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在宅勤務制度を職場復帰支援時に活用する具体的な方法

在宅勤務制度を職場復帰支援時に活用するには、具体的にどのような対応が必要でしょうか。在宅勤務制度の運用については、職場や職種、在宅勤務制度の利用状況によって必要とされる判断は様々なため、しっかりと手順を踏んで対応していくことが大切です。
今回は、実際の運用について理解を深めていきます。

※本記事は2022年11月24日に実施された勉強会について、次の動画の内容(一部)を編集して作成しています。
③在宅勤務制度を職場復帰支援時に活用する方法【職場復帰支援勉強会】



【目次】
1.在宅勤務を積極的に活用できるケース
2.職場復帰支援の実務のすすめかた



1.在宅勤務を積極的に活用できるケース

在宅勤務を職場復帰の際に積極的に使った方がいい場面は、どのような時でしょうか。
基本的には、在宅勤務にすることによって、病状が悪化するリスクが減らせる、治療と就業の両立支援に役立つ場面には、在宅勤務のメリットが存分に活かせると思います。
具体的には、下記のような場合があります。

具体例)

  • 疲れやすさ・歩きにくさの症状がある事例
  • 人工透析
  • 脳卒中の後遺症
  • 心臓病
  • がん治療の一時的な副作用
  • 骨折、など

上記の場合など、通勤や移動の負担が少ない在宅勤務は職場復帰や両立支援には適しているかと思います。また、がん治療の副作用で足先のしびれがあり歩きづらいため、安全に通勤することが難しいという場合も、後遺症がつらい期間だけ在宅勤務を中心に行うといった両立支援もあります。

メンタルヘルス不調の場合はどうでしょうか。こちらは少々状況が違い、注意する点が多いと言えます。

メンタルヘルス不調の場合

まず、回復が不十分なうちに復職すると、病状が悪化して再休職してしまうリスクがあるからです。こういった点が、復職の判断が少し早すぎた場合、その後病状が悪化することで、安全配慮面のリスクもあります。また、再発することで労働損失が長引くというリスクもあります。

2.職場復帰支援の実務のすすめかた

在宅勤務の運用については、職場や職種、会社ごとの在宅勤務の利用状況によって判断は違ってくるところかとは思います。では、実際に在宅勤務を使って職場復帰したいとう話が出てきた場面で、どのように対応すればよいのか、下記3つの手順に沿って具体的な対応方法を説明していきます。

復職支援のすすめ方

上記過程を見ると、復職可否を判断するよりも先に復職支援プランを作るのだろうか?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそこが今回のポイントになります。

1番目の回復状況の評価について、在宅勤務をする場合でも出社して勤務をする場合でも、従来と同じように出社を前提とした回復の基準で判断をします。

回復の過程

具体的には、生活記録表を使って毎日出社ができるような生活リズムが2週間ぐらいはキープできるかどうかという基準で判断をします。こちらの手順が今のところ安全だと思います。

プランの作成

それと並行して、職場復帰支援の復職プラン、復職後の業務内容を調整するという作業も行っていきます。まずは、在宅勤務がどういう運用ができるかについて、社内の運用ルールや適用範囲を確認しておきます。
具体的には、週何日までOKかという部分をあらかじめ確認しておきます。
会社によっては、在宅勤務に関連した運用文書が整っていないというケースがあったり、今後に向けて柔軟な運用を模索している場合もありますので、個別に確認する方が良いかと思います。
そして、復職後半年間にどのような業務を担当してもらうか、また在宅勤務をどのように使っていくかというような計画を作って書面に記入をします。

次の記事では、復職プランを作成する際のポイントについてご紹介します。
是非ご覧ください。
▶記事を読む 復職支援プラン作成のポイント~業務調整からフォローアップまで詳しく解説

講師


難波克行(産業医, 労働衛生コンサルタント)

アドバンテッジリスクマネジメント 健康経営事業本部顧問
アズビル株式会社 統括産業医

メンタルヘルスおよび休復職分野で多くの著書や専門誌への執筆
YouTubeチャンネルで産業保健に関わる動画を配信

代表書籍
『職場のメンタルヘルス入門』
『職場のメンタルヘルス不調:困難事例への対応力がぐんぐん上がるSOAP記録術』
『産業保健スタッフのための実践! 「誰でもリーダーシップ」』




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