライバシー保護、具体的な対応策の提示、そして上司への心理的サポートを組み合わせることで、本人・上司・組織すべてに良い影響を与えられます。 産業保健師は「支援のハブ」としての役割を意識し、継続的な信頼関係を築きましょう。 

 

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