ニューノーマル時代にミレニアル・Z世代が企業に求めること
アジェンダ
・合理性と精神的な豊かさを求めるミレニアル世代・Z世代
・調査目的と概要
・企業選びで重視する点
・魅力を感じる福利厚生
・生活で不安に感じること
・コロナ禍で企業に求めたい支援
少子高齢化などの影響もあり、優秀な若手人材の採用競争が激化している昨今。自社にマッチした若手人材を採用し、早期離職を防止するためには、若者世代の志向性や興味関心を理解し、的確にアプローチすることが重要になります。若者世代の特徴を表す言葉に「ミレニアル世代」「Z 世代」 というものがあります。それぞれの特徴は以下の通りです。
ミレニアル世代
1981年~1995 年生まれで、2000年以降に成人を迎える世代を指します。インターネットに精通しており、SNSなどを通して人とつながる安心感を求める傾向があります。
ミレニアル世代は学生時代に東日本大震災をはじめとする災害を経験したり、過労死などの労働問題を見聞きしたりしていたことから、社会問題に関心が強い層が多いと言えます。また、人生の大半をバブル崩壊後の不況社会で過ごしていることから、金銭・経済的なことに対して合理的な判断をする傾向が見られます。
将来への不安感を少なからず抱いている人が多いので、自分自身の市場価値を高めるためのスキルアップやキャリアアップに前向きです。そのため、企業に対しても安定して成長できる環境を求める傾向にあります。
Z世代
1996年~2010年生まれで、基本的にはミレニアル世代と似た志向性がありますが、幼少期からパソコンや携帯電話、スマートフォン、インターネットといった IT 技術に触れているという世代的特徴があります。
インターネットなどのメディアを通じて多様な価値観に慣れ親しんでおり、個性や多様性を大切にする傾向があります。インターネットで様々な情報に触れるのが当たり前になっていることから、モノの消費以上に体験やサービスといったコトの消費を重視し、精神的な豊かさを求める志向が強いです。また、その時の感動をSNSなどで伝えて共感してもらうことに喜びを感じる層が多いと言えます。
Z世代はワークライフバランスにも強い関心を示し、自分らしい個性を発揮して働くことを望んでいます。社会貢献を通してキャリアを築き、経済的にも安定したいという考える傾向が見られます。
このように、ミレニアル世代やZ世代は合理性と精神的な豊かさ、そして安定感・安心感を求めている傾向が見られます。特に2020年以降は新型コロナウイルスが流行し、ニューノーマルの時代に突入したことから、これらの志向性が強まったことも考えられます。
そこで今回、株式会社アドバンテッジリスクマネジメントは就活生と若手ビジネスパーソンを対象に企業に求めることに関するアンケート調査を実施しました。その結果から見えてきた若手人材採用・離職防止のキーワードは、「安心」と「大切」でした。
調査目的と概要
調査目的
2019年度に続き、ミレニアル世代・Z 世代にあたる若手人材が就職先企業の選定で重視すること、福利厚生への意識に関する調査から企業に対する期待することを考察。また、2020 年度に生じたコロナ禍による意識の変化を調査しました。
調査方法
調査対象:就活生および社会人1 、 2 、 3 年目の男女 824名(左記セグメントにて各103名)
調査手法:インターネット調査
調査時期:2021年2月25日(木)~2021年2月26日(金)
調査主体:株式会社アドバンテッジリスクマネジメント
実施主体:株式会社マクロミル
調査結果の概要
企業選定では業務内容と給与、福利厚生を重視
企業選びで重視することは「業務内容」や「給与・昇給・昇格」、「福利厚生」が上位を占めたことから、安定して自分らしいキャリアを築きたいという意識が伺えます。2019年7月に実施した前年度の調査より「 給与・昇給・昇格」「福利厚生」のポイントが約10ポイントアップしており、コロナ禍による社会情勢の不安定化を受けて、これらへの関心が特に強まっていることが窺えます 。
