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ポジティブ心理学の活用~ウェルビーイングが高い人の特徴とは

近年、産業保健の現場では、ワークエンゲージメントという概念や、心理的安全性のある職場づくりというキーワードが出てきています。このような職場における課題を個人及び組織に対して、ポジティブ心理学的にアプローチしていくことを学んできましょう。
今回は、ポジティブ心理学の観点から「ウェルビーイングが高い人の特徴」について理解を深めていきます。

※本記事は2023年3月15日に実施された勉強会について、次の動画の内容(一部)を編集して作成しています。
①ウェルビーイングが高い人の特徴【ポジティブ心理学勉強会】



【目次】
1.ウェルビーイングが高い人の特徴
2.ウェルビーイングの評価指標



1.ウェルビーイングが高い人の特徴

皆さんが働く人を支援する時には、まずは自分のウェルビーイング、心身の健康、意味ある人生を送っていくことが大切です。

ウェルビーイング向上を目指すためには、まずは皆さんご自身が、ウェルビーイングを高めましょう。それが結果的に、支援をされる側の方たちのウェルビーイング向上に繋がります。
今回は、ウェルビーイングを高めることに焦点を当てて説明します。


ウェルビーイングの高い人の特徴


ウェルビーイングについては、これまでたくさんの研究がされています。
ウェルビーイングの高い人の特徴として、自身を肯定的にみることが出来る人が多いです。


ウェルビーイングの高い人に対して、さまざまな調査をすると相関関係がみえてきます。
このような人は、ストレスとの付き合い方が非常に上手といった特徴があります。つまり、ストレスに強いということです。それを産業保健、衛生的な視点で考えると、心身の健康状態が良好である、あるいは意味ある生き方をしており、幸福感があることに繋がります。

ウェルビーイングの構成要素をみていくと、自分を肯定的に捉えるだけではなく、ダメなところも受容できる、それらを含めて私であると感じているということがいえます。

対人関係も良く、コミュニケーションが非常に上手なので、他者との関係が良好なことで困った時に支援をもらいやすい特徴があります。また、困った人を援助することによって自分の価値が高まるといえます。

自律性という要素では、自分の思い通りに何とかすることができるということから、主体的に日々の生活が送れていることも特徴です。

さまざまな場面で裁量権を持って、自分の思い通りに日常生活が送れ、環境をコントロールできます。そのことを通して、目的がはっきりしていることから、困難に出会っても自分を成長させているという肯定的な見方がとれる人でもあります。

2.ウェルビーイングの評価指標

これまでのウェルビーイング研究からさまざまな特徴がわかってきており、ウェルビーイングにはさまざまな指標があります。
日本版主観的幸福感尺度(SHS)といわれる尺度が、日本ではよく使用されています。
簡単に計算できますので、皆さんも試してみてください。

SHS主観的幸福感尺度


(1)~(3)の項目は、点数が高いほど、幸福感が高い、ウェルビーイングが高いことがわかりますが、(4)の項目だけは点数が高いことが、不幸ということになります。
ご自分が考えている幸福感を評価していただき、その得点の程度によって、心身の健康状態を測っていきます。


主観的幸福感と心身の不定愁訴との関係

日本人の平均は、4.7です。
  • 幸福度低群:平均から1を引いた、3.7よりも低い人
  • 幸福度高群:平均から1大きい、5.7以上ある人
  • 幸福度中群:3.7から5.7の点数の人

得点の結果を上記の3群に分けた時、ブルーで示した幸福度低群は、身体的な症状の不定愁訴が強い、不安と不眠の訴えがある、人と誰にも会いたくないといった社会的活動障害が現れ、抑うつ度も高いということがわかりました。つまり、明らかに心身の不定愁訴が大きいという結果となりました。

次の記事では、「心理的安全性と生産性を高める」ことについて具体的にご紹介します。
是非ご覧ください。
▶記事を読む 心理的安全性​とワークエンゲージメント~生産性の高い組織とは?ポジティブ心理学の活用



講師


津田彰 先生(公認心理師、臨床心理士、医学博士)

【プロフィール】
健康・医療心理学、産業・組織心理学、ポジティブ心理学などをご専門とされています。
心理学に関して数多くの著書を執筆、ご講演・論文の発表もされており、多くの賞を受賞されています。
2021年4月 久留米大学 名誉教授
2021年4月 帝京科学大学 医療科学研究科 教授(現在に至る)
2022年4月 久留米大学 医学部 客員教授 (久留米大学)




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