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企業のメンタルヘルス対策とは?一次予防から三次予防まで整えるポイントを解説

コロナ禍を機に、従業員のメンタルヘルス不調が増加傾向にあります。産業保健スタッフとして、企業におけるメンタルヘルス対策を見直すことは喫緊の課題です。本記事では、厚生労働省が示す「4つのケア」と一次〜三次予防の観点から、今企業に求められる実践的なメンタルヘルス対策を解説します。


1.一次〜三次予防の視点で考えるメンタルヘルス対策

メンタルヘルス対策は、「一次予防(未然防止)」「二次予防(早期発見・対応)」「三次予防(再発防止・回復支援)」の3段階で捉えることが重要です。風邪に例えると、うがいや手洗いで予防するのが一次予防、不調を感じて早めに休むのが二次予防、悪化後に治療するのが三次予防です。

この3つの段階すべてに対応する体制が整っていることが、企業における理想的なメンタルヘルス対策の状態といえるでしょう。

加えて厚生労働省は、「4つのケア」として以下を推奨しています。

  • セルフケア(従業員自身による健康管理)
  • ラインによるケア(管理職による配慮)
  • 事業場内産業保健スタッフによるケア
  • 事業場外資源によるケア(EAPなど)

これらをバランスよく組み合わせることが、実効性のある対策につながります。

2.メンタルヘルスの現状と課題

厚生労働省の調査(令和2年)では、全事業所の61.4%がメンタルヘルス対策に取り組んでいると回答しています。大企業では9割以上の実施率ですが、ストレスチェックの結果からは、ストレス反応の悪化や負担感の増大が顕著です。

とくにコロナ禍以降は、業務量の増加、上司の配慮不足、評価への不満、在宅勤務によるコミュニケーション不全などが、従業員のストレス要因となっています。

一方で、キャリア支援への期待や同僚との関係性強化など、ポジティブな変化も見られます。働き方の多様化に対する前向きな評価や、新しい制度の導入が信頼関係の構築に寄与している面もあるようです。

3.カウンセリング利用の傾向と一次〜三次予防の実践

アドバンテッジリスクマネジメントのカウンセリングデータからは、2021年上期には「メンタルヘルス」や「仕事のストレス」に関する相談が増加しています。とくに、パワハラ相談の増加や初回利用者によるメンタル不調の訴えが顕著です。

カウンセリングは、物事の捉え方を支援し、ストレス耐性を高める一次・二次予防の実践的手段です。

では、具体的に何をすべきでしょうか?

■一次予防:不調の未然防止

  • セルフケア・ラインケア教育の実施
  • ストレスチェックの結果フィードバックと可視化
  • 相談窓口の設置と周知強化

■二次予防:早期発見と対応

  • 管理職向けに不調サインの察知や傾聴力の研修を実施
  • 1on1やセルフチェックなど短期サイクルの把握ツールの導入

■三次予防:回復と再発防止

  • 復職支援制度の整備
  • カウンセリングや専門家との連携による継続的支援

4.まとめ

メンタルヘルス対策は、単発の施策ではなく、一次〜三次予防までの仕組みと「4つのケア」を統合して実施することが求められます。産業保健スタッフとして、企業内の体制や現場の状況を把握し、段階的かつ継続的な支援を行うことで、従業員の心の健康を守る体制づくりに貢献しましょう。

もっと詳しく知りたい方はこちら

出典

アドバンテッジJOURNAL
働き方が大きく変わった今こそ必要な『企業のメンタルヘルス対策』のポイントとは

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