福利厚生のキーワードは「安心」と「大切」
魅力を感じる福利厚生は「病気やけがをした時の給与の補償」が前年度に引き続き第 1 位、次いで「病気やけがをした時の治療費などの補償」が第2位となりました。ともに前年度よりも5ポイント以上上昇しており、評価が高まっていると言えます。一方、レジャー補助やレクリエーションといった福利厚生よりも、生活や経済を支援する制度への支持が高く、「安心」と「大切」を感じられる福利厚生に惹かれていることが分かります。
コロナ禍の影響で収入やキャリアへの不安が増加
約7割が生活に何かしらの不安を感じており、過半数が「安定的な収入」と「今後のキャリア」に不安を抱えていると回答しました。また、コロナ禍で企業に求めたい支援は「リモートワークしやすい環境整備」と「病気になってしまった時の支援」が上位という結果に。時代や社会の変化に応じた支援制度の導入を検討し、従業員に安心を提供することが重要になると考えられます。
GLTD制度を魅力的に感じる若手人材は約72%
GLTD制度を導入した企業が就職先として魅力的だと感じる就活生・若手ビジネスパーソンは約72%。前年度に引き続き高い支持を得る結果となりました。
調査結果
Q. 企業を選ぶとき、どのような点を重視していますか。(いくつでも)
「給与」や「福利厚生」の数値が大幅にアップ
合理性を重視し、精神的な幸せや安定した働き方を重視する傾向にあると言われるミレニアル世代・Z世代。その傾向は、アンケートの結果からも確かなものとして見えてきました。
「企業を選ぶとき、どのような点を重視していますか」という質問では、就活生は「業務内容」や「給与・昇給・昇格」「勤務時間・所在地」 といった、仕事として当然見るべきポイントが高い数値となっていつつも、それらと同水準で「福利厚生」に対しても高い数値を記録しており、全体の71.2%が重視するという結果に。
また「給与・昇給・昇格」と「福利厚生」の数値に関しては、それぞれ前年度の調査と比較しておよそ10ポイントもアップしており、「給与・昇給・昇格」に至っては78.2%と、これまでトップの値だった「業務内容」を抜くという結果になりました。
安定性を求めるミレニアル世代・Z世代の特徴と、新型コロナウイルスの流行による社会情勢の不安定化や、少子高齢化の進行に伴う年金問題など、自身の将来や老後に対する漠然とした不安が大きくなる現状。この2つが組み合わさることで、いかに安定して働くことができるのか、という視点がこれまで以上に強まり、関連する数値を高めたと考えられます。
Point
・スコアのトップ3は、「給与・昇給・昇格」「業務内容」「福利厚生」
・「給与・昇給・昇格」と「福利厚生」は、前年度よりおよそ10ポイントアップ
・ミレニアル世代・Z世代の特徴とコロナ禍などの影響が合わさり、各種数値を引き上げたと考えられる
Q. どんな福利厚生に魅力を感じますか。(いくつでも)
「病気やけがをした時の補償」への関心高まる
ミレニアル世代・Z世代ならではの傾向は、魅力を感じる福利厚生の内容を見ることでも推し量ることができます。
「どんな福利厚生に魅力を感じますか」という質問では、「病気やけがをした時の給与の補償」が60.2%で前年度に引き続き第1位、「病気やけがをした時の治療費などの補償」が46.6% で第2位という結果になりました。前年度より前者は55ポイント、後者は59ポイント上がり、新型コロナウイルスの流行などの影響を受けて、就活生や若手ビジネスパーソンの中で「病気やけがの補償」に対する関心が強まっていることが窺えます。また、「社有社宅や独身寮などの提供」が 46.2%、「企業年金制度」が44.8%と前年度より安定して高い支持を得ています。その他、前年度より大きく伸びた項目としては、「財産形成支援(従業員持株制度、 社内預金制度 、 教育資金貸付制度 、 奨学金制度など)」が72ポイントアップ、「業務上災害の補償」が58ポイントアップ、「カフェテリアプランの利用」が82ポイントアップという結果に。
