【2023年度】インフルエンザの今年の傾向とよくある質問をまとめてみました!
目次
1.2023年度インフルエンザの傾向
2.従業員や人事担当者からよくあるインフルエンザの質問
3.職場でのインフルエンザ予防法
4.インフルエンザの治療法
5.現場で役立つ資料のご紹介
1 2023年度インフルエンザの傾向
インフルエンザは通常、12月頃から流行が始まり1~3月に感染のピークを迎えます。ところが2023年度はまだ暑い9月ごろから流行がみられる異例の事態となっています。
各地の学校でも学級閉鎖が相次ぎ、東京都では、1999年の調査開始以来、最も早い9月21日に『流行注意報』が発令されています。新型コロナウイルスとの同時流行にも注意が必要です。
しかし、インフルエンザの予防方法や対処方法は変わりません。従業員の健康管理、事業所の生産性の向上のために、インフルエンザ対策にしっかりと取り組んでいきましょう。
ここでは、インフルエンザに関する「よくある質問」をまとめてみました。日々の業務の参考にご利用いただければと思います。
2 従業員や人事担当者からよくあるインフルエンザの質問
Q)インフルエンザになってしまいました。会社は何日休む必要がありますか?
A) 大人については、法律や厚生労働省による指針等で定められたものはありません。
企業によって扱いが異なりますので、詳細は人事部等に確認してください。欠勤の扱いについても社内ルールで決められている場合があります。学校保健法による基準にならって、感染予防の観点から『発症後5日が経過、かつ解熱後2日は出社しない』としている企業が多いようです。
Q)インフルエンザに罹患した従業員が 復帰する際に、『治癒証明書』や『陰性証明書』を提出させたほうがよいでしょうか?
A) 会社が社員に対してそのような証明書は求めないよう厚労省のホームページに記載されています。インフルエンザの陰性を証明することが一般的に困難であることや、医療機関に負担をかける恐れがあるためです。
Q)ワクチンを打っても、インフルエンザにはかかると聞きました。打つ意味はありますか?
A) ワクチンには『発病』や『重症化』を抑える効果が一定程度認められています。ワクチンを接種した場合、発病は60%抑えられたというデータがあります。また、高齢者においては死亡を約80%抑制したというデータがあり、『発病』と『重症化』を防ぐためにワクチンは有効であるといえます。
参考:令和5年度インフルエンザQ&A|厚生労働省
Q)9月にインフルエンザにかかってしまいました。今年はワクチンを打たなくてもいいでしょうか?
A) インフルエンザワクチンは毎年、厚生労働省がその年の冬の流行を予測して、4種類のウイルス株を選定してつくられます。つまり、1種類のウイルスにかかったとしても、残り3種類にかかるリスクはあるので、接種する意義はあるといえます。インフルエンザに感染した場合も、その後1~2週間経過して症状がなくなり回復すれば、ワクチンの接種は可能です。
Q)インフルエンザワクチンの予防効果の持続期間はどのくらいですか?
A) インフルエンザワクチンを接種したら、接種後2週間~5か月程度効果が持続するといわれています。
Q)インフルエンザとコロナに同時感染しました。会社は何日休む必要がありますか?
A) 新型コロナウイルスについても、今年の5月に5類に移行し、インフルエンザと同様
の扱いとなり、大人については法令や指針等の定めはありません。社内でルールを決めていることもありますので、人事総務部門に確認してください。
学校保健法では、インフルエンザの出席停止期間は『発症後5日が経過、かつ解熱後2日が経過するまで』、新型コロナウイルスでは『発症後5日が経過、かつ症状が軽快した後1日が経過するまで』となっています。同時感染の場合は、期間の長いインフルエンザの基準に合わせて考えると良いでしょう。
参考:学校保健安全法施行規則の一部を改正する省令の施行について|文部科学省
Q)インフルエンザの潜伏期間はどのくらいありますか?
A) インフルエンザの潜伏期間は、1~4日(平均して約2日)といわれています。潜伏期間が非常に短いのが特徴です。
Q)風邪、コロナとインフルエンザの症状の違いは?
A) 風邪症状は、新型コロナウイルスでもインフルエンザの初期症状でも認められます。風邪に比べて、インフルエンザは症状が強く出る場合が多くあります。新型コロナウイルスは
無症状~症状の強さも様々であり、味覚や嗅覚障害がみられることもあり多岐にわたります。いずれも症状のみでは鑑別が難しいといえます。
Q)新型コロナウイルスワクチンを打つ予定ですが、インフルエンザワクチンを打つスケジュールはどうしたらいい?
A) 新型コロナウイルスワクチンと、インフルエンザワクチンは同時接種が可能です。つまり、間隔の制限はありません。ただし、他のワクチンは種類により異なるので医師へご相談ください。
3 職場でのインフルエンザ予防法
インフルエンザを予防するためには、感染経路を断つことが重要です。
■手洗いうがい
基本中の基本ですが、流水や石鹸によるこまめな手洗い、マスクの着用は有効です。従業員が実施しやすいように、ポスター等を利用し、職場全体で感染予防に取り組んでいるという雰囲気を作りましょう。
■アルコール消毒
出入り口のドアノブ等多くの人が触るものの近くにアルコールを設置し、手指の消毒を促すことで、接触感染の予防になります。
■湿度対策
湿度が低くなると気道の粘膜が乾燥してウィルスが体内に入り込みやすくなるので、加湿器を設置するなどして、湿度を50~60%(少なくとも40%以上)に保つことも有効です。
■こまめな換気
季節を問わず、こまめな換気を促すことはインフルエンザ対策・新型コロナウイルス対策として有効です。職場では、換気するタイミングを決めておくのもおすすめです。
4 インフルエンザの治療法
インフルエンザの治療薬には下記のような種類があります。いずれも、病院での診察・処方が必要です。どの薬を使うか、薬を使うかどうかなどは、診察した医師の判断に基づきます。また、発症後48時間以内に投与を行わないと十分な効果が期待できません。
(内服薬)
タミフル:1日2回 5日間
ゾフルーザ:1回で完了
アビガン:1日1回 5日間
(吸入薬)
リレンザ:1日2回 5日間
イナビル:1回で完了
ラピアクタ:1日1回 連日投与
5 現場で役立つ資料のご紹介
■衛生講話で活用できる!講話資料【インフルエンザ】
■社内掲示や健康だよりで活用できる!リーフレット【インフルエンザ】
すでに猛威をふるっているインフルエンザ。
インフルエンザ予防に取り組むことは、従業員の健康、そして企業を守ることにもつながります。基本的な知識はもちろん、今年ならではの動向をとらえて対策をとり、頼れる産業保健スタッフを目指しましょう。
■お役立ちサービス
執筆:さんぽLAB運営事務局 保健師
監修:難波 克行 産業医
参考文献:
令和5年度 今シーズンのインフルエンザ総合対策について
令和5年度インフルエンザQ&A|厚生労働省
(https://www.mext.go.jp/content/20230427-mxt_ope01-000004520_2.pdf"学校保健安全法施行規則の一部を改正する省令の施行について|文部科学省")