WHOが勧めるストレス対処のセルフケア~ウェルビーイングのための価値とアクション~
ストレスは多くの人々にとって共通の課題ですが、単にストレスに対処するだけでなく、その体験を通してウェルビーイング(幸福感)を高めることが重要です。世界保健機関(WHO)のガイドブック「Doing What Matters in Times of Stress」は、日常的なストレスに直面しつつも、どのように前向きに行動し、ウェルビーイングを追求できるかを紹介しています。この記事ではそれをもとに解説します。
CONTENTS
1.フックされる状態とは
2.価値に基づく行動
3.価値の領域を選ぶ
4.価値を行動に落とし込む
5.アクションを阻む考えや感情に対処する
6.まとめ
1.フックされる状態とは
ストレスを感じる時、私たちは自分の望む生き方を妨げる考えや感情に「フック」されることがあります。フックされるとは、心の中で考えや感情にとらわれ、前進できなくなる状態を指します。この状態から抜け出すためには、まずフックされていることに「気づき」、次にその考えや感情に「名づけ」ることが有効です。これにより、注意がリソースを奪われることが減り、他の有益なことに集中できるようになります。
2.価値に基づく行動
ウェルビーイングを高めるためには、フックから抜け出し、自分の「価値」に基づいて行動することが大切です。価値とは、どのような人間でありたいかという深い願いを言葉にしたものであり、終わりのない目指すべき方向性を示します。一方、目標は具体的な到達点があり、短期的な成果を求めるものです。
たとえば、「昇進する」は目標ですが、「仕事に情熱を注ぎ、周りと協力して成果を上げる」は価値です。価値は長期的な視点で自己を導く指針となり、これに基づいた行動がウェルビーイングへの道を開きます。
3.価値の領域を選ぶ
価値は人生のあらゆる領域に存在します。仕事、家庭、健康、個人的成長、友人関係など、私たちは様々な役割を持っています。WHOのガイドブックでは特に人間関係に焦点を当てていますが、仕事や健康といった他の領域でも同様に価値を見つけ、意識することが必要です。
まず、どの領域にリソースを投入したいかを考え、その領域での価値を明確にしましょう。価値を意識することで、日々の行動に方向性が生まれます。
4.価値を行動に落とし込む
価値に沿った行動とは、具体的なアクションを取ることです。たとえば、個人的成長という価値を持つ人であれば、「毎日15分間、関心のあるトピックの情報を収集する」「新しい知識を学び、それをアウトプットする準備をする」などのアクションが考えられます。これらの行動を通じて、自分がウェルビーイングに向かって進んでいる実感を得ることができます。
重要なのは、行動を今日からでも実行できるようにすることです。短期、中期、長期で目標を設定しながら、価値に基づいた行動を積み重ねることがウェルビーイングに繋がります。
5.アクションを阻む考えや感情に対処する
私たちはしばしば、考えや感情にフックされることで行動を止めてしまいます。「時間がない」「どうせ無理だ」といった思いが、行動の妨げになります。これに対処するためには、まずその考えや感情に気づき、名前をつけてフックを外すことが有効です。たとえば「手を上にあげられない」と思いながらも実際には手をあげられるように、フックされる思考も必ずしも行動を止める力を持っているわけではないのです。
6.まとめ
ストレス状況下でもウェルビーイングを高めるためには、以下のポイントを意識することが重要です。
- 自分の考えや感情にフックされる状態から抜け出すために、気づきと名づけのスキルを活用する。
- どのような人間でありたいか(価値)を明確にし、それに沿った行動を取る。
- 行動を阻む思考や感情に対処しながら、価値に基づいたアクションを継続する。
これらのステップを実践することで、ストレスに対処しながらも、より充実した生活を送ることが可能になります。まずは、自分にとって重要な価値を見つけ、その価値に基づいた行動を始めてみましょう。
出典
アドバンテッジJOURNAL
WHOが勧めるストレス対処のセルフケア(その3)~ウェルビーイングのための価値とアクション~
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投稿を表示こちらの解説は、ACT(acceptance and commitment therapy)を詳細に言語化されていますね。
と思ったら大月先生からの御出典でした。