はじめに
テレワークは通勤負担の軽減や柔軟な働き方につながる一方で、コミュニケーション不足や孤立感、長時間労働など、従来とは異なるメンタルヘルス上の課題を生じさせます。特に産業医や保健師、人事労務担当者にとっては、従業員の不調に気付きにくいことが大きな課題です。
本記事では、厚生労働省委託事業による「テレワークにおけるメンタルヘルス対策のための手引き」をもとに、産業保健スタッフが実務で抱えやすい疑問をFAQ形式で解説します。
目次
- テレワークでメンタルヘルス対策が必要な理由
- テレワークで不調者を早期発見する方法
- テレワークにおけるラインケアの実践ポイント
- 産業保健スタッフが行う支援と面談のポイント
- 長時間労働・生活習慣の乱れへの対策
- リモートハラスメントへの対応
- まとめ
1. テレワークでメンタルヘルス対策が必要な理由
テレワークでは、職場で自然に行われていた対面のコミュニケーションが減少するため、メンタルヘルス不調の予防や早期発見が難しくなります。また、企業の約73%が「テレワークの方が従業員のメンタルケアが難しい」と回答しており、従来とは異なる支援体制の構築が求められています。
Q1. テレワークで多いメンタルヘルス上の課題は何ですか?
A. 孤立感やコミュニケーション不足、長時間労働が主な課題です。
テレワークでは対面のやり取りが減ることで孤立感が生じやすく、情報共有や相談がしづらくなることが、メンタルヘルス不調につながる要因として挙げられています。
Q2. テレワーク特有のストレス要因には何がありますか?
A. 仕事と生活の境界が曖昧になりやすいことです。
テレワークでは勤務時間の区切りがつけにくく、仕事が長時間化しやすいほか、運動不足や自宅の作業環境の影響によるストレスも生じやすいとされています。
Q3. 特にフォローが必要な従業員はいますか?
A. 一人暮らしの従業員や新入社員、異動者です。
特に、人間関係が十分に構築されていない場合、不安や孤独感を抱えやすい傾向があります。
2. テレワークで不調者を早期発見する方法
テレワークでは不調の兆候が見えにくくなるため、意図的に状況把握の仕組みを作ることが重要です。企業事例では、オンライン面談やチャット、アンケートなどを組み合わせた取組が行われています。
Q4. なぜテレワークでは不調者の発見が難しいのでしょうか?
A. 従業員を直接見る機会が少ないためです。
テレワークでは、出社時のあいさつや休憩中の会話など、日常的に従業員の様子を確認する機会が少なくなります。そのため、表情や声の調子、行動の変化などに気付きにくく、メンタルヘルス不調のサインを見逃しやすくなると考えられます。
Q5. テレワーク下で不調を早期に発見するにはどうすればよいですか?
A. 相談しやすい環境を整えることです。
上司や人事部門からの評価を気にせず、働き方や心身の健康について相談できる窓口を設置している事例があります。テレワーク下でも利用しやすい相談体制を整えることが重要です。
Q6. 不調の兆候を把握する方法はありますか?
A. 定期的な接触機会を設けることです。
テレワークでは従業員の状態が見えにくくなるため、オンライン面談やチャットによる定期的な状況確認、コンディションサーベイの実施、健康診断やストレスチェック後の面談などを通じて、心身の状態を継続的に把握することが重要です。
Q7. ストレスチェックはどのように活用できますか?
A. 労働者のセルフケアや職場環境改善に活用できます。
ストレスチェックは、労働者自身がストレスに気付く機会になるほか、集団分析によって職場のストレス要因や課題を把握し、職場環境の改善につなげることができます。また、健康診断後の面談などと組み合わせて、継続的なフォローに役立てる取組も行われています。
3. テレワークにおけるラインケアの実践ポイント
テレワーク環境では、管理職によるラインケアの重要性が高まります。部下の様子が見えにくいからこそ、定期的な対話の機会が必要です。
Q8. テレワークでラインケアはどのように行うべきですか?
A. 定期的な1on1面談が有効です。
テレワーク下でも、上司と部下の1on1面談を継続し、体調や業務状況を確認する取組があります。定期的な対話の機会を設けることで、従業員の状態を把握しやすくなります。
Q9. コミュニケーション不足への対策はありますか?
