健康経営度調査への回答とエンゲージメントやストレス反応の関連とは?!
さんぽLABの運営元であるアドバンテッジリスクマネジメント(以下、ARM)は、経済産業省の委託事業である「令和4年度ヘルスケアサービス社会実装事業(国内外での健康経営の普及促進に係る調査)」の報告書において、健康経営の効果分析に関する調査の一部を担当し、分析と結果の提供を行いました。
この記事ではその報告の概要をご紹介いたします。
■分析概要
■結果概要
・健康経営で上位の認定を受けている企業ほどワークエンゲイジメントが高い結果となっており、健康経営を推進している企業ほど、主体的に仕事に取り組む従業員が多いことがうかがえる(以下グラフ)
・健康経営度評価結果および調査票への回答内容の開示に積極的な企業群で、エンプロイーエンゲイジメントが高い結果となっており、人的資本を積極的に開示している企業群の従業員は、会社に対する自発的な貢献意欲が高いと推察する
・パワーナップ等仮眠制度を導入している企業で、ストレス、エンゲイジメント(ワーク・エンプロイー)が良好な結果となった
・喫煙率の高い職場の従業員はエンプロイーエンゲイジメントが低い関連が見られた
■解説:ARM 調査研究部 上級研究員 土屋 政雄より
本分析は、アドバンテッジリスクマネジメントの顧客企業最大238社の豊富なデータと、健康経営度調査への各企業の回答結果を組み合わせたデータを元にした、当社だからこそ実現できるものです。今回の結果は、健康経営を推進することについて政策上および、企業のエンゲージメント向上の観点から重要な後押しとなる知見であると考えています。
今回の分析では、上記サマリの通りの関連が見られましたが、以下の課題も残されています。
1.まず、統計学的に有意な違いは見られたものの、各社の値のばらつきは大きく、健康経営を推進して上位認定を受けているだけでは、必ずしも従業員のエンゲージメントが高い水準であるとは限らない企業もあること
2.今回お示しした結果は、アウトカムとなる3つの指標だけを対象としており、企業の組織要因等の違いについては更なる検討が必要になること
このような課題がありつつも、今回の結果を元に、健康経営の取り組みによって企業とその従業員の元気を高めるヒントが得られると考えられます。当社としても引き続き、このテーマに関して分析を進め、より有益な健康経営施策について検討していきたいと考えています。
■「令和4年度ヘルスケアサービス社会実装事業(国内外での健康経営の普及促進に係る調査)」について
近年、健康経営が広がりを見せています。経済産業省推進している健康経営銘柄及び健康経営優良法人認定制度においても、令和3年度の申請数は、大企業・中小企業を合わせて15,000件を超え、認定審査に用いる健康経営度調査の回答データの蓄積が進んでいます。本事業においては、健康経営に取り組む効果やメリットに関する調査分析を実施し、国内外における健康経営の更なる普及促進に取り組むとともに、ヘルスケア産業の市場変化及び展望の調査を通じて情報を整理し、需給両面でヘルスケアサービスの社会実装を推進することを目的としています。