ナッジ
1.ナッジとは
ナッジとは、自発的によい行動をしたくなるように、選択の余地を奪うことなく背中を後押しする設計です。2019年に厚生労働省が策定した健康寿命延伸プランでもナッジの活用が推奨されており、ナッジは健康経営の課題解決のカギになることが期待されています。
人を動かすアプローチは、次の4段階があります(介入のはしご:大島明 2013を改変)
①正しい情報の提供
②行動したくなるように環境を整備
③褒美や罰を設定
④強制
このうち、②がナッジに該当します。
実際に、「みんながしていたから」「なんとなくいい雰囲気だったから」といった理由で行動することはありませんか?このような心理傾向を踏まえ、背中をそっと押すようなアプローチがナッジです。
2.ナッジの活用
厚生労働省の「受診率向上施策ハンドブック(第2版)」で推奨されている「EASTフレームワーク」というものがあります。「EASTフレームワーク」とは、
Easy 簡単で
Attractive 魅力的で
Social 規範に訴え
Timely タイムリー
の頭文字を取ったものです。この中で最も重要なのは「Easy」です。正しい情報ではあるものの、情報過多になっているものもよく見られます。その場合、脳の直感システムは、読むのが面倒になり、読むことを後回しにしがちです。日々膨大な情報を受け取る私たちにとって、その場ですぐ読んでみたくなるシンプル化(Easyナッジ)が重要です。
Easyナッジの3つの法則は以下です。
1⃣見出しは14文字以下:長くなるほど、読まれなくなる。
2⃣メッセージの絞り込み:正しい情報であっても、相手が当然知っているものは削除する。
3⃣「ましょう」の攻撃を回避:「~しましょう」は本当に重要なところでのみ使う。
ナッジを設計に入れることで、多くの人を動かすことができるかもしれません。お金がかからないので、トライアンドエラーを繰り返すこともできます。ナッジを念頭に、「伝わる」チラシやポスター、施策を検討してみてはいかがでしょうか。これまで「うまくいかない」と頭を抱えていた健康施策も効果が変わってくるかもしれません。
3.ナッジに関連するコンテンツ
動画
- EASTフレームワークとは?行動を促すデザインとは
- 認知バイアスの種類とは?行動を変えるためには
- 最近注目のナッジとは?「直観」と「理性」とは
- 従業員を動かすためのナッジのテクニック
- 産業保健の現場でナッジを活用するポイントとは?
- ナッジの活用