一方で、「レジャー関係の補助」「カフェテリアプランの利用」「社員旅行や運動会などのレクリエーション」は3 割以下の支持率となっており、他の項目に比べるとかなり低い水準です。特にレジャーやレクリエーションはコロナ禍において実現しづらい状況であり、さらに「無駄遣いをしない」「気の合わない人と付き合わない」というミレニアル世代・Z世代の特徴が顕著に反映された例と言えるでしょう。
また「企業の福利厚生についてのイメージ」に関する質問では、「福利厚生が充実していると安心 」「従業員を大切にしていると感じる」という項目の支持率が上位を占めたことから、就活生や若手ビジネスパーソンは「安心」と「大切」を感じられる福利厚生制度に魅力を感じていることが分かります。
Ponit
・コロナ禍などの影響を受けて、前年度より「病気やけがの補償」への関心が高まっている
・福利厚生に求めるのは「安心」と「大切」
Q. 生活において不安はありますか。
Q. どんなことに不安を感じますか。(いくつでも)
約7割が生活に不安を抱える
「生活において不安はあるか」という質問では、前年度に引き続き約7割が「あてはまる」もしくは「ややあてはまる」と回答しており、多くの就活生や若手ビジネスパーソンが何らかの不安を抱えて生活していることが分かります。
具体的な項目としては「安定的な収入」が52.1%、「今後のキャリア」が 50.1%と過半数を占める結果に。特に「今後のキャリア」は前年度より31ポイントアップしており、新型コロナウイルス流行や社会的不況などの影響を受けて、長期的に安定したキャリア像を描きづらくなっていることが窺えます。また、「働き方」「仕事の内容」「人間関係」といった項目も上記に次いで高くなっています。 全般的に仕事に対する不安に関する項目の支持率が高いことから、キャリア支援や福利厚生などで就活生・若手ビジネスパーソンに生活の安心感を与えることが有効だと考えられます。
Point
・就活生と若手ビジネスパーソンの約7割が生活に不安を抱えている
・「安定的な収入」「今後のキャリア」への不安が高い
・仕事に関する不安が大きく、企業のサポートで安心感を与えられる可能性が高い
Q. 「コロナ」禍において、就職する企業に求めたい支援は何ですか。(いくつでも)
時代や社会の変化に応じた支援導入が重要
「コロナ禍において、就職する企業に求めたい支援は何ですか」という質問は、若手ビジネスパーソンを対象に実施しました。
勤め先でリモートワークをしていないと回答した若手ビジネスパーソンが6 割以上いたこともあり、「リモートワークしやすい環境整備」が52.3%と第一位に。次いで、「病気になってしまった時の支援(業務復帰と就業継続)」が38.1%となっており、新型コロナウイルスをはじめとする病気やけがで、中長期に渡り職場を離脱しなければならなくなった際の不安があることが伺えます。
コロナ禍だけでなく、今後も高齢化や介護問題の加速などからさまざまな不安が表出してくることが予測されます。そのため、時代や社会、ニーズの変化に応じた企業環境や制度の整備を検討することが重要になると言えます 。
Point
・コロナ禍などの影響を受けて、前年度より「病気やけがの補償」への関心が高まっている
・福利厚生に求めるのは「安心」と「大切」
総括
若者が企業に求めるものは安心と大切
就活生・若手ビジネスパーソンに実施したアンケートは、世間一般的に言われるミレニアル・Z世代の特徴が如実に反映される結果になりました。
この結果を踏まえると、これからの時代を生きる優秀な若手人材を採用し、早期離職を防止していくためには、仕事や会社に対する「安心感」を醸成し、さらに企業として若手人材を「大切」にしていることをアピール していく必要があると言えるでしょう。
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投稿を表示ミレニアル世代ですが、なるほどな。と思いました。
働いていて、上の世代の方とは仕事への向き合い方が違うと感じているので、他の世代についても特徴を知りたいです。