A. 接触頻度を増やすことです。
チームごとにオンラインミーティングを定期的に実施し、お互いの様子を把握する工夫を行っている事例があります。また、テレワークでは誰が何をしているのか見えづらいため、企業によっては進捗などの情報共有も行われています。さらに、オンライン会議システムを活用した朝礼を実施し、体操やコミュニケーションの機会を設けている事例もあります。
Q10. 孤立対策として有効な取組はありますか?
A. 雑談できる場を作ることです。
バーチャルオフィスアプリの導入や、業務以外の話題を雑談できるチャットルームの設置などにより、気軽なコミュニケーションを促進する取組があります。
4. 産業保健スタッフが行う支援と面談のポイント
産業保健スタッフには、不調の早期発見と継続的な支援が求められます。特にオンライン中心になるため、従来以上に接点づくりが重要です。
Q11. オンライン面談だけで十分ですか?
A. 必要に応じて対面面談を組み合わせることも重要です。
テレワーク下ではオンライン面談を活用する一方で、状況に応じて対面での対応も行いながら支援を継続することが重要です。
Q12. 産業保健スタッフはどのように関わるとよいですか?
A. 定期的なフォローを継続することです。
健康診断やストレスチェック後の面談を実施し、フォローアップが必要な労働者に対しては継続的に連絡を取る取組があります。
Q13. 家族への働きかけは有効ですか?
A. 不調の早期発見につながることが期待されます。
家族にテレワークの特徴や相談先を案内し、不調のサインに気付きやすい環境づくりにつなげている事例があります。
Q14. 復職支援で重要なポイントは何ですか?
A. 継続的な支援を行うことです。
個別支援プログラムや業務復帰サポートなどを通じて、職場復帰を支援する取組があります。
5. 長時間労働・生活習慣の乱れへの対策
テレワークでは労働時間管理や生活習慣管理も重要なテーマです。メンタルヘルス対策は心の問題だけでなく、働き方や生活習慣の改善も含まれます。
Q15. テレワークで長時間労働が増えるのはなぜですか?
A. 仕事と私生活の区別がつきにくくなるためです。
テレワークでは仕事と私生活の境界が曖昧になりやすく、長時間労働につながることが課題として挙げられています。
Q16. 長時間労働対策には何がありますか?
A. 勤務時間の可視化です。
勤務管理システムやPCログを活用した事例があります。テレワークでは労務管理の難しさが課題として挙げられており、長時間労働や過重労働を防ぐための管理が重要です。
Q17. 生活習慣の乱れへの対策はありますか?
A. セルフケア支援です。
テレワークでは運動不足などが課題として挙げられています。そのため、運動動画の配信や健康情報の発信を通じて、労働者のセルフケアを支援する取組が勧められています。
6. リモートハラスメントへの対応
テレワークではハラスメントにも配慮が必要になります。
Q18. リモートハラスメント対策は必要ですか?
A. 必要です。
テレワークでは、リモートハラスメント防止のための研修や相談体制の整備が重要です。メールやチャット、電話による相談サービスを導入し、利用しやすい相談窓口を確保している事例があります。
Q19. リモートハラスメントを避けるための注意点はありますか?
A. 業務上の必要性を踏まえて運用することが重要です。
業務上の必要性がないにもかかわらず、常時オンライン会議を行ったり、カメラをつけるよう強制したりすることは、ハラスメントにつながる可能性があるため配慮が必要です。
7. まとめ
テレワークにおけるメンタルヘルス対策では、従業員の変化が見えにくいことを前提に、支援体制を構築することが重要です。産業保健スタッフは、継続的な接点づくりと職場環境改善を支援しながら、テレワーク時代に適したメンタルヘルス対策を推進することが求められます。
実務で押さえたいポイント
- 1on1面談やオンライン面談で定期的な接点を持つ
- コンディションサーベイを活用し、変化を早期に把握する
- ストレスチェック結果を職場環境改善に活かす
- 不調者への相談・支援体制を整備する
- 管理職へのラインケア教育を継続する
出典:「テレワークにおけるメンタルヘルス対策のための手引き(2022年3月)|厚生労働省」を基に作成(2026年8月13日参照)。
※本記事は、上記資料を参考に、当社が編集・作成しました。
※本記事の作成にあたり、文章整理にAIを補助的に活用しています。


