記事

両立支援の課題1位は「対応フローや判断基準がない」産業保健スタッフが感じる悩みと対応のヒント【産業保健スタッフの投票結果から】

はじめに

治療と仕事の両立支援は、企業にとってますます重要性が高まっています。

がんや脳卒中、心疾患、糖尿病、メンタルヘルス不調など、治療を続けながら働く従業員は珍しくありません。一方で、「どこまで配慮すべきか」「誰が判断するのか」「現場との調整をどう進めるか」といった悩みを抱える産業保健スタッフや人事労務担当者も多いのではないでしょうか。

実際、両立支援は法律やガイドラインだけで一律に判断できるものではなく、個々の疾病や業務内容、職場環境に応じた判断が求められます。そのため、「正解が一つではない」ことが現場担当者を悩ませる要因になっています。

さんぽLABでは、皆さまの職場でどのような課題を感じられているのかを把握するため、「両立支援を進めるうえで、最も課題に感じることは何?」というテーマでアンケートを実施しました。

今回はその結果をもとに、現場で感じられている課題と、実務で活用できる対応のヒントをご紹介します。


投票結果(概要)

期間:2026年6月13日~6月19日
投票数:34票
結果
- 両立支援の対応フローや判断基準が整備されていない:73.5%
- 主治医の意見をどこまで就業配慮に反映すべきか迷う:14.7%
- 主治医・産業医・人事・現場の連携がうまくいかない:8.8%
- 対応が属人化しており、引き継ぎが難しい:2.9%

最も多かった回答は、「両立支援の対応フローや判断基準が整備されていない」で、全体の約4分の3を占めました。

個別事例への対応に悩む以前に、「そもそも会社としてどのように進めるべきかが決まっていない」という課題を抱えている事業場が多いことがうかがえます。

両立支援を進めるうえで、最も課題に感じることは?投票結果グラフ


各項目の傾向と対応のヒント

両立支援の対応フローや判断基準が整備されていない:73.5%

圧倒的に多かった回答です。

両立支援を経験する機会が少ない事業場では、対象者が発生するたびにゼロから対応を検討しているケースも少なくありません。
担当者の経験や知識に依存して対応を進めてしまうと、

  • 相談窓口が不明確
  • 情報収集の方法が統一されない
  • 主治医への確認事項が毎回異なる
  • 上司ごとに対応内容が変わる

といった問題が起こりやすくなります。

対応のヒント

  • 厚生労働省のガイドラインを参考に、相談受付からフォローアップまでの標準フローを作成する
  • 勤務情報を主治医に提供する際の様式例や面談記録など、使用する様式をあらかじめ統一しておく
  • 自社の事例を蓄積し、「どのようなケースでどのような対応を行ったか」を共有できる仕組みについて、個人情報の取り扱いに注意しながら整備する

【セミナー記事】がんと仕事の両立支援 講師|立道 昌幸 先生

主治医の意見をどこまで就業配慮に反映すべきか迷う:14.7%

両立支援を担当していると、多くの方が一度は経験する悩みではないでしょうか。
例えば、

  • 残業禁止
  • 出張禁止
  • 在宅勤務推奨
  • 重量物作業禁止

などの意見が主治医意見書に記載されることがあります。
しかし、実際の職場環境や業務内容によっては、そのまま実現することが難しいケースもあります。

対応のヒント

  • 主治医の意見を「そのまま採用するか否か」ではなく、意見の背景や目的を確認する
  • 産業医に業務内容を共有し、医学的な観点と職場実態の双方を踏まえて検討する
  • 従業員本人・主治医・産業医・人事で共通認識を持ち、代替案も含めて就業配慮を検討する

記事 まとめ 産業保健スタッフのリアルな悩み、現場で使えるアンサー

主治医・産業医・人事・現場の連携がうまくいかない:8.8%

両立支援に限らず、産業保健活動全体でよく聞かれる課題です。
それぞれの立場や役割が異なるため、

  • 情報共有が不足する
  • 認識にズレが生じる
  • 判断の責任が不明確になる

といった状況が発生します。
特に現場管理職は、業務運営と従業員支援の間で板挟みになることも少なくありません。

対応のヒント

  • ケースごとに役割分担と意思決定者を明確にする
  • 定期的な関係者会議や情報共有の場を設ける
  • 従業員の同意を得たうえで、共有できる情報範囲を事前に整理しておく

衛生講話資料 治療と仕事の両立支援とは

対応が属人化しており、引き継ぎが難しい:2.9%

回答割合は低かったものの、実務上は見過ごせない課題です。
担当産業保健師や人事担当者が異動・退職した際に、

  • これまでの経緯が分からない
  • 過去の判断理由が不明
  • 主治医とのやり取りが残っていない

という状況になることがあります。
特に中小規模事業場では、担当者が少人数であるため注意が必要です。

対応のヒント

  • 面談記録や対応履歴を定型フォーマットで管理する
  • 両立支援フローや判断基準を明文化しておく
  • 従業員の個人情報の取り扱いに十分に注意しつつ、担当者だけでなく、人事や産業医など複数名で状況を把握できる体制を整える

無料DL 疾患別治療と仕事の両立支援ガイド 詳細を見る


今後の展望

今回のアンケートからは、個別事例の難しさ以上に、「両立支援を進めるための土台づくり」が課題になっていることが見えてきました。

2026年4月1日から、改正労働施策総合推進法の施行により、事業主には、職場における治療と就業の両立を促進するために必要な措置を講じることが努力義務となりました。今後はより多くの企業で、両立支援体制の整備が求められると考えられます。

一方で、すべての場合に当てはまる万能な判断基準はありません。
だからこそ、

  • 基本的な対応フローを整備する
  • 関係者の役割を明確にする
  • 主治医・産業医・人事・現場が連携する
  • 記録を残して組織知にする

といった取り組みが重要になります。

皆さまの職場では、今回のアンケート結果を見てどの課題が最も当てはまりましたか?
ぜひ自社の両立支援体制を見直すきっかけとして、本記事を活用いただけますと幸いです。


アドバンテッジお役立ちサービス


休業者管理・復職支援クラウドシステム アドバンテッジハーモニー

両立支援を進めるうえで、最も課題に感じることは何ですか?
結果発表
両立支援の対応フローや判断基準が整備されていない
25票
対象者の情報管理や対応状況の把握が煩雑になっている
0票
主治医・産業医・人事・現場の連携がうまくいかない
3票
主治医の意見をどこまで就業配慮に反映すべきか迷う
5票
対応が属人化しており、引き継ぎが難しい
1票
その他(コメントで教えてください!)
0票
コメントする