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夏の睡眠!寝苦しい夜の快眠対策4選 ~暑さに負けない身体づくりは、良い睡眠から~

夏の睡眠!寝苦しい夜の快眠対策4選

7月から8月にかけて、「夜暑くてなかなか眠れない」「寝ても疲れが取れない」「日中も眠気が残る」と感じる方が増えてきます。特に近年は猛暑日や熱帯夜が増加し、9月頃まで残暑が厳しく寝苦しい夜が続きます。
睡眠は心身の疲労を回復するために欠かせない時間です。しかし、夏は高温多湿な環境の影響で睡眠の質が低下しやすく、疲労が蓄積したまま仕事を続ける人も少なくありません。
睡眠不足は、翌日の眠気疲労だけでなく、生産性の低下夏バテ熱中症のリスクなどに関連し、職場の安全・生産性の両面で見過ごせないテーマです。
今回は、厚生労働省の健康づくりのための睡眠ガイド2023もふまえながら、暑い季節を元気に乗り切るために、夏の睡眠を改善する4つの工夫をご紹介します。
産業保健スタッフが衛生委員会での講話や保健指導、健康だよりなどで使えるよう、すぐに業務で使える資料もまとめておりますので、ぜひご活用いただければと思います。


目次

  1. はじめに:なぜ夏の不眠が職場の健康課題になるのか
  2. 背景・メカニズム:なぜ夏は眠りにくくなるのか
  3. 情報提供のポイント:寝苦しい夜の快眠対策4選
  4. 産業保健スタッフの役割:情報提供の工夫と危険信号の見極め
  5. まとめ:夏の睡眠対策を職場の健康づくりにつなげる

1.はじめに:なぜ夏の不眠が職場の健康課題になるのか

健康づくりのための睡眠ガイド2023(※1)によると、睡眠は心身の健康維持に不可欠であり、睡眠不足は日中の眠気や疲労、注意力・判断力の低下、作業効率の低下、事故などの重大な結果につながる場合があるとされています。
また、ガイドラインでは成人においてはおおよそ6〜8時間「適正な睡眠時間の確保」と、睡眠でしっかり疲れが取れていると感じる「睡眠休養感の向上」の両方が重要課題として位置づけられています。
しかし、1日の平均睡眠時間が6時間未満の人の割合は、男性36.2%、女性38.9%と約4割を占めており、また、「睡眠で十分に休養がとれていない(『あまりとれていない』『まったくとれていない』)」と回答した人の割合は、男性19.7%、女性21.2%と約2割にのぼります。さらに、これらの割合は就労世代でより高い傾向がみられ、睡眠時間の不足だけでなく、睡眠による疲労回復が十分でない人も多いことが分かっています。(※2)

つまり、もともと睡眠不足の土台があるところに、夏の高温多湿が重なることで、寝苦しさ・寝つきの悪化や中途覚醒、早朝覚醒、睡眠休養感の低下など、不眠につながりやすくなります。

夏の不眠は単に「睡眠不足でつらい」という問題にとどまりません。睡眠不足は、翌日の眠気疲労感を招くだけでなく、集中力や判断力の低下生産性の低下につながることが知られています。さらに、疲労回復が不十分な状態では夏バテを起こしやすくなり、暑さに対する身体の適応力も低下するため、熱中症のリスクを高める可能性があります。特に、運転業務や機械作業、高温環境での作業などでは安全面への影響も懸念されるため、夏の睡眠対策は個人の健康管理だけでなく、職場の安全と生産性を守るうえでも重要な健康課題といえます。


2.背景・メカニズム:なぜ夏は眠りにくくなるのか?

ガイドラインによると、睡眠時間は季節によっても変動し、日長時間(日の出から日の入りまでの時間)の長さの影響で、夏は冬に比べて10〜40分程度短くなると報告されています。また、夏は他の季節と比較すると寝つきや眠りの持続が難しくなると示されており、この原因として、日長時間の延長に加え、高温・多湿な睡眠環境が挙げられています。(※1)

■高温・多湿で深部体温が下がりにくい

人は眠るとき、手足から熱を放出して身体の深部体温(身体の内部の温度)を下げることで自然な眠気を感じます。
ところが夏は、寝室の温度や湿度が高く深部体温が十分下がりにくくなり、寝つきが悪くなったり眠りが浅くなったりします。

■夜間の暑さ

夜間の最低気温が25℃以上となる熱帯夜では、夜中に目が覚める、熟睡できないなど、十分な睡眠を確保しにくくなります。
また、暑さ対策としてエアコンを使用していても、冷風が直接身体に当たって冷えすぎてしまったり、タイマーが切れた後の暑さで目が覚めてしまったりすることがあります。このように、快適な睡眠環境を保つことが難しいことも、夏の寝苦しさの一因と考えられます。

■自律神経の乱れ

夏は、屋外では35℃近い厳しい暑さとなる一方で、室内では冷房によって25~28℃程度まで気温が下がるため、屋内外の温度差が大きくなります。また、冷たい飲み物やアルコールを摂取する機会が増えることや、日中の暑さによる体力の消耗も重なり、自律神経のバランスが乱れやすくなります。その結果、体温調節がうまく働かなくなり、睡眠の質の低下や日中の眠気・倦怠感につながることがあります。


3.情報提供のポイント:寝苦しい夜の快眠対策4選

快眠対策4選

① 室温・湿度の調整

夏の快眠対策で最も重要なのが寝室の快適な室温・湿度です。睡眠中は深部体温が下がることをふまえ、身体が冷えすぎないようにすることも重要です。

  • エアコンを適切に使用し、室温(25~28℃)や湿度(40%~60%)を快適に保つ(※3)
  • 寝る30分前に寝室のエアコンをつけておく
  • 切/入タイマーを上手に活用する
  • 冷風が身体に直接当たらないよう注意する
  • 扇風機・サーキュレーターを活用する

