労働災害における産業保健活動の役割
産業保健活動の大きな目的に、労働災害の防止があります。つまり、産業保健活動を充実させることは労働災害を防止することにつながります。
産業保健活動を実施する際に、労働災害におけるリスクを意識することは非常に重要です。
【目次】
1.労働災害とは
2.労働災害についての事業主の責任と義務
3.労働災害における産業保健活動の役割
1.労働災害とは
労働災害とは、職務に起因して労働者が負傷すること、病気にかかること、または死亡することをいいます。
労働者災害補償保険法(労災保険法)では、業務に起因するもの(業務災害)だけでなく、通勤途中の怪我や病気(通勤災害)も保険給付の対象となっており、労働災害に含まれます。
2.労働災害についての事業主の責任と義務
事業主は、労災を防止するため、労働安全衛生法に基づく安全衛生管理責任を果たさなければなりません。
法違反がある場合、労災事故発生の有無にかかわらず、労働安全衛生法等により刑事責任や罰則が課せられる場合もあります。
労働災害が発生した場合、補償責任を負うことが労働基準法により義務付けられています。労災保険に加入している場合は労災保険による給付が行われ、加入していない場合は、労働基準法の補償責任を負うことになります。
場合によっては、当該労災について不法行為や安全配慮義務違反等を理由として、被災した労働者から事業主に対して民法上の損害補償請求が実施されることがあります。これは、労働基準法の補償責任とは別に行われます。
労働基準監督署に、その労働災害を報告(労働者私傷病報告)しなかったり、虚偽の報告を行ったりした場合にも、刑事責任や、刑法上の業務上過失致死傷罪が問われることがあります。また、労働災害が起こってしまった場合にも、法を遵守できているか、安全配慮義務が遂行できているかどうかによって損害補償請求などのリスクが生じます。
3.労働災害における産業保健活動の役割
法を遵守するだけでなく、安全配慮義務が遂行できているかどうかを念頭においた産業保健活動を実施することは、労働者はもちろん事業場を守ることにつながります。
労働者が健康で働きやすい環境づくり、労働者の健康管理を実施することは、労働災害防止において非常に重要です。
労働災害が発生してしまった場合についても、リスクを念頭において活動することが産業保健スタッフには求められます。
<関連する用語>
安全配慮義務 予見可能性 結果回避可能性