産業保健スタッフが知っておきたい「健康経営銘柄」と「健康経営優良法人」の違いと実践ポイント
健康経営を推進するうえで注目されるのが、「健康経営銘柄」と「健康経営優良法人」の認定制度です。企業の健康経営を可視化し、社会的評価にもつながるこれらの制度は、産業保健スタッフにとっても重要な関わりがあります。本記事では、両制度の違いや認定のメリット、そして実践のポイントをわかりやすく解説します。
1. 健康経営の認定制度とは?
健康経営とは、従業員の健康保持・増進を経営課題と捉え、組織全体の生産性向上や離職率低下につなげる取り組みです。これを評価・顕彰する制度が「健康経営銘柄」と「健康経営優良法人」です。
健康経営銘柄:東京証券取引所上場企業の中から、健康経営度調査の結果を基に、業種ごとに上位20%以内の企業を選定。経済産業省と東証が共同で認定します。
健康経営優良法人:大企業から中小企業まで対象で、日本健康会議が認定。地域課題や健康増進の取り組みが評価され、上位法人は「ホワイト500」「ブライト500」として認定されます。
2. 両制度の違いと役割
健康経営銘柄は主に投資家向けに企業価値をアピールする役割があり、企業のブランディングや株価上昇といった効果も見込めます。認定企業はアンバサダーとしての発信も期待されます。
健康経営優良法人は、地域企業・取引先への波及効果を重視。大企業・中小企業それぞれに、健康経営のトップランナーとしての事例発信が求められます。
3. 認定のメリットと企業にもたらす効果
- 採用力・定着率向上:従業員を大切にする企業として認知されることで、採用競争力が高まり、離職防止にもつながります。
- ブランディング効果:経済産業省認定のロゴマークが広報に活用可能。企業の信頼性が向上します。
- 生産性向上:従業員の健康意識が高まり、業務効率の改善にも貢献します。
4. 今後の健康経営で求められること
近年はオンライン施策や在宅勤務対応なども評価項目に加わりつつあります。たとえば以下のような対策が加点対象になる可能性があります。
- 出社社員への感染対策
- 在宅勤務者の業務環境整備支援
- オンラインでの健康支援・コミュニケーション施策
これらは、産業保健スタッフが中心となって推進・提案していく場面も増えてきています。
5. 認定を目指すための実践ポイント
認定に向けて重要なのは、健康経営の体制構築と継続的なPDCAサイクルの実施です。
- 健康経営度調査のフィードバックシートで課題を把握
- 組織全体での役割分担・効果検証の仕組みづくり
- 外部支援サービスの活用による専門的サポートの検討
特に、産業保健スタッフは従業員の実態把握や施策設計・評価のキーパーソンとして、制度取得に貢献できるポジションです。
6. まとめ
健康経営は、従業員の健康を守るだけでなく、企業の収益性や成長にもつながる重要な経営戦略です。「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人」の認定はその象徴であり、産業保健スタッフとしても、自社の取り組みを積極的に支援・推進していくことが求められます。
企業価値の向上、職場環境の整備、生産性向上を実現するためにも、これらの制度を正しく理解し、実践に活かしていきましょう。
出典
アドバンテッジJOURNAL
「健康経営銘柄」と「健康経営優良法人」に選定されるメリットと対策ポイント
ハッシュタグを押下して関連ページを検索↓