② 体温調節

就寝前にぬるめの入浴で体温を一時的に上げ、その後自然に下がるタイミングで眠ると深部体温が下がりやすくなります。「暑いからシャワーだけ」で終えがちな人には、長湯でなくても、就寝前に身体を温めてから放熱しやすい状態をつくると良いでしょう。また、睡眠中も体温調節がスムーズに行われるよう、適切な寝具や衣服を利用しましょう。

  • 一般的には38~40℃程度のぬるめのお湯に10~15分程度つかるのがおすすめ
  • 就寝の約1~2時間前に入浴
  • 冷感タイプや通気性の良い寝具・衣服を利用する

③ 音や光の調整

特に夏は日照時間が長く、早朝から明るくなりやすいため、光や音の刺激によって睡眠が妨げられやすくなります。また、就寝前のスマートフォンやタブレットなどの使用は、体内時計に影響を与え、寝つきを悪くする原因となることがあります。

  • 外部の騒音が気になる場合は、窓を閉める、耳栓を利用するなど環境を整える
  • 寝室にはスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして寝る
  • 遮光カーテンを活用し、早朝の日差しや屋外の光による中途覚醒を防ぐ

④ 生活習慣の工夫

「よく眠るためには日中の過ごし方」が重要です。夏は屋外が暑いため日中の外出や運動を控え、活動量が不足しやすくなりますが、日中の適度な運動習慣は、睡眠時間の充足や睡眠休養感など良質な睡眠に役立ちます。夏の運動は熱中症のリスクも懸念されるため、朝や夕方以降の涼しい時間帯、または室内で運動を行うなどの工夫と、水分補給が重要です。また、食事や嗜好品の摂り方や就寝前の過ごし方、規則正しい生活リズムも睡眠の質に大きく影響します。

  • 日中にウォーキングなどの適度な運動を習慣にする
  • 夜に運動する場合は就寝の約2~4時間前までに
  • しっかり朝食を摂り、就寝直前の夜食を控える
  • カフェインを含む飲み物(コーヒー、エナジードリンクなど)は夕方以降の摂取を控える
  • 寝酒は一時的に眠気を感じても睡眠の質を低下させるため控えめにする
  • 就寝前はストレッチやアロマなど、自分に合ったリラックス習慣を取り入れる
  • 朝起きたらカーテンを開けて日光を浴び、体内時計を整える
  • 毎日なるべく同じ時間に起床・就寝し、生活リズムを整える

4.産業保健スタッフの役割:情報提供の工夫と危険信号の見極め

特に夏は、夏バテや熱中症予防の啓発と睡眠対策を併せて伝えることで、従業員にとっても関心を持ちやすくなります。

今は睡眠の問題がなくても、暑さによる疲労が蓄積し後々に影響が出てくる場合もあります。暑い時期に睡眠の質が低下することで夏バテや熱中症になりやすくなるほか、業務でも眠気や疲労が残ることで生産性の低下や事故のリスクにつながることなどを周知し、従業員が自分事として考え「何か1つ改善してみよう」と思えるようなアプローチが重要です。例えば、衛生講話で自分の生活を振り返る「睡眠チェックリスト」をお示ししたり、「快眠対策4選」といった形で具体的な行動を紹介したり、保健指導では体調や業務への影響を確認し、「寝室の環境」「生活リズム」など睡眠に影響する要因を一緒に整理したりすることも有効です。

不眠のセルフチェック

講話資料「睡眠の問題」より

一方で、生活習慣の改善だけでは不眠が改善しないケースもあります。
以下のような症状が続く場合は、睡眠障害心身の不調が背景にある可能性も考えられるため、医療機関への受診を勧めることも大切です。

  • 十分な睡眠時間を確保しているにもかかわらず、日中に強い眠気や疲労感が続く
  • 入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠感がない状態が週に何度も続いている
  • 日中の眠気や居眠りによって業務に支障が出ている
  • 大きないびきや睡眠中の呼吸停止を指摘されたことがある
  • 気分の落ち込みや意欲低下など、メンタルヘルス不調を伴っている

睡眠は個人の健康管理だけでなく、職場の安全や生産性とも密接に関係しています。だからこそ、産業保健スタッフには「正しい知識を伝えること」「支援が必要な人を見逃さないこと」の両方が求められます。


5.まとめ:夏の睡眠対策を職場の健康づくりにつなげる

夏は日照時間の延長や高温多湿な環境、屋内外の温度差による自律神経の乱れなどが重なり、睡眠の質が低下しやすい季節です。睡眠不足は、日中の眠気や疲労感から、熱中症リスクや業務の生産性低下、事故にもつながるため、職場においても重要な健康課題といえます。
産業保健スタッフには、衛生委員会での講話保健指導健康だよりなどを通じて継続的に情報提供を行い、従業員一人ひとりが自分に合った対策を見つけ、具体的に改善ができるよう支援していくことが求められます。
また、睡眠不足が業務や日常生活に影響を及ぼしていないかを確認するとともに、不眠の重症度やその背景に心身の疾患が隠れていないかを見極め、必要に応じて医療機関の受診につなげることも重要な役割です。
暑さの続くこの時期だからこそ、改めて睡眠の重要性を伝え、従業員の健康維持と安全な職場づくりに向けた体調管理の支援につなげていきましょう。


■出典


1)厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023

2)厚生労働省 令和6年国民健康・栄養調査報告

3)東京都保健医療局:「健康・快適居住環境の指針」

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