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復職時の業務調整のポイントと復職後のフォローアップ

本記事では、復職の際の、業務調整や配置転換を検討する際のポイント、復職後のフォローアップについてご説明いたします。

※本記事は2022年10月20日に実施された勉強会について、次の動画の内容(一部)を編集して作成しています。
③復職後のフォローアップで押さえておくべきポイント【職場復帰支援勉強会】


【目次】
1.復職する際の業務調整、環境調整のポイント
2.復職後のフォローアップ


1.復職する際の業務調整、環境調整のポイント

復職支援をしている際に、「復職する際に配置転換をしたほうがよいかどうか、それとも元の職場に復職させたほうがよいのか」ということで悩むことはよくあると思います。
「慣れた環境で慣れた仕事をすることが再発の予防となるため、元の職場に復職することが原則である」とも言われておりますが、復職の際に業務調整や環境調整が必要な場合何を検討すればいいのか悩ましいところです。

例えば、休職中の営業職の社員が「営業職以外への異動が望ましい」であったり、「内勤が望ましい」といった内容の診断書を復職の際に持参することがあります。
このような診断書の内容に全て応じていたら、人事制度が機能しなくなるといった懸念が生じますが、再発や再休職は防ぎたいということもあり、どうするかは大変悩ましいかと思います。
このように本人からの希望があるときや、主治医からの条件が記載された診断書が提出された場合はどのようにすればよいのかご説明します。

異動が望ましいという意見や希望がある場合には、異動するかどうかではなくまずは、休職前の業務のどういった要素が本人にとって辛かったのか、また病状に影響するのはどのような部分なのかを、具体的に本人や主治医、産業医に確認することが必要です。

このような作業をしていくと、先ほどの営業職の事例ではノルマがつらい、苦手な顧客がいる、といったような、具体的なエピソードをきくことができます。
そのうえで、本人が負担に感じている部分において、社内で実施可能な調整を検討したうえで、その調整内容での復職が可能かどうかを本人や主治医、産業医に確認するとよいでしょう。
重要なのは、本人の希望通りの調整を実現させることではなく、社内での調整を最大限検討する、ということかと思います。
その調整内容で問題なく復職できるという本人の意向や、産業医や主治医の意見であればそのまま復職をしてもらえばよいでしょう。その調整内容での復職が難しい場合は、問題ない状態に回復するまで休職を延長するといった方法もとれます。

業務調整、環境調整をどこまでするか
また、対人関係や業務のストレスについて休職前本人が辛そうにしていたことは、病状が悪かったために強いストレスを感じていて、回復すると感じ方が変化していることもあります。そのため、復職の時点ではどうか再評価することが必要です。
その際にも、本人の要望に対応するか否かではなく、上司や会社側の視点から、「どうやったら仕事が円滑に進むのか」「職務適正があるのか」を判断して、会社目線で必要な調整をするとよいでしょう。

産業保健スタッフとしては、このような業務調整の検討の際に、本人の要望ではなく会社側の視点で議論できるように視点を切り替えられるような働きかけをすると、前向きに話し合いができるようになることが多くあります。

対人関係のストレス、業務のストレス

2.復職後のフォローアップ

復職した後も、本人は不安や焦りを抱えており、服薬や通院を中断してしまうケースもあります。

復職後も、毎月、産業医などと面談をする

定期的な面談は、本人が自分の状況を振り返る機会となり、職場と連携した業務調整につなげることもでき、再発を防ぐために重要です。
復職後も、就業制限が完全になくなるまでは、定期的に面談を実施するとよいでしょう。

講師


難波克行(産業医, 労働衛生コンサルタント)

アドバンテッジリスクマネジメント 健康経営事業本部顧問
アズビル株式会社 統括産業医

メンタルヘルスおよび休復職分野で多くの著書や専門誌への執筆
YouTubeチャンネルで産業保健に関わる動画を配信

代表書籍
『職場のメンタルヘルス入門』
『職場のメンタルヘルス不調:困難事例への対応力がぐんぐん上がるSOAP記録術』
『産業保健スタッフのための実践! 「誰でもリーダーシップ」』


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