ストレスチェックの本質的な活用法とは?産業保健スタッフが知っておきたい改善の視点
ストレスチェックは、単なるメンタルヘルス対策にとどまらず、職場環境改善の重要なツールです。しかし実際には「やりっぱなし」で終わってしまうケースも少なくありません。本記事では、産業保健スタッフとして職場改善へつなげるための活用方法や、導入時の注意点、改善施策の進め方について、具体的に解説します。
1. ストレスチェックの目的と現状
ストレスチェック制度の目的は、大きく2つあります。ひとつは、従業員自身のストレスに気づき、セルフケアを促すこと。もうひとつは、集団分析をもとに職場環境を改善することです。
しかし現状では、前者は実施されていても、後者は「努力義務」であることから活用されていないケースが目立ちます。特に、健康経営の上位企業とそうでない企業とでは、集団分析の活用状況に大きな差があるのが現実です。
2. よくある「やりっぱなし」の落とし穴
ストレスチェック後にPDCAサイクルを回すことが理想ですが、各段階に落とし穴があります。
- 課題把握:集団分析を実施しただけで、情報共有や検討が止まっている
- アクションプラン検討:計画倒れになり、実行に移せない
- 実行フェーズ:施策が一度きりで継続できない
- 効果測定・修正:効果が曖昧なまま次の改善につながらない
これらを避けるためにも、仕組みの見直しが求められます。
3. 活用レベルを高める具体的な工夫
■ 紙からWEBへ切り替えで効率化
ストレスチェックの実施方法を紙からWEBに変えるだけでも、集計スピードや分析結果の展開が大幅に改善します。
共用PCの設置や事前説明資料の配布などの工夫で、スムーズな移行が可能です。
■ 属性別の集計と定性的分析を組み合わせる
年齢、職位、勤続年数などの切り口で集団分析を行い、関係者のヒアリングも加えることで、より実態に即した課題把握が可能になります。
分析結果は経営層に報告し、企業の本気度を伝えることで従業員の信頼感も高まります。
4. 実行フェーズでは「主体」の明確化がカギ
改善の取り組みは、以下のように「誰が主導するか」でアプローチが異なります。
①経営者主導型:制度導入や費用を伴う施策に向いている
②専門職主導型:外部カウンセラーなどによる支援を受けて実施
③管理職主導型:自部署のデータをもとに現場が改善を進める
④従業員参加型:全員で分析結果を見ながら改善策を検討する
とくに③と④は、現場が主体的に動くことで「自分事化」され、持続可能な改善につながります。
5.まとめ
産業保健スタッフにとって、ストレスチェックは「実施すること」ではなく「活かすこと」が重要です。分析結果を職場改善に結びつけるためには、実施体制・分析視点・実行主体の明確化といった複数の要素が必要不可欠。PDCAの各段階を意識的に整えることで、ストレスチェックを本質的な職場改善ツールへと昇華させましょう。
出典
アドバンテッジJOURNAL
【メンタルヘルスに留まらない】健康経営を加速させるストレスチェックの活用方法を徹底解説
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