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介護と仕事を両立させるために知っておくべきこと

介護をしながら仕事もする『ビジネスケアラ―』は2030年で318万人にまでのぼると言われており、官民一体となって介護と仕事を両立させるため、体制を強化しています。介護と仕事を両立させるために、会社や産業保健スタッフは何をすべきなのでしょうか。あらためて、介護と仕事の両立について全体像を把握していきましょう。


【目次】
1.介護と仕事の両立に関する法律
2.介護にかかるお金の話
3.介護について相談する先とは



1.介護と仕事の両立に関する法律

介護に関する法律として「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(以下育児・介護休業法)が定められています。離職の理由として出産や介護は大変多く、国とても育児や介護をしながら仕事をし続けられるように法律で休みに関するルールが設定されています。

育児・介護休業法のうち、介護の休暇に関わるものは以下の内容となっています。

介護休業制度

負傷や疾病、身体もしくは精神の障害などの理由から、2週間以上の「常時介護」が必要な家族を介護する場合に休業することが可能な制度です。
※対象となる家族⇒配偶者/父母/配偶者の父母/子(法律上の親子関係に限る)/兄弟・姉妹/祖父母/孫

対象の家族1名につき3回まで取得することができ、通算93日まで休業することができます。日雇い労働者を除く全ての労働者が取得できますが、有期契約社員については申出の時点で『取得予定日から起算して、93日を経過する日から6か月を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと』が必要要件となっています。

介護休暇制度

病気、怪我、高齢などを理由に、要介護状態となった家族を介護する際に休暇を取得できる制度です。就業規則等で特に規定していない場合には、毎年4月1日から翌年3月31日の範囲で、要介護状態の対象家族1人につき5日、2人以上で10日を上限として、1日もしくは時間単位で、年次有給休暇とは別に取得できます。

雇い労働者を除く全ての労働者が取得できるものの、労使協定を締結している場合は『入社6ヶ月未満または1週間の所定労働日数が2日以下の労働者』については対象外にできます。

これらの休業休暇制度にあわせて、時間外勤務や深夜残業の制限や転勤に関する配慮についても定められています。

【参考】 令和3年6月には育児・介護休業法が改正され、より柔軟に休みが取れる内容となり、令和4年4月から施行されていきました。




▼改正内容▼
1 男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設 【令和4年10月1日施行】
2 育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け 【令和4年4月1日施行】
3 育児休業の分割取得 【令和4年10月1日施行】
4 育児休業の取得の状況の公表の義務付け 【令和5年4月1日施行】 
5 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和 【令和4年4月1日施行】

引用:厚生労働省 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の概要(令和3年法律第58号、令和3年6月9日公布)

今回の改正では主に育児分野の改正となっていますが、1つ介護休業に関するものあり、介護休業の取得要件が緩和されることとなり、入社1年以上という要件が廃止されています 。



2.介護にかかるお金の話

介護の費用は介護の方法や介護の度合いによって大きくことなってきます。要介護度が高くなれば支援内容を充実させていく必要や介護サービスを利用することになりますし、所得が高い場合は介護保険の自己負担額が1から3割のあいだで増減するため、介護にかかる費用は上がってきます。在宅介護の場合は一時金で約70万円、月額費用は約8万円かかるとされており、更に物価高や社会情勢によってその費用は変わってしまいます。反対に要介護度が低ければ費用は低く抑えられますし、所得が低ければ介護保険の自己負担額は1割に抑えられます。

介護保険は要介護認定を受け、要支援1・2もしくは要介護1~5と認められると利用することが可能になります。

介護度 給付限度額 1割負担額 2割負担 3割負担
要支援1 50,320円 5,032円 10,064円 15,096円
要支援2 105,310円 10,531円 21,062円 31,593円
要介護1 167,650円 16,765円 33,530円 50,295円
要介護2 197,050円 19,705円 39,410円 59,115円
要介護3 270,480円 27,048円 54,096円 81,144円
要介護4 309,380円 30,938円 61,876円 92,814円
要介護5 362,170円 36,217円 72,434円 108,651円

介護保険は点数制で、地域によって1点の単価は異なります。



3.介護について相談する先とは

介護はいつ、自分事になるかわかりません。介護の方法、使える自治体の制度、使うことのできる介護サービスなど、要介護認定されてから急いで準備をしようとすると大変厳しいものとなります。介護疲れといった言葉をニュースなどでも取り上げられるようになり、安易に在宅介護を選択したら肉体の限界がきてしまったり、認知症のため会話もままならなくなってきて精神的に追い詰められてしまうことが増えてきています。介護は介護される側も介護する側の双方に負担がかかるものなのです。 そのため、家族が元気なうちに、介護について考え、相談し、どのように進めていくかを準備することが必要になります。

準備の第一歩として介護に関するプロに相談することがおすすめです。介護に関する相談は以下の窓口があります。
①住まいのある自治体(市役所や区役所など)
②医療機関の相談室
③居宅介護支援事業所、ケアマネジャー
④地域包括支援センター

自治体では介護認定などで、いずれお世話になりますが、相談も受け付けています。時間があえば自治体での相談も良いでしょう。もし、介護が必要になってからの相談であれば地域包括支援センターを利用するのも良いでしょう。保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーといった専門家が所属しており、場合によっては家まで訪問してもらえますので確認するようにしましょう。




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近年浸透してきた”ニューノーマル”という言葉がありますが、非対面での営業や、在宅勤務の活用などの新しい働き方が定着し、現場では様々な対応を求められています。これらの場所や時間の制約を緩和する働き方は、両立支援を必要とする多様な働き手に取ってもメリットがあり、ダイバーシティ推進の観点からも重要な取り組みです。
多様な人材の活躍のためにも欠かせないのが、仕事との両立支援です。介護をはじめ、私傷病、産休育休などによる休業をした従業員の管理やコミュニケーションにお悩みの方は是非ご覧ください。






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