産業医・産業保健師のキャリアのモヤモヤを感じたときのおすすめ書籍10選
産業医や産業保健師の仕事は、従業員の健康を守る、やりがいのある仕事です。しかし、キャリアの段階に応じて、漠然とした不安、マンネリ、専門性の壁、独立への迷いなど、さまざまな「モヤモヤ」を感じることもあるでしょう。
この記事では、あなたの現在のキャリアステージや悩みに応じた厳選書籍をご紹介します。ぜひ、あなたの「モヤモヤ」に寄り添う一冊を見つけて、キャリア形成の参考にしてください。
<目次>
1.産業保健分野の経験が浅く、漠然とした不安を抱える方向け
2.中堅層向け:マンネリやキャリアアップの壁に悩んでいる方
3.産業保健・健康経営に関する専門性を深めていきたい方向け
4.まとめ
1.産業保健分野の経験が浅く、漠然とした不安を抱える方向け
産業保健の現場に足を踏み入れたばかりの頃は、業務の全体像や自身の役割が見えづらく、漠然とした不安を感じやすいものです。そんなときには、基礎を固め、自身のキャリアの軸を見つけるヒントとなる書籍が参考になります。
『職場の健康がみえる: 産業保健の基礎と健康経営』
産業保健の基本的な知識から健康経営の考え方まで、イラストや図を豊富に用いてわかりやすく解説しています。キャリア初期で全体像を把握したい方にとって、具体的な業務内容や法律、関連知識がスムーズに頭に入ってくるでしょう。この一冊で、産業保健の「見える化」を促進し、安心して業務に取り組むための土台を築けます。
『キャリアアップに活かせる30のスキル』
産業保健の現場で求められる幅広いスキルについて、具体的な内容と習得方法が紹介されています。単なる専門知識だけでなく、課題発見力、プレゼンテーション能力、ネゴシエーション能力など、将来の成長につながる汎用的なスキルを体系的に学ぶことができます。キャリア初期にどのような能力を伸ばすべきか、具体的な指針を求める方に特におすすめです。
『はじめての嘱託産業医活動』(森晃爾 著)
嘱託産業医として活動を始めるにあたって、具体的な業務内容、契約、報酬、開業に必要な手続きや準備など、実践的な情報が網羅されています。独立を考えている産業医・産業保健師にとって、現実的なステップや知っておくべき実務について、具体的なイメージを持つための貴重な一冊です。
『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』(八木仁平 著)
キャリア形成において重要な「自己理解」を深めるための具体的な方法論が学べます。自分の「好き」「得意」「大事なこと」を明確にし、漠然とした不安を具体的な行動に落とし込むヒントが得られます。産業保健師として、あるいは産業医として、どんな分野に興味を持ち、何を追求していきたいのか、自身のキャリアの軸を見つけるきっかけになるでしょう。
2.中堅層向けマンネリやキャリアアップの壁に悩んでいる方
ある程度の経験を積み、与えられた業務が一人で一通りできるようになると、さらなる起業や独立が視野に浮かんだり次のステージに悩んだりすることはありませんか?そんなときにこそ、原点に立ち返ったり、組織への貢献視点を高めることができる書籍がおすすめです。
『産業医のピットフォール』(五十嵐侑 著)
産業保健活動では、産業医、企業、労働者それぞれの視点に由来する数多くの「落とし穴」に注意が必要です。臨床医としての強い意識や、一方的に「健康」を押し付ける姿勢では、これらの落とし穴に陥りかねません。時代と共に変化する企業、労働者、そして社会のニーズを的確に把握し、独立した公正な立場を保つことが不可欠です。
本書では、こうした陥りやすい落とし穴が網羅的に解説されており、産業医だけでなく、産業看護職や衛生管理者にとっても非常に役立つ内容となっています。
『イシューからはじめよ』(安宅和人 著)
多くの情報の中から「本当に解くべき問題(イシュー)」を見つけ出し、効率的に解決するための思考法が学べます。中堅として複雑な課題に直面した際に、本質的な問題を見極め、効果的な打ち手を導き出すための実践的なスキルが身につく一冊です。現状を打破し、より高いレベルで貢献したい方に。
『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー 著)
個人の成長と組織の成功に必要な普遍的な原則が学べます。主体性、優先順位付け、Win-Winの関係構築といった原則は、業務改善やチームへの貢献を考える上で強力な指針となります。マンネリを打破し、次なるキャリアステップへの視座を高めたい方に最適です。
『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略』 (リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット 著)
長寿化社会におけるキャリアの考え方や、無形資産の重要性について示唆を与えてくれる一冊です。転職や独立を考える上で、目先のスキルアップだけでなく、長期的な視点で自身のキャリアを捉え、学び続け、変化に対応することの重要性を再認識させてくれます。新しい働き方を選択するためのマインドセットを養えます。
3.産業保健・健康経営に関する専門性を深めていきたい方向け
特定の分野に深くコミットし、その道のプロフェッショナルを目指したいと考える方に向けて、より実践的・専門的な知識を深める書籍をご紹介します。
『産業医の職務Q&A(第11版)』(産業医の職務Q&A編集委員会)
産業医・産業保健師が日常業務で直面しやすい、多岐にわたる疑問や課題に対する法的解釈や実務的対応がQ&A形式でまとめられています。最新の法改正や通達、判例なども踏まえた内容で、特定分野の専門性を深めるうえで、根拠に基づいた判断力が身につきます。実務の場で迷ったときにも頼れる、辞書的な一冊です。
『健康経営を科学する―実践を成果につなげるためのエビデンス』 森晃爾 (著, 編集), 永田智久 (著, 編集), 小田上公法 (著, 編集)
この書籍は、健康経営を単なる取り組みで終わらせず、実際に企業価値の向上や従業員の健康増進にどう繋げるかを、科学的エビデンスに基づいて解説しています。健康経営の効果を測定し、経営層に具体的な成果を提示したい産業医・産業保健師にとって、戦略的なアプローチを学ぶ上で非常に役立つでしょう。
4.まとめ
今回ご紹介した書籍は、あなたのキャリアの「モヤモヤ」を解消するための一歩を踏み出す心強い味方になるはずです。
大切なのは、本を読みっぱなしにせず、得た知識を自身の業務やキャリアプランにどう活かすかを考えることです。
気になった本から気軽に手に取り、一冊ずつ読み進めてみてください。
あなたの産業医・産業保健師としてのキャリアが、さらに豊かで実りあるものになることを願っています。