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令和4年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概要

労働安全衛生調査は、事業所が行っている安全衛生管理、労働災害防止活動及び安全衛生教育の実施状況等の実態並びにそこで働く労働者の仕事や職業生活における不安やストレス、受動喫煙等の実態について把握し、今後の労働安全衛生行政を推進するための基礎資料とすることを目的とした調査です。 
下記、調査内容を一部抜粋しご紹介いたします。
 

1. メンタルヘルス対策に関する事項

〇休職・退職
過去1年間(令和3年11月1日~令和4年10月31日)にメンタル不調により連続1か月以上休業した労働者又は退職した労働者がいた事業所の割合は13.3%。特に割合が多い業種は情報通信業(36.3%)、電気・ガス・熱供給・水道業(28.2%)、金融業・保険業(24.8%)だった。

〇対策
メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は63.4%。取組内容で多いものは「ストレスチェックの実施」(63.1%)、「メンタルヘルス不調の労働者に対する必要な配慮の実施」(53.6%)であった。セルフケアやラインケア研修・情報提供、産業保健スタッフによるメンタルヘルス対策の実施は約35%にとどまった。
前年度比でメンタル不調者割合(+3.2%)や、対策を講じている割合(+4.2%)はどちらも上昇しており、メンタル不調者の増加に伴い、対策が迫られているものと思われる。

2. 産業保健に関する事項

〇事後措置
過去1年間に一般健康診断を実施した事業所のうち所見のあった労働者がいる事業所の割合は69.8%。このうち、所見のあった労働者に講じた措置内容は「健康管理等について医師又は歯科医師から意見を聴いた」(45.3%)、「特に健康の保持に努める必要がある労働者に対して医師又は保健師による保健指導を行った」(44.1%)が主だった。

〇両立支援
傷病(がん、糖尿病などの私傷病)を抱えた何らかの配慮を必要とする労働者に対して、治療と仕事を両立できるような取組がある事業所の割合が58.8%で、前年度比+17.7%と大きく改善していた。このうち、取組内容をみると、「通院や体調などの状況に合わせた配慮、措置の検討(柔軟な労働時間の設定、仕事内容の調整)」(86.4%)、が最も多く、次いで「両立支援に関する制度の整備(年次有給休暇以外の休暇制度、勤務制度等)」(35.9%)となっている。
両立支援の取組に関して困難や課題と感じている事がある事業所の割合は81.8%と多く、内容をみると「代替要員の確保」(77.2%)、「上司や同僚の負担」(51.2%)の他、産業保健の現場でよく課題としてあがる「休職を繰り返す労働者への対応」(30.6%)、「復職可否の判断」(26.6%)、「病状の悪化や再発防止の対策」(25.5%)なども上位にあがった。

 

3. 仕事や職業生活における不安やストレスに関する事項

〇強いストレス
現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安、悩み、ストレス(以下「ストレス」という)となっていると感じる事柄がある労働者の割合は82.2%と、前年度から比較しても+28.9%と急増した。
内容としては、「仕事の量」(36.3%)、「仕事の失敗、責任の発生等」(35.9%)、「仕事の質」(27.1%)、となっている。

就業形態別に見ると、強いストレスを感じている割合は正社員(86.2%)が最も多く、パートタイム労働者(65.9%)、契約社員(62.6%)、派遣労働者(56.9%)と続く。内容では正社員以外の働き方では雇用の安定性や対人関係(セクハラ・パワハラを含む)、顧客・取引先などからのクレームも上位に上がるなど、就業形態によってストレスの内容に違いが見られた。

 

〇相談相手
現在の自分の仕事や職業生活でのストレスについて相談出来る人がいる労働者の割合は91.4%、実際に相談したことがある労働者の割合は69.4%であった。実際の相談相手をみると、「同僚」(63.5%)、「家族・友人」(62.0%)、「上司」(58.5%)であり、「産業医」(3.8%)、「保健師又は看護師」(3.8%)、「公認心理士等の心理職」(0.5%)と専門職への相談はまだまだ少数派であった。
実際に相談相手となりやすい職場の上司や同僚への教育や、適切に専門職へつないでもらうためラインケア研修の実施、相談窓口の周知なども産業保健スタッフとしては課題だと考える。

4.喫煙に関する事項

職場で受動喫煙がある労働者の割合は、「ほとんど毎日ある」(6.0%)、「ときどきある」(14.6%)を合わせて20.6%となっている。
このうち、職場の受動喫煙に関して、「不快に感じること、体調が悪くなることがある」と回答した労働者の割合は42.7%と多く、引き続き、喫煙者へ情報提供や禁煙施策の推進はもちろん、受動喫煙防止策についても徹底していく必要があると思われる。


調査結果にはその他、感染防止対策や化学物質のばく露防止対策、労働災害防止対策、長時間労働に関する事項など様々な調査結果が出ております。
事業所調査では事業所規模や業種別、個人調査では年齢や性別でもまとめられておりますので、詳細は以下の出典先をご確認いただければと思います。


〈出典〉
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r04-46-50b.html
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/r04-46-50_kekka-gaiyo01.pdf
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/r04-46-50_kekka-gaiyo02.pdf
 


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